3月21日──青い鳥の死

 何処までも続く、砂また砂。

 男は人語を操るツイッターという青い鳥とともに、広大なネットの砂漠をおしゃべりをしながら楽しく旅していた。


 何日も何日も旅を続けるうち、男はふと青い鳥の羽の下にある年齢設定ボタンに目が留まった。

「そういえばこの鳥を購入するとき、店主に自分の年齢を打ち込むように言われたんだっけ?」

 男はもともと不注意な性格の持ち主であり、あまり説明書も読まないという人間であったが、さらにこの日は酒が入っていたこともわざわいした。

 鳥がなにやら騒いでいたような気もしたが──ほんの気まぐれから、生年月日の設定を生まれたての赤ん坊に変更してみた。


 とその瞬間、ツイッター鳥の青色が灰色へと変わり、完全に沈黙した。

 ああ、なんたること。

 男がいままで築き上げてきた青い鳥との楽しい思い出が、一瞬のうちに無残にも凍結された。

 この鳥は13才以下の人間の所持を固く禁じていたのであった──。


◉8月29日は「メーテルリンクの誕生日」


ややウチワネタなので、補足書き足す。

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