第六話 兎と砂時計その10

「んじゃ二本流すから、一本目は日常編を流すぜ、説明文とか出るけど短いからな」


 メニューを操作する色鳥。


「スタート!」


 その言葉と同時に巨大モニターに動画が映し出された。

 カジノのテーブルに品のなさそうな男と縁がカードで勝負をしている。

 縁の隣で勝負を見ている斬銀が居た。


『がははは!また勝ったぜ!兎のあんちゃん、悪いな』


 大量のカジノコインを目の前にして大笑いをしている男。


『いえいえ、負けたんだから仕方ないですよ』


 涼しい顔をしている縁。


『おいおい縁、負けてていいのか?』


 斬銀はため息をしながら縁を見ている。


『いいんだよ』


『がはは!愉快愉快』


 男はこの世の幸せを独り占めしたような笑顔をしていた。


『俺は幸せを運ぶ兎だからな』


 縁はクールに笑う、それと同時に字幕が現れた。



 縁


 実は幸運の神様なのだが、それを隠しつつ兎の亜人として平凡な日々を過ごしている。



「平凡?」


 スファーリアはジト目で縁を見た。


「普段は一般人と変わらない生活してるからな、説明しようがない」


 縁はフッと笑う。



 巨大モニターには色鳥が映ったいる。


『よっ!』


『お兄ちゃん竹馬出来るんだ』


『俺にも教えて!』


『私も!』


『順番な順番』


 色鳥が竹馬に乗っていて、子供達が色鳥を囲んではしゃいでいる。



 字幕が表示された。


 色鳥


 遊びの加護を持っている人間で、普段は仕事もしないで一人旅をしている。

 子供達とは異様な速さで友達になる事が出来て、子供の知り合いは多いが、その親からは高確率で不審者扱いされる。



「色鳥君は無職設定だったのか」


 スファーリアはチラッと色鳥を見た。


「色鳥らしいな」


 縁は頷いた。



『王様、見て見て!王様達を描いたんだよ!』


『素晴らしいな……ふむ、よく描けてるじゃないか』


 絵を受け取るグリオード。


『王様にプレゼント!』


 少女はニコニコ笑っている。


『麗華、この絵を額縁に入れてくれ』


 グリオードは少女に貰った絵を麗華に渡した。


『グリオード様、またですか?』


 麗華は絵を受け取りながらため息をした。


『賞賛に値するからな、とっておく』


『わかりました』


 字幕が表示される。



 グリオード


 賞賛の加護を持っている人間。

 自分の国を持ち、良き王様であるが、その昔痛い目を見た為に加護の力は使わずに努力をするようになった。


「普段はそうだな」


 縁は頷いた。


「王様に裏があるって怖いんだけど」


 スファーリアはジト目で巨大モニターを見ている。




『お姉さん、この本貸して下さい』


『ほほう、世界お利口さん辞典を借りるとは、少年やりますね』


 図書館のような場所で少年は本をいずみに手渡している。


『僕は馬鹿になりたくないからね』


 少年はエリート風を吹かしている。


『ふむ、ならばこちらもどうぞ』


 いずみは指を鳴らした、すると本が現れその本を少年に渡した。


『世界お馬鹿さん辞典?』


『お馬鹿さんとお利口さんを両方知る事が賢いヒトへの成長です』


『僕は馬鹿に興味が無いんだけど』


 少年は世界お馬鹿さん事典をいずみに返した。


『少年、知らない事は罪ですよ?間違った知識を植え付けられたり、全て正しいと言われたりね』


『よくわかんない』


『おっと失礼、返却期間は守って下さいね』


 いずみは図書カードに記載をする。


『はーい』


 少年は世界お利口さん事典を抱えて走っていった。


『ふふふ……子供にはまだ難しいですか』


 字幕が現れる。



 博識いずみ

 説明と解説の加護を持っている説明好きな自称おばちゃん。

 ちょっと秘密の場所で図書館を管理している司書さんです!



「自称おばちゃん?」


 スファーリアは首を傾げて縁を見た。


「ま、それには深くツッコミをしないでおこう」


 縁は首を振った。



『みなさん、今日は道徳のお話しをしますね』


『はーい』


 教会の庭で子供達にお話をするシンフォルト。


 字幕が表示された。


 

 シンフォルト

 モラル島と呼ばれる場所でシスターをしている。

 道徳を広める為、よく旅に出ていてアグレッシブなシスターだ。


「説明と映像短くない?」


 スファーリアは首を傾げた。


「まあまあ、日常だから」


 縁は苦笑いをする。



『よし、おじさんにしっかり捕まってるんだぞ』


『うん』


『よし、引き上げてくれ!』


 画面には断崖絶壁に取り残された少年を救助している陣英が移されている。



 陣英

 生命という名前の傭兵集団に所属していて、普段は人命救助や復興支援、たまに戦場で戦ったりしている。

なんか、後半一枚絵になってない?」


 スファーリアは色鳥を見た。

 

「本人の要望さ」


 色鳥は笑う。



『お茶会は楽しいですわね』


 ゴスロリ衣装の女性達と優雅にお茶会を楽しむ絆の姿が映っている。



 絆

 縁の妹であり、普段は知り合いと優雅なお茶会をしている。



「絆ちゃん説明短! 解説も短! 何で!?」


 スファーリアは縁を見た。


「普段のロールは友人とお茶会しかしてないしな、絆は」


「ほー」

 

 スファーリアは頷いた。


「少々手抜きだがこれが日常編だが」


 色鳥がメニューを操作している。

 巨大モニターに集まったプレイヤー達はワイワイ盛り上がっていた。


「説明文が比較的短かった気がするが?」


 椰重は色鳥を見た。


「あくまでも『日常』だからな、普段なにしてるか程度でいいんだよ」


「なるほど」


 椰重は頷いた。



「次は説明文がちと長いから読めないと思うが、後で森山ボックスの動画サイトにも上げるから気になる人は見てくれ~」


 色鳥は巨大モニターに集まったプレイヤー達を見た。


「んじゃ真実編流すぞ、設定のネタバレとちょっと血だらけとかの過激シーンもあるから、知りたくない人や見たくない人はモニターオフ設定よろしくな」


「あたし達は大丈夫~」


「拙者も大丈夫でござる」


「くぅ~みたいような見たくないような」


「早くしなさい、迷惑かかるでしょ」


 プレイヤー達はそれぞれ反応している、しばらくしてプレイヤー達の準備が出来たようだ。


「んじゃ、流すぞ~」

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