第五話 遊ぶ範囲と兎達その11

「何故だ! 何故スキルが発動しないんだ! どうなってるんだ!」


 アーグルアは首だけ動かせるようで、上下左右に暴れている。


「縁さんの力ですよ?」


 いずみは可愛いいウィンクをアーグルアにした。


「そいつは幸運の神なんだろ!?」


 アーグルアは縁を睨むが、縁はじっとアーグルアを見ている。

 

「正確には幸運と縁の神様ですね」


「だからどうした!?」


 アーグルアはいずみを見た。


「縁切りですよ、縁切り」


 いずみは右手でチョキを作り、指を動かしている。


「どういう意味……」


「あーはいはい、もう全部説明しますからちょっと黙ってお馬鹿さん」


 いずみはため息をした後、アーグルアを小馬鹿にする目で見た。


「先程の話と絡めて説明しますね?」


 いずみはメガネをキラリと光らせた。


「異世界の人に興味を持ってもらう」


 右手の人差し指を立てた。


「異世界とはゲーム感覚でいい」


 次に右手の中指を立てた、またチョキの形になり指を動かしている。


「人選をし、事故死等にみせかけて魂をコッチに持ってくる」


 更に薬指を立てたが動かさない。


「んで、隷属の神が死んだ人や異世界に来たい人達を私達の世界に住まわせるわけです」


 そして右手の小指を立てた。


「お馬鹿さん、ここまでわかりますか?」


 いずみの右手の指は四本立っていて、親指が激しく動いている。

 親指が抗議しているようにも見えなくはない。


「誰が馬鹿だ!」


「あ、もういいです、縁さんにだけ説明しますから」


 いずみはアーグルアに舌打ちをした後、ニコニコしながら縁を見た。


「何かの循環の一部だよな?」


 縁は首を傾げた。


「認めたくないですが、いい循環と思います」


 いずみはため息をした。


「私はこの循環に名前を付けました」


「ほう?」


「『異世界信仰循環』そのまんまですね」


「そんな循環にかっこよさは必要ない」


 縁は首を横に振った。


「縁さん、集めた人物達をどうするか説明しますね?」


 いずみはメガネを光らせた。


「あ、寸劇はめんどくさいので口頭で」


「ああ」


 縁は頷いた。


「まず隷属の神は死んだ人物に力を与えます、その人物が敵を倒すと経験値とアイテムとお金がドロップします」


「は? なんだそりゃ?」


 縁の耳を疑うような顔をしている。


「縁さん簡単ですよ、力を受け取った人物が誰かを殺します」


「ふむ」


 縁は頷いた。


「殺された人はゲームのようにポンと消えます」


「は? 死体は?」


 縁は首を傾げた。


「時と場合によりますが、たいていは『供物』として自動的に捧げられます」


 いずみは右手振りながら人差し指を立てて。


「経験値やアイテム、お金に変換されるんですよ、簡単に言えば給料みたいなもんですね」


 メガネのズレを直しながら説明を続けている。


「んで供物の強さに応じて経験値が入ります、経験値を貯めればレベルアップして、隷属の神から力を更に貰えると」


 縁はそれを聞いて目つきを変えた。


「まさにゲームですよ」


 いずみはため息をして、黙っているアーグルアを呆れたように見る。


「なるほどな、信仰心と供物を集めるにはいいサイクルだ」


 縁の唇は怒りを我慢してるのか痙攣していた。


「隷属の神が連れてきた人物全てが、お馬鹿さんではないのが救いです」


 いずみはアーグルアに対してニコッと微笑んだ

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