第五話 遊ぶ範囲と兎達その6

「ここか」


 色鳥達は豪華に装飾された扉を見つけた。


「縁、手出しはするなよ?」


「我は幸せを願うのみ」


「神様状態のお前は扱いつらい」


 色鳥は苦笑いしながら豪華な扉を開けた。


「皆様! 次の挑戦者がやってきたようです!」


 色鳥はスポットライトのような光に照らされる。


「ようこそ正義の味方さん!ルシファント地下闘技場へ!」


 色鳥は周りを見回した。


 中央には血にまみれた大男が立っている。

 周りには血だらけの武器が散乱していて、それを囲むように観客席があるようだ。


「幾度と無く正義の味方がここに訪れて散っていきました! 男も女も無残に殺されるか犯される! 今回はじわじな殺す男! 殺人鬼の熊五郎だ! 無残に殺されるぞ!」


「いいぞー!」


「殺せー!」


「ぶちまけろクマー!」


 実況らしき男の解説で会場が湧き上がっている。

 観客は60人くらいで大人や未成年もいるようだ。


「……は?」


 色鳥は中央に向かって歩き始めた。


「正義の味方じゃないんだが?俺は命を弄ぶ奴らを殺しにきただけなんだ」


 色鳥は辺りを見回して実況者を探した。

 観客席よりも高い位置に奇抜な衣装を身にまとった男が身を乗り出している。


「それは正義ではありませんか!?そして我々はビジネスとして娯楽をお客様に提供しております!」


 実況男は身振り手振りをしながら話をしている。


「いや、そんな事聞いてねぇんだよな」


「そして貴方達は勝たなければ生きては帰れない! 生き残ってもジャスティスジャッジメントからは逃げ切れない!」


 色鳥をビシっと指差す実況男。


「てめぇらが命を弄ぶ確証が得られたら好都合だ、全て殺してやるから安心しろ」


 色鳥は観客達を見ている。


「可哀想な人だ! 同情の余地もある! しかし、この場においては情け無用だ!」


 今度は泣き真似をしている実況男。


「あ、情け無用なのか、なら観客も殺せるな」


 色鳥は指をパチンと鳴らした。


「おっと!? 観客に出だしは出来ないぞ! 最新鋭のバリアが観客を守っている!」


 観客席を守るように青い光がキラリと光った。


「なんでそのコメントは拾うんだよ」


 色鳥はため息をした。


「モウイイ、ハヤク戦わせロ!」


 熊五郎は血だらけの斧を拾い上げた。


「なら遊ぼうか、遊びにはルールが必要だ」


 色鳥は熊五郎の正面に立った。


「そうだな……」


 色鳥はニヤニヤと考えている。


「観客が自害しすれば俺は死ぬ、ただし観客が心から懺悔をしながらでなければ無効」


 色鳥はブツブツと考えている。


「それ以外で俺に怪我もしないし死にもしない」


 色鳥はニヤリと笑った。


「ワンチャン可能性は残した、お前達は理不尽が好きらしいからな……楽しくなりそうだ」


 色鳥は仁王立ちをする。


「挑戦者! 何かわけわからない戯れ言を言っているぞ!」


 実況男は大笑いしながら、壁を叩いている。


「ハハハ! 命乞いなら面白くしろ!」


「そーだそーだ!」


「土下座しろ!」


「いや! 無残に死ね!」


 観客も言いたい放題色々と叫んでいる。


「さ、お遊びを始めようぜ?」


 色鳥はにっこりと笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます