第四話 桜と祝福の鐘その8

「ごめんなさい、あなたから自然への感謝を感じたので、私はシンフォルト小さい教会でシスターをしています」


シンフォルトは風月に対して深々とお辞儀をした。


「これはご丁寧に、風月といいます」


風月もつられて深々と頭を下げた。


「さて、挨拶もしましたし、村の皆様を解放いたしましょう」



 村人達は村の倉庫に閉じ込められていて、シンフォルト達は村人を解放した。

 盗賊団もとい山賊もとい山の民達は正気を取り戻し、おかしらが村長に謝罪、村長はその謝罪を受け止める。

 村長はシンフォルト達を自宅に招き、お茶をご馳走してくれる事に。

 大きなテーブルを囲んで椅子に座り、村長の奥さんがお茶とお菓子を用意してくれた。



「皆様、村を救ってくださり、ありがとうございます」


 村長は深々と頭を下げた。


「いえいえ、道徳心の導きですので」


 シンフォルトは頭を下げた。


「村長はどうやってシンフォルトに助けを求めたの?」


 風月は村長に質問をした。


「助けて下さいと願っただけですよ」


「え? それだけ?」


 風月は疑う眼差しでシンフォルトを見た。


「私、道徳心の高い方の祈りを感じ取る力がありまして」


「以前この村を訪れた時に村長さんとお話しをし、道徳心の高い方とお見受けし、教えたまでです」


「ほえ~」


 風月は軽く頷いた。


「村長、この村の御神体がすり替わっていたんだが、何か知らないか?」


 何時になく真面目な顔をしていた縁。


「御神体が!?」


 村長は前のめりになって縁を見た。


「失礼、あの祭壇にあった御神体は幸運の女神の一人、雫様の御神体があったのですが」


「偽物にすり替わってたな、村人以外であの祭壇に近寄った奴は居ないか?」


「あなた、この間来た商人じゃないかしら?」


 奥さんが手を叩いた。


「確かに、村人以外で祭壇に案内したのはその商人だけだな」


「って事はその商人がすり替えて、今回の事件が起きたと」


 斬銀は優雅に紅茶を飲んでいる。


「いや、何か事件ってレベルじゃなかったよね? 言い方悪いけどさ、茶番だよね」


 風月はズバッと言った。


「この村に祀っている神様は複数人居ましてな、もしかすると、守って下さったのかもしれませぬ」


 村長は笑った。


「え~本当かな~神様っていまいち信用ならないんだよね」


 風月は村長を疑いの目で見ている。


「あらら、信用無いって言われたよ」


 縁は苦笑いをした。


「風月さん、この方達は見返りを求めず神に祈り、日々を過ごしているようです、道徳心が悪しき力から守ってくれたのです! 道徳万歳!」


 早口で力説するシンフォルト、風月は迫力に押されている。


「ま、結果的に茶番で済んで良かったじゃねーか、悲惨な結果より全然ましだしな」


「なるほど、確かに……浅はかな私を神様は許してくれるのかな?」


 風月は縁を見た。


「俺は懺悔は受け付けてないな、そちらにどうぞ」


 縁はシンフォルトを指差した。


「風月さん、自分の過ちに気付いたあなたの道徳心に、幸あれ」


 シンフォルトは祈りを捧げた。


「どうやら許されたようですな、ハッハッハ」


 フォルクは高笑いをした。


 

 しばし皆で談笑をし、縁達はおいとまする事に、村の入り口まで見送りに来てくれた村長夫妻と村人達、山の民のおかしらと部下も。



「ありがとうございます、何と言えばいいか」


 村長は再び頭を下げた、顔を上げて縁の顔を見た。


「失礼ですが、貴方は雫様を知っていますか?」


 村長は縁を見ている。


「母上ですね」


「な、なんと!?」


 村長は姿勢を正した。


「母上をご存知で?」


「は、はい! ここに村を作る時に助言をいただきまして」


 村長は慌てて説明をしている。


「あらあら、落ち着いて下さい」


 シンフォルトは笑った。


「貴方様の雰囲気が雫様と似ていたので」


「母さんみたいな雰囲気か……」


 縁は複雑な顔をした。


「昔の母さんは知らないけど……うーん」


 縁は考え込んでいる。


「あ、呼び止めて申し訳ありませんでした、良ければまたお越しください」


 村長は再び頭を下げた。


「この村と山に、いいご縁が有るように祈ってるぜ」


 縁は右手をひらひらさせた。


「それでは皆さん、まいりましょうか」

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