第四話 桜と祝福の鐘その3

 しばらくして、車は虹色のもやもやに突入した。

 もやもやの中は宇宙空間のように暗かったが、星のようにきらめくオブジェクトやデザインのいい街灯がある。

 そして、ひときわ目立つ建物があった、車はその建物の駐車場へと向かう。



「すまんが30分くらい休ませてくれ」


フォルクが欠伸をした。


「ならば拙者は聞き込みをしてくるでござる」


青桜は車から降りて、何処かへと歩いていった。


「あたしはあの建物に行きたい!」


風月は大興奮で建物を指差した。


「うっし、なら縁、俺達は風月について行くか」


「ああ」



風月も車を降りる、風月を先頭に縁と斬銀は建物へと向かう、風月はガラスで出来た扉の前に立った、取っ手が無いのに気付いた風月は、ドアをキョロキョロと見ている。

鈍い音と共に開いたガラスの扉、風月は少しビックリした。



「こ、これが噂の『左右自動開口扉』ってやつか!」


 風月は自動ドアに感動している。


「かっこいい呼び方だな」


 斬銀はフッと笑った。


「入り口に居たら邪魔だよね」


 風月は中へ入って、左右をキョロキョロ。


「おや、あれは」


 左側に自動販売機を見つけた。


「『自動接客箱』ってやつか!」


 風月は小走りで自動販売機に近寄る、左側のスペースは机と椅子があり、休憩所のようだ。


「意味が伝わるってすげーよな」


「そうですね」


 縁達は風月を追った。


「あたしの持ってるお金で買えるのだろうか?」


 風月は財布を取り出して中身を確認している。


「ああ、これら全てタダだぜ?」


「うお!? マジかよ!」


「ただ、食べられる量にしろよ?」


「あたしゃ子供か! それくらいわかっとるわ!」


 それぞれ好きな物を選び、椅子に座った。


「ほほ~これが『ぷりん』とな? ぷるぷるしていて、ういやつじゃの~」


 スプーンでプリンをつんつんする風月。


「して、斬銀のそれはなんでおじゃる?」


「何で……公家くげの言葉遣いなんだ?」


 斬銀は苦笑いした。


「『ヨッシオンの秘の薬』って名前のラムネ、お菓子だな」


 小皿に小さく丸い白色のお菓子と紙コップに入ったコーヒーがある。


「何で……ラムネなんだ?」


 縁は首を傾げた。


「お前には言われたくねーぞ?」


 斬銀は縁が持ってきた物を見た、細長い透明なプラスチックの容器に人参を細長く切り刻んだ物が入っている。


「ただの人参スティックうさ」


「いきなり語尾を付けるな」


 斬銀はジト目で縁を見た。


「『くっ! 農業をしたくて右手が疼く未来人が、過去に戻って農家になったのだ、しかし、未来からの刺客のうかがやってきた、俺はただ人参を作りたいだけなのにハチャメチャドラマティックな農家生活、セカンドシーズン』」


 斬銀は人参スティックが入っている容器のラベルを呼んだ。


「色々と可笑しいだろ、ラベルはラベルでもライトかよ」


 斬銀はため息をした。


「あ、上手い、だがそれはノベルだな」


「それはさて置き、食べようよ、30分て案外直ぐだからさ」


 風月は美味しそうにプリンを食べている。


「そうだな」


 縁は頷いた。



 3人か談笑をしていると青桜がやってきた。



「あまり有力な情報を得られ無かったでござるが……」


 青桜はフッと笑った。


「どうやら山の民は用心棒を雇ったようでござる」


「用心棒か、厄介だな」


「『血桜』と呼ばれた侍をな」


 青桜の言葉に縁と斬銀がビックリした、風月はそんな2人を見て首を傾げた。


「さて、そろそろ時間でござるな」


 青桜は壁にかかっている時計を見て時間を確認した、車へと戻る縁達。


「フゴー! フゴー!」


 運転席のドアを開ける青桜、フォルクはわざとらしいような寝息もとい、いびきをしていた。


「これフォルク、そろそろ出発でござるよ」


 青桜は座席を倒しているフォルクを優しく揺り起こす。


「フゴ? なんじゃ、もう出発か」


 フォルクは座席を起こし、ドアを閉める、青桜達は車に乗り込んだ。


「では、出発じゃ」



 車はゆっくりと発進し、進行方向に再び虹色の道ともやもやが現れる、スピードを落として、もやもやに突入した。



『目的地周辺に到着しました、ご利用ありがとうございます』


 

と、車から音声が流れた。

 

「さてと」



 フォルク達は車から降りる、辺りは木々がちらほらとあり、爽やかな風が流れる。

 少し遠くに建物が見える、木造の家やレンガ作りの家が建っていた。

 車のトランクから杖を取り出すフォルク。



「縁、どうしたのじゃ?」


 フォルクは縁を見た、縁は何かを感じ取ったのか、顔が険しい。


「神の力を感じる、俺が暴れると逃げる可能性があるな」


「それ、縁に恐れるってよりは、甘い汁が満足だから退散って感じ?」


 風月はニヤニヤしている。


「隠すつもりもない悪意を感じる、そして以前にもあった気配だ」


 縁は眉をひそめている。


「で、縁はどうすんの?」


 風月は縁を見た。


「逃げられないようにするだけだ、ちょっと時間がかかるし、戦闘も出来ん」


「オッケー、最終兵器戦力外通告って事ね」


 風月は縁をペシペシと叩いた。


「何かひでぇな」


 縁は苦笑いした。


「ならば拙者は縁を守るでござる」


 

 青桜は車のトランクから青い鞘を取り出し、左腰に差した、その鞘に刀は収まっていない。

 フォルクは車に鍵をかけた。



「少しだけなら手伝ってあげるよ」


 風月は片手で逆立ちをしている。


「遊ばせてもらおうか」


 負けじと斬銀は人差し指で逆立ちをしているが、プルプルと震えている。


「では皆さん、参りましょうか」


 フォルクを先頭に村へと歩き出した。




 約二名は逆立ちしながら……




「なんだぁ、変な奴らが歩いてくるぜぇ?」


 絵に描いたような山賊が入り口で見張りをしていた。


「人を集めるぞ」


「ヘイ!」


 見張りの山賊達は村の中へと入っていった。


「見つかってしまいましたな、ハッハッハ」


 フォルクはいい笑顔で笑っている。

 

「いや、隠れる気は無かったよね?逆立ちしてる私が言うのもなんだけど」


 風月はジト目でフォルクを見た、フォルク達は村へと入っていく。

 すると、ろぞろと山賊風味の衣服をまとった男達が出てきた。

 風月と斬銀は逆立ちを止める。



「へっへっへ! 何しに来たのかしらねぇが、このトドギラン村は俺達が選挙しているぜ!」


「おかしらー! イントネーションが違いやす!」


「馬鹿野郎! 言わなきゃわかんねーだろ!」


 おかしらはツッコミをした部下をスパーン!といい音で頭を叩いた。


「ハッハッハ、選挙活動とは……頑張って下さい」


「はい!」


 おかしらは頭を下げた。


「って、そうじゃねぇ! 俺達は占拠したんだ! 命がおしかったら、金目の物を置いていきな!」


 おかしらが武器を抜くと、部下達も武器を抜いた。


「仕方有りませんな、斬銀さん、風月さん、懲らしめてやりなさい!」


 フォルクは強い意志を持った目でおかしら達を見る。


「はっ!」


「御意!」


 斬銀と風月はフォルクをかばうように前に出た。


「縁、拙者が守るゆえ、黒幕は任せたでござるよ」


「ああ」


 縁は瞳を閉じて集中し、青桜は縁の前に立った。


「生意気な!やっちまえ!」



 おかしらが部下に指示を出すと、10人の男達がフォルクへと襲いかかろうとする。



 が。



「アチョー!」


 風月は持ち前の素早い動きで、武器を持っている男達の利き手を次々と攻撃する。


「な、なんだ!?」


「み、見えねぇ!?」


「は、速……いってぇ!」


 あっと言う間におかしら以外の武器を持っていた男達は、武器を落として利き手を押さえている。


「こんなもんでしょ」


 風月は満足そうに笑っている。


「くっそー! てめぇら!しっかりしやがれ!」


 おかしらは部下に喝を入れる、立ち上がる部下達

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます