第三話 太陽の花を採取 後編 その8

「おーい、地面に刺しといったぜ~」


 縁の声に皆が反応し、その方向を見ると、地面にアンプルが刺さっている。


「陣英さん、陽気な音楽って、何でもいいの?」


「ああ」


 陣英は頷いた。


「えっと……どなた?」


「私はスファーリア、よろしくお願いします」


「ああ、よろしくな」


「陽気な音楽、任せて」



 スファーリアは指をパチンと鳴らすと、色々な楽器が空中に現た。

 楽器はスファーリアの近くを、時計回りにゆっくり回っていた。



「自慢の楽器達」


 スファーリアはドヤ顔をしている。


「突っ立てるだけじゃ面白くないから、俺も手伝か?」


 縁は楽器に近寄る。


「あらお兄様? 楽器出来ましたっけ?」


 絆はニヤニヤと笑っている。


「いや、出来ないが……運良く出来るだろ」


「縁君、大丈夫」


 スファーリアは縁をじっと見た。


「この楽器達は、心に反応して音を奏でたり出来る」


 楽器達は、楽しそうに音を鳴らしている。


「あら? よくわかりませんが、持つだけでもいいのかしら?」


 絆は楽器達に近寄った。


「まあ、魅力的なマラカスですこと」


 そのマラカスは黒い色で、持ち手が白い。


「それは『仲良しごっこのマラカス』」


 スファーリアは絆を見た。


「名前だけ聞くと不吉、と言うかなんというか」


 リッシュは苦笑いをした。


「仲のいい人達を見て、気に食わない人が、そう言う暴言を吐く事を表したマラカス」


「このマラカス達は、普通の仲良しさんなのですわね?」


 絆はマラカスを手にとってみた。


「……不思議と手になじむ気がしますわ」


 マラカスを振ってみる絆、シャッ、シャッと音がなる。


「それは絆ちゃんが、名前負けしないように人との絆を大切にしているから、音で解る」


 スファーリアはエッヘン!と腰に手を当てた。


「ほ~面白そうじゃないか」


 リッシュも楽器に近寄った。


「そいや兄さん、さっきから、ポケットあさってたけど、何探してたんだ?」


「ああ、ひかりにコレを貸そうと思ってな」


 リッシュはポケットから腕輪を取り出した。


「ほれ、これ付けとけ」


 白い腕輪をひかりに投げるリッシュ。


「うお! なんか高そうな腕輪が飛んできた!」


 ひかりは、慌てて腕輪をキャッチする。


「そいつは簡単に言えば『攻撃出来なくなるけど、無敵!』だな」


「ほえ~……でもなんで?」


「万が一の備えだよ」


「なるほど、お気遣いサンキュー!」


 ひかりは左腕に腕輪をはめた。


「さって、俺も何か楽器を借りるかな」


リッシュは、ふよふよと浮いている楽器を見た。


「む? なんだこりゃ?」


 リッシュはある楽器を見た、それに手を伸ばそうとすると、楽器の方からからスッとリッシュの手に収まった。


「それは『絶対に許さないほらがい』だよ」


「ほらがいって……楽器か? なんつーか、出陣とかで吹くイメージが」


 リッシュは苦笑いした。


「細かい事を気にしたらダメ」


 両手の人差し指で×印を作るスファーリア。


「俺はコレにするかな」


 縁はトランペットを手に取った。


「ふむ、縁君はそれか」


「ちなみにこのトランペットの名前は?」


「『終わりを告げるトランペット』」


「なんか普通だな」


 縁は期待して損をしたような顔をする。


「まあ、そう言わず」


 スファーリアはため息をした。


「私は歌を歌うよ!」


 フレビィレンスはジャンプしている。


「準備が出来たようだな」


 陣英は、スクワットをしていたようだ。


「って、私達どうやって、この太陽に力を注ぐの?」


 ひかりはハッとした顔をした。


「そりゃお前、あの52号の上に乗って、漕ぐに決まってるだろ」


 小錦はしれっとそう言った。


「よし、女は度胸! やってやる! 小錦、ジャンプ!」


「おう!」


 小錦はひかりを乗せて飛び跳ね、52号事、フレビィレンスの作った太陽に乗っかった。


「玉乗りみたいだな」


 リッシュは苦笑いした。


「陣英、出来上がったら、52号どうすんだ?」


 小錦は陣英を見た。


「空中に上げてくれ」


「合図くれたら、私が上げるよ!」


 フレビィレンスは、シャドウボクシングをした。

 

「よし! ぼちぼち始めようぜ!」


 リッシュは、ほらがいを掲げた!

 皆、それぞれが構えた!



 が、誰も何もしなかった。



「って、誰かが始まりの合図しなきゃな」


 縁は苦笑いした。


「なら私が」


 トライアングルに乗っているスファーリアは、空中へと移動した。


「音楽をする人達、滅茶苦茶でいいから、心から楽しく演奏して、自分の色を出して」


 縁達は楽器を掲げ答えた。


「フレビィレンスは好きなように歌っていいからね」


「は~い」


 フレビィレンスは手を上げた。


「他の人達は自分のタイミングを大事にしてね」


 陣英達は頷いた。

 スファーリアはトライアングルビーダーを、指揮棒のように細く変形させた。


「じゃあ、さん、はい!」


 スファーリアは指揮者のように指揮棒を振る。


「行くよ!小錦!これが私達の魂の叫びだよ!」


「おう!」


 ひかりはペダルを漕ぎ始めた。


「っしゃ! 俺も続くぜ!」



 リッシュは、ほらがいを思いっきり吹いた!

 ぶおおおおぉぉぉぉ!

 と、ほらがいの音が響いた。



「わたくしも、負けていられませんわ!」


 

 絆はマラカスを、ジャグリングのように扱い始めた。

 空中に投げたり、サッカーのリフティングみたく、蹴り上げたりもしている。

 シャカシャカと鳴るマラカス。

 絆もマラカスも楽しそうに、遊んでいるようにも見えた。



 縁も2人を見て、トランペットを吹いてみた。

 プァ~

 と、なんとも情けないく、高い音が出た。



「なかなか面白いな」


 フッと笑った縁は、心のままに吹いてみる事にした、すると。

 プァプァ、プァープァプァ、プァプァプァー。

 と、そこそこの音を出す縁。

 そんな3人を見てフレビィレンスは、ニコニコしながら、身体を揺らしてリズムをとっている

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