第二話 レアスナタの世界観その9

「あんた随分とボロボロのマントだねぇ」


 リステイナのマントはボロボロで所々穴が空いていたり、補強していた場所がまた破れたりしている。


「手入れはしてるんだけど色々とあってね」


 リステイナはパラパラを踊りながら受け答えをしている。


「そんなんじゃいい男が台無しだよ、あたしが新しいのを編んでやろうじゃないか」


「お、ばっちゃんいいの?オイラ、銭は無い銭! なんてな」


「お金なんていらないよ、セイザを手助けしてくれたんだしね」


 リステイナの寒いギャグは華麗にスルーされた。


「んじゃ、お言葉に甘えるッスよ」


 リステイナはパラパラから何時の間にかラジオ体操をしていた、しかも第三である。


「東洋には今直している刀の修復を急いでやろうかねぇ」


 ブルモンド・霊歌はニヤリと笑いながら東洋を見た。


「いや、急がなくていい」


「そうかい、まああんたがそういうならいいけどね」

ブルモンド・霊歌の笑い声が辺りに響き渡るする。


 東洋はブルモンド・霊歌に刀の修復を依頼していたようだ、縁の両親も知っている口振りだ、ただの加治屋ではなさそうだ。



「兎の兄さんや、あんた名前は?」


 再びブルモンド・霊歌は縁の方を見た。


「俺は縁、単なる兎の亜人だよ」


 縁は一応神様なのだが縁的にはそれは秘密らしく亜人で通しているようだ。


「そうかい、縁というのかい…なら、その名の通り何か困ったらあたしを頼るといいよ、人脈も縁という力の一つだからね」


「確かに人脈も力の一つだ、ま、覚えておくよ、ブルモンド・霊歌さん」


 縁とブルモンド・霊歌は何かを確認しあうかのように互いに笑った。


「縁、リステイナ、そろそろ行くぞ、ラキアグの街には物資の補給に来ただけだからな」


 会話を断ち切るように東洋がそう言いはなった、それを聞いて縁とリステイナは何かを感じて頷いた。


「では我々はこれで失礼する、また時間がある時にでも寄らせておう」


「あたしゃの工場は転々としてるからね、どっかで出会った時はそんときゃよろしく頼むよ」


 ブルモンド・霊歌は軽くお辞儀をした。


「まあお会いしましょう、皆様」


 セイザは優雅にお辞儀をした。


「またな、ばっちゃん」


 リステイナは見頃なムーンウォークでラキアグの商店街の方へと歩きだした。


「じゃあ、俺の名に出会いがあるならまたな」


 縁はそう言って歩き出した、東洋は特に何も言わずに歩き出した。

 そして、ある程度歩いた三人は突如として消えた。




 何処に消えたかと言うと、ロールエリア受付ロビーへと戻ってきたのである、受付ロビーは人が沢山いる、三人は邪魔にならないよう隅っこに移動した。


「「「ロールお疲れでした!」」」


 三人は向かい合ってお辞儀をした。


「東洋さん、最後ムリくりしめましたね」


 縁は苦笑いしながら東洋を見た。


「レアスナタの使用料金を店で出せるのだって限度があるからな、仕方なかろう」


「まあまあ、縁さん奢ってもらってるんですから」


 リステイナは苦笑いをして縁を見た。


「と言うか戦闘シーンに時間かけすぎだ!いや、人様のシナリオに飛び入りしといて文句言うのもおかしな話だが」


 レアスナタではロール後に色々と言い合うのが醍醐味である、小さな言い争いに発展する事があるが、運営がすかさず仲裁に入るか、考え方の違いで収まる。


「まあまあ、ああいうシナリオなんですから仕方ないっすよ、シナリオ考えた人に合わせるのが飛び入りっすから」


 リステイナは苦笑いしながら言った、縁は軽いため息をした。


「縁はああいう戦闘の時あまり動けないからな、設定が強すぎるのも考えもんだな」


「いやいや、やり方次第だろ?俺だってアホみたいに強い設定だけどな」


 東洋はクールな喋り方ではなく、中の人の喋り方になっている。


「まあ、リステイナもずば抜けて強い設定ですがね、設定を生かせるシナリオはやはり自分で考えなきゃだめっすよね」


「そうだな、人様のシナリオで暴れまわるのは基本ダメだからな、基本だが」



 縁は苦笑いしてそう言った、レアスナタでは様々な設定があるがこの三人はある意味珍しい立ち位置にいるのだ。

 設定が強すぎると無双してしまうし、弱すぎるとやられ役にしかならない。

 やられ役に命を燃やす人も居るがたいていはどんなシナリオに途中参加してもそこそこ立ち回れるような中間の設定が人気がある。

 RPGで例えるならば、中盤と言えばいいか、雑魚には負けないが強敵には負ける立ち位置が一番見せ場があるのだ。




「もう退室時間だから反省会は俺の家でやるぞ、ご飯食わせてやるからな」


 東洋はそう言ってログアウトした、縁とリステイナもそれに合わせてログアウトする。

 ここからは縁ではなく何時もの長谷川に戻る瞬間だ。

 長谷川は荷物をまとめて退室し、店長達と合流をし店長の家で晩御飯を食べながらロールの反省会をするのであった。


続く。

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