第25話 呪いだぁあ!






 とある深い森の中、頭上まで木々が生い茂り、日の光さえまともに届かない。とある領主の息子とその部下達は、そんな深い森の中でとある城を探していた。






「しかし本当に居るんですかねぇ? 茨の城の眠り姫なんて」






「古い文献にはそう載ってたよ。この地域にも昔は有名な王族が居て、今でもその城が残っているそうなんだ。なんでもその城は魔女の襲撃にあって、一人の王女が魔女の呪いを受けたらしい。王女はその呪いで、今でも城で眠らされているとか……」






「しかし坊ちゃんも物好きですねぇ、そんな都市伝説を調べたいだなんて」






 狩人姿をした部下の一人が、上司である青年にそう話しかけた。すると青年は決まりの悪そうな顔で答える。






「別に僕だって好きでやってるわけじゃないよ。父さんが一人前の領主になるなら度胸を見せろってうるさいんだ。この森はいずれ開拓することになるし、その下調べを強引にやらされてるだけだよ」






「ボスは厳しいお方ですからねぇ、坊ちゃんも気苦労が多そうだ」






「ほんとだよ! 僕は父さんとかと違って、人の上に立つとかそんなタイプじゃないし、本当は農業とかもっと穏やかな仕事に就きたいのに……」






 青年はそう言って肩を落としていた。すると近くでガサガサと音がし、黒い何かが飛んで行く。青年達はそれに驚き三人で身を固めた。恐怖で彼らの額からは、ジワリと汗が滴り落ちる。






「ねぇ坊ちゃん、この森何だかどんどん不気味になって来ちゃいませんか? 俺、少し怖くなって来ちゃいましたよ」






 森は奥に進めば進むほど薄暗くなり、生えている木々にも茨が巻き付いて、まるでお化けのようにも見えてくる。青年達は不気味さを増してゆく森に、恐怖を感じ始めていた。






「だ、大丈夫! どうせ伝説は伝説だ、それに茨が生えてきたってことは城も近いはずだ。そこを少し見てくればすぐに帰れるんだ。大したことなんて……」














――うるせぇ、眠れないんだよ。














「「「――ヒィイイ!?」」」






 突如森の中から声が聞こえる。青年達は飛び上がって抱き合う。彼らの顔は恐怖で青ざめ、顎はガクガクと震えていた。次第に彼らの周りで次々と物音が鳴り出し、何かが蠢き始める。蛇か? 動物か? 彼らが蠢くそれに恐れをなしていると青年の足を何かが掴んだ。








「ギャーー‼」








 部下の一人がそれに驚き、持っていたピストルを発砲する。しかし青年は細長い何かに足を掴まれ、どんどん森の中へと引きずり込まれてゆく。部下達は青年を助けるために、彼を追いかけようとしたが、突如周りの植物達が、生き物のように動き始め、その行く手を阻まれてしまった。突然の出来事に彼らはパニックとなり顔面蒼白で逃げ出した。






「ああああああ! 呪いだぁあ! 茨の魔女の呪いだああああ!」






 彼らは青年を置いて町の方へと逃げ帰ってしまった。


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