第5話 舐めるなぁ!!

「て、敵襲―‼」




 ドガーン‼




 大きな爆発音とともに破壊される城門、その爆風の中を一両の馬車が駆け抜ける。


 私は馬車の荷台から、逃げ惑う門兵めがけて飛び降り、持っていた短剣でその喉元を切り裂く。頬には赤い鮮血が飛び散り、舐めると鉄の味がした。




「王の首を討ち獲れー‼」




 後方で馬に乗ったツバメが雄叫びを上げる、その瞬間次々と馬車が城へと流れ込み、武装した王妃達が城へと侵入する。




「出てこい、クソ女ったらし‼ ぶっ殺してやる‼」




「誰がメンヘラ女だ、コノヤロー‼」




「私の純情を返せー‼ やりチン王子がー‼」




「男なんて、皆死んでしまえー‼」




 王妃達は溜まりに溜まっていた毒を吐きながら、容赦なく城の兵士達を打ちのめし、城の主要施設はたちまちの内に破壊された。私達の奇襲は大成功し、完全に不意を突かれた城の兵士達は、狂気じみた王妃達の軍勢に、ただ逃げ惑うばかりで相手にならなかった。とゆうか王妃達、怖すぎるだろ。




「城の守りはほぼ壊滅した! あとは王座の間のフロッグだけだー!」




 味方の制圧完了の合図が上がり、私達は城内奥へと突入する。固く閉ざされた城内の扉は馬車で運び込んだ大量の爆薬で次々と破壊し、ついに私達は王座の間へと辿り着く。




 ボガーン‼




 最後の扉が爆風によって吹き飛ばされ、ツバメを筆頭とした精鋭部隊と共に、私は部屋の中へと突入した。見渡すと部屋の中央に、王と思わしき人物が、悠々と玉座に座っていた。




「テメーがフロッグ王か‼」




「いかにも、私がフロッグ三世である」




 そう答えた男はイケメンというにはほど遠い、カエルのような顔をしていた。背も低く、小太りなひげ面中年男性、これが本当に何人もの女を泣かせたすけこまし王子なのかと疑うほどに、その容姿は醜かった。なんだよ、クソブサイクじゃねーか‼




「お前はすでに包囲されている! 観念して投降しやがれ!」




「フ~ム、そなた達は随分怒っているようだが、一体何者なのだ? 私に何の恨みがあるというのだ?」




 フロッグは少し困ったような表情で答えた。するとツバメが一歩前へと出る。




「忘れたとは言わせないぞフロッグ‼ 私達は今までお前に捨てられてきた王妃だ! お前に捨てられた復讐をするために、再び城に戻ってきたんだ!」




「なるほどそうであったか、いや~なんせ私は妻をすぐに変える主義なのでな~捨てた女の事などいちいち覚えてられんのだ、それはそれは失敬した」




「貴様ぁ! 今まで私達がどんな思いで生きてきたか、今ここで思い知らせてやる!」




 激高したツバメが、フロッグへと切りかかろうとする。しかし王の後ろから出てきた巨大な腕によって彼女は弾き飛ばされ、一瞬のうちに部屋の壁にたたきつけられた。




「ツバメ⁉」




「王に仇なす者、許さるべからず!」




 低い男の声と共に、巨大な影が玉座後ろの垂れ幕から出てくる、全身を傷だらけの鎧で覆い、体長は3メートルはあろうかという巨大な体をした戦士が、姿を現した。




「何だよコイツは⁉」




「フッハッハッハ! コイツはロシオズの国から雇った最強の戦闘兵士だ! 城の守りが手薄になる今日、いざという時のために用意をして置いたのだよう!」




 私達が目の前に来ても、妙に余裕そうだったのはコイツがいたからか!




「残念だったなぁ、使い捨ての女ゴミどもよ、コイツがいる限り、私には指一本触れることはできな―――」




 バキューン! ガキィン!




「イヤッ⁉」




 私が放った銃弾は惜しくも巨大兵士によって弾かれた。すかさず私は空中へと飛び上がり短剣を王の顔めがけて投げる。しかしこれもまた、兵士によってわずかに軌道をずらされ王の足元へと突き刺さる。クッソ! それにも反応できるのかよデカブツ‼ 私は体勢を立て直して、再び王を睨みつけた。




「誰に指一本触れられないだって? こちとら何人いると思ってんだ!」




「数も、募らせてきた思いも、こっちが何倍も上なんだよぉ!」




 私の叫び声を合図に、部屋にいた王妃達が一斉に、武器を持って巨大兵士へと突撃する。




「……舐めるなぁ‼」




 しかし次の瞬間、私達は全員空中へと吹き飛ばされていた。そして状況を理解した時には既に、巨大兵士の大きな腕によって地面へと叩きつけられ、立ち向かった者のほとんどが、声を上げる間もなくその場に倒れていた。

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