五章

第62話

 結局、僕らの前にキャンペーンを攻略したパーティーは三組いたらしい。

 でもそのパーティー全てが初期装備である勇気の指輪を持ってクリアした事。

 また、経験値を稼ぐ挙動などがおかしかった為、不正が行われてるんじゃないかという指摘が他のプレイヤーから相次いだ。

 それは運営を動かし、プロデューサーが調査、謝罪の動画を発表するまでに至った。

 リュウ曰く、そもそも日本で高額賞金の大会を行うには色々な法律をクリアしないといけないらしく、その点もキャンペーンの休止に一役買ってしまったらしい。

 その動画を見て、リュウは呆れ、アヤセは怒り、ヒラリは苦笑し、僕はなんとなくこうなる気がしていた。

 初めての事だとしても、運営は色々とお粗末だったからだ。

 ネットではキャンペーンに対する不平不満が連日書き込まれ、ボイコットすら起っていたらしい。

 本気でやっていたのは上位一%だけと言う人もいる。

 その根拠は分からないけど、否定は出来なかった。本気でやり込んでいないパーティー以外はストーリーダンジョンすら攻略困難な難易度だ。

 いやになって諦めて、叩く側に回った人もたくさんいるだろう。

 でもそんな事、僕はどうでもよかった。あの時感じた熱に比べれば、賞金がどうこうもキャンペーンの休止も気にならない。

 もっと大事なものを僕は手に入れていた。

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