第45話
後ろから見ているとルーラーのプレイに無駄がない事を嫌でも分からされる。
前線に立ったルーラーの四人は見事としか言えない要領の良さで次々と襲いかかって来る恐竜を駆逐していった。
斧使いのゲンジは攻撃モードと防御モードを体力や敵の数などに合わせて完璧に使い分け、両手剣のカズマはどの敵から倒せばいいのかを瞬時に理解し、斬りかかる。
レイチェルのプレイは一見乱暴に見えて繊細だった。
前衛の二人が戦いやすいよう、敵に状態異常をかけたり、高火力の魔法で削ったりと無駄がない。
精霊使いのアイリスは全体魔法が弱い難しい回復を一手先まで読み切ってこなしている。これだけいる敵がどのタイミングでどれだけのダメージを与えるかを計りきって先手を打っていた。
全パーティーで最強と言われるルーラー。
その名の通り彼らはダンジョンの支配者だった。
彼らの評価には一片の曇りもなかった。
もしかしたら僕とリュウがいた頃より強くなっているかもしれない。少なくとも僕の方がゲンジより上手いと胸を張れなかった。
すごい。そう感嘆しながらも、僕は別の感情を抑えきれなかった。
負けたくない。
そう思いながら僕は後ろでルーラーのサポートに回った。
素早いラプトルや空から来るプテラノドンにヘイトを稼いでいく。それでもやることはあまり多くなかった。
次の階へ行く一歩前のエリアで現われた巨大なティラノサウルスと背中に帆があるスピノサウルス。
僕らエデンが本格的に参戦したのはここからだった。
「そっちは任せるぞ」とカズマが僕に言う。
僕は「分かった」とティラノサウルスを請け負った。
戦いの中でも僕はルーラーの事が気になって、ちらちらと見ていた。
それをリュウが「あとで動画で見れるよ。今は目の前の敵だ。負けたらレイチェルがうるさいぞ」と指摘した。
どうやらリュウも僕と同じ気持ちらしい。
「・・・・・・そうだね。行こう」
剣と盾を構え、咆哮する太古の龍を前に思う。
僕はもっと上手くなりたかった。
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