ポストアポカリプス世界に異世界トリップ!?

パクリ田盗作

第1話 MODを入れたら異世界トリップ!?


 異世界トリップというジャンルを知っているだろうか?


 昨今のWEB小説でよく題材にされるジャンルで、現代社会で暮らす主人公が様々な要因で現代社会と文明文化風習風俗種族の違う世界に転移してしまうことだ。


 で、なぜこんな話をしているかと言うと……俺もこの手の異世界トリップに遭遇したからだ。


 俺の名は深山裕次郎、34歳、男、しがないサラリーマンだ。

 この世界に来る前の俺は、大型連休前日の夜、晩酌を堪能しながらパソコンでゲームをしていた。


 プレイしていたゲームはエンドレスホライズンというタイトルで、世界観は核戦争によって文明が崩壊したポストアポカリプス世界、ゲームジャンルはオープンワールドRPG。


 メインストーリーはプレイヤーが放棄された研究所の培養液が詰まったカプセルポッドの中で目覚め、自分が何者なのか探し出すために文明崩壊した世界を旅する。

 無論オープンワールドなのでメインストーリそっちのけでサイドクエストで遊んだり、ハウジングシステムで基地や集落を作ったり、モヒカンになってヒャッハーもできる。


 ポストアポカリプス物が大好きだった俺はこのゲームにハマり、MODというゲームシステムに様々な要素を追加するシステムを組み込んで発売日から合計で500時間近く遊んでいた。

 

 MODをダウンロードできるサイトで見つけた異世界トリップMODと言うのをゲームにインストールしてゲームを起動させたらなぜかこの世界にいた。


「この手の異世界トリップ物の舞台って……中世ヨーロッパ風のファンタジー世界が定番じゃね?」


 エンドレスホライズンのオープニングと同じ放棄された地下研究所で一人呟く。

 周囲を見れば無数の割れたガラスケースが乱立しており、床にはガラスの破片とガラスケースからこぼれた培養液と思われる液体で濡れている。


 背後を見れば唯一無事なガラスケースがあり、俺はそこから出てきた。

 ガラスケースに映る自身の姿は一糸纏わぬ全裸だった。


「うん、完全にエンドレスホライズンのオープニングだわ」


 ゲームと同じ展開に乾いた笑いを漏らし、頬を抓る。

 頬には痛みが走るので夢ではないと思われる。しばしその場に待機するが、大成功の看板を持ったスタッフがくる様子はない。


「すー、はー……よし、ゲームの世界に異世界トリップしたとして仮定しよう。まず能力値とか確認できるかな……ス、ステータス! ぶほっ!?」


 深呼吸を繰り返し、ここがゲームの世界と仮定して行動することにした。

 少し恥ずかしかったが、ステータスと叫ぶと、目の前にインターフェイス画面が現れ自身の能力値が見えて思わず吹いた。


「レベル最大!? オールステータス10!? パークスキルも全部最大値!? あっ! もしかしてMODもこの世界適用されているのか?」


 ステータス画面に表示された能力値は全て最大値の10。レベルもカンストしており、パークスキルという特殊能力も全て最大値まで覚えていた。

 普通にゲームプレイしてもこの状況はあり得ないので、異世界トリップMODを入れる前にレベルと全ての能力値とパークスキルが最大値になるチートMODを導入していたことを思い出す。


「外見系とアニメーション系と武器防具の追加と……あと何入れてたっけ? たしか最低100は入れてたし……」


 他に導入しているMODを思い出そうとするが競合の関係で停止させたMODもあり何を動かしているか記憶があやふやだった。


「とりあえずいきなり死ぬということはないな……元の世界に戻るにはどうしたら? メインクエストかMODのクエストクリアすればいいのか? あ、クエスト画面も見れるな……ありゃ? クエストが何もない?」


 インターフェイス画面を操作してクエスト一覧を見るとクエストが何も表示されていなかった。

 ゲームでは研究所で目覚めた主人公が研究所から脱出するクエストが始まる様になっていた。


「え? もしかしてMODが競合してる? とりあえず脱出を試みてみるか」


 クエスト一覧が表示されないことに不安を覚えながら記憶を頼りに研究所からの脱出を試みる。


「確か……外部からのエネルギー供給電源が全て駄目になってて、培養槽の非常用リジェクトが起動して主人公が目覚めたんだよな……この研究所は地下50mのジオフロントで地上部分が核攻撃で倒壊されてるんだっけ?」


 何周も繰り返してプレイしたおかげでこの研究所の設定と脱出方法を覚えている。

 俺は培養液の独特なにおいが充満するこの部屋から脱出すると、非常灯に照らされた薄暗い廊下を全裸で歩く。


「えーっと……こっちに地上に出れる格納庫が……あ! 埋まってたんだ!」


 記憶を頼りに研究所の通路を歩き、最初は地上に繋がる地下格納庫を目指す。

 だが地下格納庫は攻撃によって崩落しており、脱出が不可能で別のルートを探す流れだった。


 実際に地下格納庫を見に行くと格納庫の入り口は瓦礫と土砂に押しつぶされてどこからどう見ても入れる気配はない。


「んで……あ! あそこのエレベーターシャフトを上ったんだったな」


 地下格納庫から少し歩いた先にエレベーターがあった。

 念のため呼び出しボタンを何度か押すが反応はない。


「やっぱりシャフトを上るのかぁ……」


 強引にエレベーターの扉を開けて、メンテナンス用の梯子を上る。


「うへぇ……ゲームと違って怖え……」


 梯子は老朽化で所々朽ちている場所があり、危険極まりない。


「どわっった!?」


 手をかけた瞬間、梯子の一部がぽきりと折れ、滑り落ちそうになる。

 落ちた梯子の一部は奈落の底に落ちて闇に飲まれ、しばし間をおいて地面にぶつかる音がした。


「しっ……心臓が止まるかと思った……」


 俺は慎重に一段ずつ梯子の強度を確認しながら登っていく。

 しばらく登っていくと爆撃の影響か、瓦礫で梯子が破壊されており、これ以上登れそうになかった。


「あー……そうだった。そういう展開だったなあ……」

 

 ゲームの流れに合わせて周囲を見ると、梯子の反対側の壁に通気用のダクトがあるのが見える。



「ゲームではムービーシーンであの通気用のダクトに飛び込んでたけど……リアルでやれと? マジで?」


 通気用のダクトは梯子から少し遠くに位置していており、ジャンプして一発でダクトに滑り込まないと落下してしまう。

 元のゲームではムービーシーンでダクトに飛んでギリ届いた展開だった。


「……下に降りてもどうしようもないし……やるしかないってわかってるけどさあ……」


 すぐに決心はつかず、周囲を見て飛ばずに通気口ダクトまで行ける方法がないか調べる。

 だが現実は無慈悲で飛ぶ以外に選択肢はない。いつまでも梯子にしがみ付いている余裕はない。老朽化の影響か梯子からミシミシと嫌な音が響いてくる。


「せーのっ! 南無三!!」


 思いっきりハシゴを蹴り、ダクトに飛び乗る。

 エンドレスホライズンの世界に異世界トリップする前の自分では不可能なほどの跳躍力を発揮し、ダクトへと滑り込んだ。


 梯子があった方に視線を向ければ、梯子を蹴った際に老朽化で脆かったのか、梯子は砕け散り、戻る退路が無くなった。


「うぇっほっ! ごほっ! うわ、蜘蛛の巣……」


 ダクトは匍匐前進でどうにか進める幅と高さだった。

 ダクト内は埃が溜まっており、所々蜘蛛の巣ができていた。


しばらく匍匐前進するとカバーが見つかり、叩いて外すとどこかの小部屋に繋がる出口になっていた。


「うおっ!?」


 ダクトから這い出ようとすると、ダクトは床から2m上の壁に設置されていたようで俺はバランスを崩して頭から転落し、長年部屋に積もった埃が舞う。


「イタタ……いや? 痛くないな? あ、落下無効MODか!」


 そこそこの高さから落ちたというのに痛みはない。

 落下ダメージを無効にするMODを入れていたことを思い出し、納得する。


「……ゲームでは高層ビルの頂上から飛び降りてもダメージなかったけど……試す気にはなれないなあ……」

 

 埃を払いながら周囲を見回せばロッカールームだったのかロッカーが並んでいる。


「鍵がかかっているけど……ふんっ!」


 ロッカーを開けようとすると鍵が掛かっていて開かない。

 本来ならロックピックというアイテムを見つけないと鍵を開けることができないのだが、ロックピックは研究所を脱出後で手に入り、研究所に戻ることはできない仕様になっている。

 だが、筋力値が一定数あると強引に開けることができるMODを導入していたので強引に開けることに成功した。

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