【蚊帳】

明日は我が身と嘲笑い 放置接種べき愚息を呪え

虚ろ移ろい時は無情 明日を祝えど夜光蟲

行き急ぐは蛍と風とも 散り場面られた、ひとりと蠱毒と。


ぬるい蛇口が ただ 一泪ひとめ 潤し漏らす渇いた叫びも

咳を切るのは地に這う我無視がむし 路頭に迷う、明日もまた

汚れなくとも ひとりこどくと。休日風に よこしま


無常を散り填めた黒い砂漠 何処に行こうと、着いて廻る

影だけが途を救う嘔吐した魂 大黒柱にほんのり巻き憑き

離れないとはんなり誓う 満天の一等星


地獄を覗く白き湯気に宛てられ

窓辺に課せられたレースのカーテン

愛されたいと紙切れいちまい、

にまいと欠けたお皿に殖える零の価値


天から注がれる飴を一心に受け

地に迎い重なる名称不明な錦は

今 幽かに動き始めた生命線と絡まり成る


捩れた一筋の苦悶の糸 誰が縋ろうか

自力でしか上れない風は易しく鳴いた

煽られる糸は血肉を垂らし 凍みを待つ紅葉は頬を偽り

口角に酔ったえみを貼り付ける


うまくわらえない 生々しい ヒトガタの完成



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