【うつつまれて】


彼方 おいたわしや

今も未来も風化して

砂の羽根いまくぐ


【どこかとおくへ】


沙羅と寄り添う三面鏡

かえりしつばさうつろに去る

鰯雲すら腐し臥して

も、過去も蕩け逝く


空には拝を、

天には灰が

苦も洛も杯に容れ

肺を諭すは奏多の解き


吸うては吐く息白く

雪は燦燦降り埋まれ

生まれかえすは春のひさ

散開せしは数多の芳香

奏楽そらかざすは赤き血潮よ


桃の花愛で行き着く所

桜の下雪 褥に


【彼と奥へ】


海に入り陽をもっちて

ようやと荷をくだされた未知

歩みかえすは黒猫の

右往左往と謂れとも


あかり用いいきを配す

苑の瞼焼き尽くすは否の稜線か


過去の灯火

今の華秘

未来かた


先に準ずる現れを拝し

対面す三面鏡の吐瀉


生をあらたかに認識し

すべしてしすからば 

逃れるべもさもありなん



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