第4章 人物紹介&用語解説
■人物紹介
●魔女
・
アリスの幼馴染である彼女は五年前から魔女であり、それをずっとアリスに隠してきた。
五年前、ロード・ホーリーよりアリスにまつわる話を聞かされ、アリスを守るため鍵を守ることを決意する。
鍵を守るためには魔女である必要があったため、ロード・ホーリーの手によって強制的に『魔女ウィルス』に感染し、強引に魔女になった。そのため適正率はあまり高くないだろうと思われ、その命はもって数年とされていた。
しかしアリスの心が力と運命を受け入れるまでの間だけ鍵の保護ができていればよかったため、その寿命はちょうど良いものだった。
魔女でありアリスの事情をある程度知っていたため、アリスを魔女狩りが最初に迎えにきていた時から何が起きているのかを把握していた。
しかし自身に戦闘力がないこと、アリスに隠し事をしてきた後ろめたさ、そして何よりアリスに負担をかけないために、氷室に全てを任せ自身はひたすら事実を隠し続けた。
ただひたすらに幼馴染を、アリスを想い、最後の時まで自分自身の気持ちよりも相手の気持ちを気遣った。
『魔女ウィルス』に食い潰され死亡。その肉体の成れの果てはアリスの手によって滅ぼされた。
肉体の死滅に伴い、その身体に埋め込まれていた鍵は解放されるも、それはレイの手によって奪われた。
しかしその心は約束通りアリスの心に迎えられた。
・
加賀見市に根付く魔女である彼女は、ワルプルギスの魔女と同様転臨に至った魔女。
力の一部を解放することでふわりとした茶髪は闇のような黒に染まり、その頭には猫の耳が生え、腰元からは長い猫の尻尾が二股に分かれて生える。
影を操る魔法を好み、あらゆる影を使役する。
その実はかつて『まほうつかいの国』において王族特務に名を連ねた国一番の大魔法使い。
五年前、姫君が失踪したのとほぼ同時期に国から姿を眩ませた。
彼女が国から去った意味、そして加賀見市に潜み何を目的としているかは不明。
●ワルプルギスの魔女
・レイ【追加情報】
転臨の力の一部を解放することで黒い髪は雪のように白く色が抜け、その頭からは兎の長耳が生える。
魅了の魔法はその唇を触れさせるだけで相手を昏倒させるほどの精神的衝撃を与え、幻惑の魔法は自身の有り様を誤認させ、増殖や瞬間移動に錯覚させることも可能。
晴香が守っていた鍵を持ち去り、自身にとって都合のいいタイミングでアリスの封印を解き手篭めにしようと企む。
●魔法使い
・シオン(
ロード・ホーリーの許魔女狩りをする魔法使い。二十六歳。
明るめの茶髪を長く伸ばし、長い前髪が片目を少し覆っている。知性的で丁寧な性格で、それはキリッとした眼差しからも伺える。
少し崩した敬語で話すが、妹であるネネには普通の言葉遣いで話す。
ロングコートタイプの黒い軍服を身につけ、その下のショートパンツからはタイツを履いた長い脚を覗かせる。
浅めに被った軍帽が、どことなく女性らしさを思わせた。
ホーリーの命の元、アリスの封印を解く鍵の解放を見守り、アリスが力を取り戻すのを見届けるためにやってきた。
そのためアリスには友好的であり、その身を狙うことなく魔女狩りの事情などを話して聞かせた。
五年前『まほうつかいの国』からアリスをこちらの世界に連れてきたのは彼女とネネであり、同時に鍵の封印も任されていた。
しかしレイたちに妨害されることで鍵の封印には苦戦し、最終的にはホーリーに託した。
鍵を奪い去ったレイの後を追うがその実力差に取り逃がし、『まほうつかいの国』へと帰還した。
・ネネ(
シオンの妹であり、同じくホーリーの許魔女狩りをする魔法使い。二十三歳。
黒い髪をストンとストレートに肩甲骨の辺りまでのばして、少し暗めの雰囲気をまとう女性。
顔は少し幼げで基本何事に対しても退屈そうな仏頂面でいる。脱力系。
しかし暗い性格というわけではなく、親しい相手には気さくに接する明るさを持つ。姉が冷静な分短気な一面も。
シオンと同じく黒い軍服を身にまとう。シオンのことを
・ロード・ホーリー / ホーリー・ライト・フラワーガーデン【追加情報】
姫君の力、そして魔女の掃討を求める他の
自身の部下たちに魔法使いと魔女の秘密を語ることで別の志の許取りまとめ、魔女狩りの使命とは異なる任務を与えている。
目的のためならば残酷な選択を厭わないが、しかしそのことに激しく心を痛める。アリスのために晴香を犠牲にしたことを仕方ないと思いつつも悔いている。
魔法使いの身でありながら『魔女ウィルス』を扱い人に強制的に感染させる術を持つ。
友人としてイヴニング(夜子)とドルミーレの名を口にした。
・ロード・デュークス【追加情報】
一番最初の姫君護送任務を失敗に終わらせ、その際姫君が魔女になったことを理由に独断で抹殺の動きに出るもそれすらも失敗した。
ケインのフォローによって非難は免れるも、しかし自身の目的を自由に行えなくなっていた。
魔法使いなら求めるはずの『始まりの力』にはあまり興味を示さず、寧ろ自分の目的には邪魔とすら思っている。
彼は自身の研究成果である『ジャバウォック計画』の実行を目的としており、強大なる力を持つ姫君の存在を疎ましく思っている。
立場上他のロードの方針に合わせるそぶりを見せつつ、次こそ姫君を抹殺するため
・ロード・ケイン【追加情報】
飄々としている彼の真意を知る者は誰もいない。荒事を好まず平和裏にことを進めようと画策する姿を見せる。
独断で姫君抹殺を企てたデュークスを諌め、それを糾弾しようとしたスクルドを宥める。
状況を冷静に判断し、荒事が少ない道筋を提示した。しかし自身はワルプルギスの中にスパイを用意しているなど、大胆な方策を垣間見せる。
魔法使いの一般的な方針通り姫君の力を求める姿を見せつつも、その真逆とも言えるデュークスの支援もしてみせる。
・ロード・スクルド
魔女狩りを統べる四人の
清潔感のある爽やかな黒の短髪と碧い瞳を持つ。
まるで童話の王子様を連れてきたかのような、凛々しく煌びやかで精錬とした佇まい。端正な美しい相貌に浮かべる穏やかな笑みは、甘みすら感じさせる。
白いローブをまとった姿は引き締まっており、その在り方は騎士のごとき固さを思わせる。
四人の
他のロードに比べふた回りも若いが、負けず劣らずの凛々しさとその然とした姿は一番の生真面目さを見せる。
姫君を巡る事態には関わっていなかったが、デュークスの独断と失敗を糾弾する。
ケインの提示した方針に乗ることを示したが、同じくケインによる挑発を受け、何やら思う所を見せた。
●その他
・クリア
スクルドと因縁があるという魔女。
ワルプルギスに所属していないと思われるが、ワルプルギスが起こす騒動に度々現れ問題を引き起こす。
一度スクルドと対峙したが辛くもその手を逃れ、それ以降の行方は不明。
■用語解説
・魔女狩り【追加情報】
四人の
スクルドの配下────未登場。Sのコードネーム。
デュークスの配下────
ホーリーの配下────
ケインの配下────
・王族特務
『まほうつかいの国』の王族と城に仕える魔法使いたちのこと。
国家の運営や王族の側付きを務める。
本来失踪した姫君の捜索は王族特務の管轄だったが、姫君発見に伴う迎謁の際、姫君に信仰深い二人の名が上がり、魔女狩りにその命を任せた。
現在姫君に関する報告は上げられていない。
かつてイヴニング(夜子)がこれに属していた。
・封印と鍵
アリスに施された封印の魔法は、姫君と呼ばれていた時の記憶と力を引き剥がして隔離し、その奥に眠る『始まりの力』たるドルミーレを封じるというもの。
それによりアリスは自身の過去とその力を認識することができなかった。
しかしドルミーレの力は強大であり、その魔法のみでは完全に抑え込むことはできず、彼女がその気になれば封印を度を超え力を発揮することが可能。
鍵はその封印を解く唯一の手段であり、それを用いずにはどんなにアリスが力に近付こうと完全にそれをものにすることはできない。
鍵を守るため更にそれを封印することで、アリスは自身の過去と力に関する真実を認識することを制限されていた。
鍵をその身に抱き守っていた晴香の肉体が限界に向かっていたため、その制限は緩みつつあった。
アリスが魔法を知りそしてそれに触れ、また自身が力を持つことを知りそれを強く求めたことで制限の緩みも相まって過去と力に近づくことができた。
そのため過去の『お姫様』やドルミーレが接触し限定的な力の譲与を可能にしていた。
晴香の肉体が消滅したことでその制限は解け、アリスに対する力の接触の難易度は下がり、また外部情報による過去と力の理解が可能になった。
しかし過去の記憶と当時の力を取り戻すには鍵が必要。
鍵は所謂キーの形ではなく、一輪の白いバラ。
・五年前
五年前、姫君は『まほうつかいの国』にまつわる記憶とその力を封じられ、国から拐かされた。
同時期にホーリー、イヴニング(夜子)もまた国から失踪したが、その関連性は不明とされている。
姫君を国からこちらに連れてきたのがシオンとネネであり、それはこちらの世界の夏のことだった。
アリスを無事家へと連れ帰った二人だったが、その後第二の任務である鍵の封印場所を探している際、ワルプルギスによってそれを阻害された。
それこそが五年前の夏に起きた騒動である。
鍵を狙うレイともう一人の魔女、そして事情を知らずも巻き込まれた善子、善子を助けるために割って入った真奈実たちはシオンとネネと戦った。
その際シオンとネネは立場を隠すため自身を魔女と偽っていたが、何故それができていたのかは不明。
しかしレイたちにはホーリーの部下だということは知られていた。
レイたちの執拗な追撃により鍵の封印は困難を極め、その争いは約一ヶ月程の長期的なものになった。
最終的にホーリー自らが現れ鍵を持ち去ることで、その争いは終結した。
・『魔女ウィルス』【追加情報】
感染した人間の体の仕組みを書き換え魔法を使えるものにし、やがて死に至らしめる殺人ウィルス。
しかしそれは表面をなぞった解釈に過ぎない。本来の動きは人間の肉体を細胞レベルで違うものに書き換え、その肉体を乗っ取ること。
魔法を使える魔女になるという現象は、あくまでそれの副次的なものに過ぎない。
魔女が時間と経験によって強力になるというのも、その分ウィルスの進行が進んでいるという点が大きい。
肉体の全てを食い潰された魔女は、一度その体を爆散して崩壊し死亡する。粉々になった肉は再び集うことで新しいものに再誕しようとする。
しかしウィルスの侵食によって死亡するような魔女はそもそも適正率が低く、ウィルスの力に肉が耐えられず崩壊しうまく姿を形成できない。崩壊する肉と溢れた力による再生を繰り返し、不完全な怪物と化す。
余りある力による増殖と再生、それに耐えられない肉の崩壊がとめどなく循環し、やがてその全てに耐えられなくなった肉は弾け飛ぶ。
『まほうつかいの国』においては魔女狩りが早期に魔女を殺し、こちらの世界の少なくとも加賀見市内においては夜子が死に縁の魔女の介錯をしていたため、ウィルスによる死を迎える魔女は少なかった。
ウィルスが人間の肉体を書き換え奪い取り、何になろうとしているのかは不明。
・転臨
魔女が『魔女ウィルス』による死を乗り越え、強大な力を手に入れた状態。またはその行為。
肉体を『魔女ウィルス』に食い潰され乗っ取られた後、高い適正率を持つものが強靭な精神と意思によって肉体の支配権を取り戻すことで至ることができる。
転臨に至った魔女は肉体を元の姿に戻すことができるが、その力を引き出す際に人ならざる姿をあらわす必要がある。
アゲハの蝶の羽、夜子の猫の耳と尻尾、レイの兎耳がこれにあたる。
『魔女ウィルス』によって食い潰され違うものになった状態のため、それはもう人間とは呼べず、化け物に属するといっても過言ではない。そのため適正が高くとも転臨を選ばない魔女もいる。
また転臨を望むような魔女は自ら『魔女ウィルス』の侵食を早め、強制的に死に至って転臨するという。
変化部位からは人の肉体とは違う、概念や価値観の異なる美しさと醜悪さを放つ。見るもの感じるものを押し潰すようなその圧力は、まさに人間を辞めたものの現れである。
それは『魔女ウィルス』に造詣の深いワルプルギスの魔女が見出したものだが、しかしワルプルギスの魔女が全員それに至っているわけではない。
またワルプルギスとは無縁である夜子も転臨に至っている。
現在転臨を表したのは、アゲハ、レイ、夜子。またクロアも転臨済みであると口にしていた。
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