第12話 誓い
「パピ」
「何?」
「僕はどこで、暮らすの?」
生活するにあたり、衣食住は基本だろう。
「もうすぐだよ。ほらあそこ」
パピは一軒の家を指差す。
不思議だった。
もっと、メルヘンチックなのを、想像していたが・・・
「僕の世界と変わらないね」
「うん。とまどうでしょ?」
確かに・・・
「大樹くん」
パピは、これまでで一番真剣な顔になった。
「君を呼んだのは、私たちの子孫を絶やさないため・・・」
そう言ったよね?」
「うん」
「そのためには、何をするかは・・・」
「僕は、高校生だよ。知っている」
でも、何だか照れくさい。
「私はこの姿なので、君と結婚出来る。でも・・・」
「でも?」
「もう、君を元の世界には返せないの・・・」
「なんだって?」
予想はしていたが、そう告げられるとさすがに、驚く。
「理由は・・・」
「この世界を、公表はできない・・・」
「うん、だいたい正解」
しばらくは、無言のまま歩いた。
「大樹くん」
「えっ?」
「後悔してない?」
「うん」
「即答だね。いいの?死ぬまでここにいるんだよ」
「パピがいれば、いいよ」
「ありがとう。優しいね」
パピが甘えてくる。
立場が逆転しているな・・・
まあ、今だけだけど・・・
「人間界の流儀をやろうか?」
「流儀?」
パピは立ち止る。
「紫村大樹、あなたはパピを妻とし、生涯愛し続ける事を誓うか?」
「誓います」
「汝パピは、紫村大樹を夫とし、生涯愛し続ける事を誓うか?」
「誓います」
指輪はない。
でも、十分だった。
おそらく、僕のほうが先に寿命がつきるだろう。
僕だけではない。
ここに来た、動物たちは、妖精よりも先に命が尽きる。
でも、命を引き継いだものは残る。
それでいい。
「大樹くん」
「えっ?」
「死ぬ時は一緒だよ」
あの日の約束 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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