第10話 精霊女王

「神様?」

この世界ではそうでも、一般にはわかりずらい。


「大樹くん、わかりにくい?」

本来の姿になったパピは、僕の横を飛ぶ。

「うん」

「じゃあ、精霊界の女王さまということで、精霊女王ね」

「わかった」

そうしておこう。


しばらく歩くと、お城があった

いかにも、妖精の世界に出てきそうな、メルヘンチックなお城だ。


「パピ、戻りました」

お城の門が開いた。

兵隊さんとかはいない。

自動ドア。


夢が崩れた・・・


「パピ、入りなさい」

遠くから声がする。

あの声の主が、精霊女王か・・・


「あっ」

「どうしたの?大樹くん」

「女王様に会うのに、この普段着じゃ・・・」

「平気だよ。気にしないで」

「そう・・・」

何が平気かわからんが・・・


パピと会話で気がつかなかったが、今自動歩道になっている。

ハイテク化されているのはいいが、夢が崩れた・・・その2


「大樹くん、あの方が精霊女王よ」

「あの方が・・・って、人間?」


精霊女王はこっちを向いた。


「紫村大樹くん、ようこそお越しくださいました」

「いえ、お招きにあずかり・・・って、人間ですか?」

「いいえ、私は精霊です。あなたが人間ですので、合わせました。

私に決まっ姿は、ありません」

「そうですか・・・」

じゃあ、カワウソだったら、カワウソの姿になるのか・・・


「そうです。大樹くん。カワウソならカワウソの姿に私はなります」

心がよめるのか?

さすが精霊女王。


「パピ」

「はい、女王様」

「大樹くんのこと、頼みましたよ」

「はい」


「大樹くん」

「はい、女王様」

「こちらへお招きした、理由は聞いてますね」

「はい、子孫を増やすと・・・」

「そうです。よろしく頼みましたよ」

「はあ・・・」

あいまいな返事しか出来なかった。


「ですが・・・」

「私なら大丈夫」

「あっ、パピ、いつの間に」

さっきまでの、人間の姿に戻っていた。


「しばらくは、こちらの暮らしになれてもらうわ」

「暮らしに?」

「私がサポートするから、安心してね」


期待より、不安の方が大きいが、信じてみる事にした。

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