Ideal Summer

作者 水落 零

22

9人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★ Very Good!!

 貴方にとっての、理想の夏は、なんですか?

 毎年の夏、お盆の休みの度に訪れる、祖父母の住んでいる田舎の町。
 そこはどこか時代に取り残されたようで、だからこそ、特別感があって。うんざりするほど、退屈な繰り返しの都会。その生活にはないものに溢れている。
 そんな懐かしさすら感じる町並みの中で、無邪気に笑う一人の少女。
 毎年、夏に訪れるたびに、いつも会う名前も知らない彼女。無邪気にはしゃいで、いつも彼女に連れ回され、疲れ切ってしまうほど遊び倒し、笑い転げる。
 そんな彼女とも、夏の終わりには別れなくてはいけなくて。
 そんな最後の日でも、彼女は無邪気に、切なく笑って。

 涙を、零したんだ。

 鮮明なほどに書き起こされる夏の情景、海のさざめき、強い日差し。その中で微笑む彼女の仕草、表情は胸を掻き毟られるほど切なく淡く愛おしい。
 全てのひと時を忘れられる、夏の無邪気な一瞬。
 こんな一瞬があればいいのに。そうすら願ってしまうほどの一瞬がここにある。

 理想の夏に、会いに行こう。