90話〜黒魔石の腕輪と結界の鍵
イワノフは、ディアナのポケットの中の黒く光る腕輪を見ていた。
(これは、どういう事なんだ?この腕輪は?それに、この女はいったい……まさかとは思うが、200年前に起きた事と何か関係している者なのか?そもそも、この様な黒い宝石など見た事もない。)
「イワノフ。どうしたんだ?急にその腕輪を見たまま何かを考えているようだったが。」
「カルテット。……あの城が結界の城と言われ、何故結界が弱まる事なく維持し続けているか分かるか?」
「ん?そういえば確かに、あの城が何でそう呼ばれているのかは何となくしか知らない。ましてや、何で結界が弱まらないのかも。」
「ああ、俺もそこまで考えた事がなかった。だが、今ふと思い出した事がある。前に奥様から見せてもらい読んだ書物、日記?手紙?のような物だったのだが。そこに書かれていた事なんだがな。その書物は200年前に書かれた物で、バイオレット家に代々受け継がれ残されてきた物らしい。」
「イワノフ。その書物には何て書いてあったのですか?」
「シャナ嬢。今からその内容を簡単に話したいと思う。【……私は、ルナ・バイオレット。これは私達が犯してしまった事を代々、戒めとしてここに書き記す。そして、またあの城の者達が動き出した時の為に役に立てばと思い文章として残そうと思います。……私達は、シェルズ城の者の陰謀に巻き込まれてしまいました。そして、騙され異世界の者達を召喚し……その者達に協力してもらいましたが、シェルズ城で色々な事が起きました。……その後、私達は城の封印ではありませんでしたが、城全体に結界を張る事に成功しました。城に乗り込む前に異世界の者の1人、リュウキの意見で、封印より効果的な結界を張ろうという事になりました。ですが、もう1人の異世界の者で、シュウが封印よりはマシだとしても、普通の結界ではいつかは弱まるだろうという事になり、強力な結界を張り維持する為、腕輪に黒魔石という宝石を埋め込み、結界の鍵となる物を作りました。そして、友人のディアスに代表でその腕輪をしてもらい、皆で魔力を込め結界を張りました。そして、その腕輪はそのままディアスに預ける事に……。】と言う風に書いてあった。」
「まさか!?イワノフが今話していた腕輪とディアナの腕輪って……。」
「アリスティア。断言は出来ないが、その可能性はある。だが、そうだとして何故この女……いや、ディアナと言ったか。この腕輪を所持しているのか?そして、何故眠りについてしまったのか?」
そう話をしていると、グロウディス達が別の通路側から中庭の物陰に隠れながら、アリスティア達がいる通路の前を通りかかった。
そして、グロウディス達はディアナが倒れている事に気付き側まで来ると、
「アリスティア。ここで何があったと言うんだ?何故ディアナが眠っている?それに、この腕輪は……まさか!?」
「グロウディス。ディアナに何が起きたのか分からない。それにこの腕輪は、今イワノフが言っていた事なんだが。……って、今まさかって言ったよな?知っているのかこの腕輪がなんなのか。」
「……ああ、間違いないと思う。そうか、ディアナがこの腕輪を持ってたとはな。」
グロウディスがそう言うと、クレイ・マルスはその腕輪をみて、
「ちょっと待てや、これ黒魔石の腕輪やんけ。でも、何でこれがここにあるんや。……まさか、この世界って、リュウキ達が召喚されたって言うてた世界なんか?」
クレイがそう言うと、グロウディスは驚き、
「クレイ。この腕輪の事を知っているのか?」
「ああ。その腕輪も、その使い方もや。元々その腕輪の作り方をリュウキとシュウに教えたんは俺やからな。」
そう言うとその場にいた者達は驚いた。
そしてイワノフはクレイがリュウキとシュウの名前を口にした事で不思議に思い、
「ちょっと待て、お前達はいったい?それにお前今、リュウキとシュウと言ったよな。何故その名を知っている?それに、その腕輪の作り方を教えたとはどういう事だ?」
イワノフがそう言うと、クレイは下を向き考え込んだ後、その場にいる者達を見渡し睨み付けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます