番外‥⑩〜ユウとクレイ・マルス
コウキとユウはリュウキのアバターが動かなくなり戻って来るのを待ったが、いつになっても戻ってくる様子はなかった。
「リュウキさん戻って来ませんね。」
「そうだな。……そういえば、リュウキさん1人暮らしって言ってたよな?」
「そう言ってましたね。」
「さっきの言動といい、急に放置状態になるって……何か変じゃないか?」
「ん〜確かに変ですね。」
「もし、リュウキさんが言ってた事が事実だとして……まさか、それはあり得ないと思うが。変な気を起こしてなければいいんだが。」
「まさか!リュウキさんに限って……。」
「そう思いたいんだがな。」
そう言うと2人は考え込んだ。
実はその頃、リュウキはパソコンの前で飲めない酒を飲み、グダグダに酔い潰れ涙を流しながら画面を見つめていた。
「……何で、ヒック、ログインしても、ヒック、グスン。シェルズ、グスン、ワールドに、ヒック、グスン、行けないんだ。グスン………。」
そう言うとうつ伏せになり寝込んでしまった。
場所は戻り、ゲーム内のバトル会場。
コウキとユウはリュウキの身に何かあったのではと心配になり、
「ユウさん。やっぱり、気になりますね。」
「そうだな。リアで何もなければいいんだが。」
「そういえば、リュウキさんのリア友ってゲーム内にいるんですか?」
そう言うとユウは少し間を置き、
「ん〜シュウなら何か知ってると思うんだけど、あの状態では聞くにも聞けないしな。」
「他に分かる人がいればいいんだけど。」
「となると……そうだな。1人心辺りがあるから聞いてみようと思う。コウキもそれとなくギルメンやフレにあたってみてくれないか。」
「そうですね。今インしているギルメンに聞いてきます。」
そう言うとコウキはそのギルメンがいるギルドロビーまで飛んだ。
ユウはそれを確認するとインしてるフレの所に飛んだ。
ユウはフレのいる噴水広場のベンチまで飛んできた。
するとベンチに座っていたフレは急に目の前にユウが現れたので驚いて、
「ユウ!?はぁ、なんやお前か……。」
「あのな。そんな言い方しなくてもいいだろう。って、いうよりも、ちょっと確認したいんだが。この前お前が言ってた従兄弟の事なんだけどな。もしかして戻って来たんじゃないかと思ったんだが。」
「そうやなぁ……確かに戻っては来たけど。なんや訳の分からん事を話しとったなぁ。」
「そうか……シュウも戻って来て人が変わったように何も話さなくなった。」
「そうか、ほなアイツの言うとる事がホンマやったら……てか、ユウ。その事で来たんか?」
「あっ!そうだった。リュウキさんが、インしたんだけど、何か様子がおかしくて。それで顔の広いクレイ・マルスなら、リュウキさんのリア友がこのゲーム内にいるか知ってるかと思ってな。」
「俺よりディオンの方が、多分リュウキの事、知ってんちゃうか。」
「そうか。じゃ知らないんだな。」
「いや、リア友は全然知らんけど。リュウキの住所やったら知ってるで。まぁ普通に電車で行ける距離やし、俺が道案内したってもええで!」
「クレイ、大丈夫なのか?でも、ただじゃ悪いから、これを貰ってくれないか?」
そう言うとユウはアイテムボックスからあるアイテムを取り出し見せた。
「ユウ!それは……その龍の飾りの付いた槍どうやって手に入れたんや?確かお前、ランサーやなくてビーストマスターとちゃうかったか?」
「ああ、ビーストマスター用の龍のムチを手に入れようとガチャやって、ハズレのこれが出た。一応かなり石使ったからもったいなくて持ってたんだが。」
「これがハズレなんか。贅沢な奴やなぁ。この状況でタダで貰うんも悪いけど、その槍は前から凄く欲しかったヤツやしな。まぁ今回はユウの気持ちちゅう事で貰っとくわ。」
「じゃ決まりだな。」
ユウはクレイのフレンドボックスに龍の飾りが付いた槍を入れた。
「……でも、あのリュウキがな……まさかは、ないやろうけど。確かに気になるなぁ。」
「クレイ、助かった。だけど何でお前がリュウキさんの住所知ってるんだ?」
「あ〜まあ、ちょっとな。これはリュウキに口止めされとんねん。いくらお前の頼みや言うたかて無理無理。」
「そうか。……それでこれから行こうと思ってるんだが。今直ぐにでも行けそうか?もう1人のフレに確認したら直ぐに向かう。」
「ああ、その方がええやろな。俺は暇やから大丈夫やで。」
そう言うとユウはコウキの元に飛び、クレイはその後を追った。
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