番外‥⑤〜双竜の斧と双竜の盾
リュウキはシュウを見て、また何か企んでいるのが分かり、いつでも行動に移せるように出方を伺っていた。
するとシュウは目を閉じ、力を抜いたままの状態で半身に構え、
《奥義 壱の型 暁!!》
リュウキはそれを見て一瞬戸惑った。
(シュウ。あれをやる気なのか……だとすると、下手に突っ込むのは危険だが。ん〜、恐らくはこれをどうにかしたとしても、アイツの事だ次の手を既に考えているはず。なら、この手で行くしかないだろうな!)
リュウキは刃を向け後ろに引き構えると、
《奥義 参の型 青龍!!》
一瞬のうちにリュウキの周りに風の渦が無数に現れ、リュウキはすかさず刀を突き出し、その無数の風の渦をシュウ目掛け放った。
すると、シュウにかけられたカウンタースキルが発動し、その風の渦はリュウキに跳ね返ってきた。
リュウキはそれを予測し、リュウキは刀を両手で持ち左斜め上向きに構え、
《刀奥義 月光!!》
左から右へと円を描くと、リュウキの前に光の壁が現れ、その風の渦を跳ね返した。
リュウキは素早くシュウの懐に入り刀を振り下ろした。
しかし、シュウはその行動すらも読んでおり、シュウは風の渦の攻撃を左右前後上下と避けながら、両手で大きな斧を右下斜めに持ちリュウキ目掛け、
《斧奥義 極爆殺!!》
斜めに振り上げた。
だが、リュウキはその行動を既に読んでおり、その攻撃をかわし間合いをとり、すかさずシュウに気を飛ばし技の威力を弱めた。
そして、斧の攻撃を避けながら、すかさずシュウの懐に入り刀を左斜め下に構え、
《刀秘儀 極風殺!!》
斜めに振り上げ斬りつけた。
シュウはリュウキのその攻撃を咄嗟に斧でガードしようとするが、あまりにも動きが素早く威力もありガードするだけで手一杯だった。そして、斧でガードし耐えていたが威力に押され斬りつけられ5m吹き飛ばされた。
「リュウキ。クソォ!?まさか、ここまで俺の行動を読んでいたとはな。」
「シュウ。悪いがお前の行動はだいたい把握しているんでな。という事で、今回も俺の勝ちみたいだな。」
「フッ、リュウキ。まだ試合は終わった訳じゃない!!」
「お前、まだ何かやる気なのか?まぁいい。何度やっても同じだとは思うが。そんなにやりたいなら、受けて立つまでだ!!」
リュウキは身構えた。
シュウはそれを見ると、柄全体を覆うように二体の龍が巻きついた斧を持ち構えた。
「シュウ。その斧って!ま、まさか、お前いつの間に手に入れたんだ!?二体の龍の飾りの武器は超激レア……俺だってまだ一体の龍の飾りの武器や防具しか持ってねぇのに。」
「フッ、リュウキ。まだまだだな。それに、この斧はベルセルクの能力を上げる。って事は、分かるよな。いくら何もないお前の頭でも、俺が何をしようとしているのか。」
「……ああ、何もない頭で悪かったな!だが、そうだな。確かにその斧はベルセルクの能力を上げる。流石にそのぐらいは俺でも分かる。でも、その斧には弱点もあるよな。」
「リュウキ。ああ、弱点ぐらいは把握している。だが、お前にそれが分かったとして、どう回避するつもりだ?」
リュウキは画面越しで不敵な笑みを浮かべながら、
「さあな。今それを言えば、恐らくお前に行動を読まれかねないからな。」
「リュウキ、まぁいい。じゃ、バトル再開と行こうか!」
「ああ、そうだな。」
シュウは斧を右に構え、
《ダーク ウェイブ!!》
鈍い闇の光が、斧に異様なまでの鋭さを与え、シュウは一瞬の内に右から左へ斧を薙ぎ払うと同時に、闇の斬撃を放った。
リュウキは、既に職業と装備を変えていて、その攻撃を双竜が描かれた盾で防いだ。だが、その攻撃の威力は思っていたよりもあり会場の端の辺りまで飛ばされた。
「このチャンス、必ずモノにしてみせる!」
シュウは、ここぞとばかりに一気にリュウキとの距離を詰め、斧を右斜め下に構えると、
《斧奥義 極風圧殺撃!!》
斧を下から斜め上に曲線を描くように振り上げると、無数の風の渦が出来ながら、リュウキに向かっていった。
しかし、リュウキはその攻撃を見切りすかさず盾を翳すと、
《圧制の代償!!》
シュウが放った風の渦が盾に当たり、倍になりシュウ目掛け跳ね返り、その攻撃を予測していなかった為、タイミングを逃しかわしきれず、まともに喰らい弾き飛ばされかなりのダメージを負った。
「リュウキ。何でルークのアビリティが使える?って……お前いつの間に、ルークになってんだ!?それに、よほど暇なんだな。ルークもMAXって……。」
「悪いか!?俺は、このゲームが好きなんだ。だから出来るだけの職業はマスターしたい。」
「はぁ、まぁいいか。てか、体力も魔力も尽きた。俺の負けだな。クソッ!次の試合は負けないからな!!」
「フッ!シュウ。次も俺が勝つ!!」
「ああ、俺も負けるつもりはない!……ん?そういえばリュウキ。さっき何気に持ってたよな?二体の龍の盾。」
「あ〜、いやこれはな。ははは……。持ってるって言えば、お前に行動を読まれても困る。それに、この盾はルーク専用だしな。」
「あ〜なるほど、そういう事か。はぁまあ、確かにその盾は他の職業じゃ使えないな。」
「ああ、前から持ってたんだが、使えなくて困ってた。やっと、ルークになる事が出来て使えるようになった。」
「そのルークのアビリティは、俺のカウンタースキルよりも、気づかれずに使えて便利だよな。」
「そうだな。……あ〜、そろそろ、バイトの時間だ!行かないとな。悪いがこのままログアウトする。シュウまたな。」
リュウキはシュウ達の前から消えた。
「ああ。おつかれ。って、もう落ちたのか。まぁいい。てか、はぁ俺は、またサブマスか……こうしちゃいられないな。アイツがインしていない時に強くならないとな。」
そしてシュウはバトル会場を後にし、コウキ達がいる場所に移動した。
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