81話〜何の為に
その頃、カプリアとゲラン……いや、レオンは封印の水晶の前まで来ていた。
ゲランが封印の水晶に手を掛けようとしたが、カプリアはそれを見て、
「ゲラン……いや、レオン王子。その封印の水晶をどうするおつもりですか?」
「カプリア。僕がレオン王子?何を言っているのか分からないのだが。」
するとそこにラシェルが息を切らし駆け寄ってきて、ハウベルトはその後を追ってきた。
そしてラシェルはレオンを見るなり、
「はぁはぁ。レ、レオン……。」
レオンはラシェルを見ると驚き、
「な、何故?姉上がここに……まさか、姉上が勇者を召喚したのではないですよね?」
「レオン。私が勇者様を召喚しました。それよりも、貴方こそ何故ここにいるのですか?」
「姉上が何故、勇者を?確かに、ホワイトガーデンに召喚魔導師は少ない。だがしかし、それでも。」
「レオン。私が、勇者様を召喚してはいけないような言い方に聞こえますが。何故ですか?」
ラシェルがそう言うとレオンは俯きながら、
「姉上。今からでも遅くありません。その勇者様を連れ、この場からお逃げ下さい!!」
「それは、どういう事なのですか?レオン。貴方はいったい、何をしようとしているのですか?」
レオンは今何が起ころうとしているのかを話そうとした。
だが、そこにオルドパルスが現れた。
「なるほど。そう言うことだったとはな。ゲラン殿がレオン王子とは、誰の差し金かは知りませんが。この儀式の邪魔をするつもりだったとは、危うく騙されるところでした。それに、カプリア嬢。貴方も勇者側についていたとは驚きました。」
「オルドパルス殿。今更弁解するつもりはないがのぉ。ただ、いつそれが分かった?」
すると目の前にハクリュウに眠らされていた筈のライロスが現れ、
「フッ、それはこの俺が監視し、オルドパルス様に伝えていたからな。」
「ライロス。お前、ハクリュウ様に助けて貰っておいて、まだオルドパルスの為に尽くすつもりか!」
「確か、お前はあのハクリュウと一緒にいたダークエルフだったな。言っとくが、俺は……。」
そう言おうとした瞬間、無数の炎の石飛礫がライロス目掛け降り注いだ。
それを見たラシェルは、
《大蔦の籠!!》
召喚呪文を唱えるとライロスの真下に魔法陣が描かれた。その魔法陣から蔦が現れミルミル伸びていきライロスを覆うと、球体の籠の中に閉じ込めその攻撃を防いだ。
それと同時にハウベルトは剣を真上に翳し、
《魔剣奥義 覆水連斬撃!!》
刃に水を纏わせると剣を握り直し、すかさず弾みをつけ飛び上がった。
そして無数の炎の石飛礫目掛け剣を斜めに振り上げ交差すると、連続で斬りつけ破壊していった。
同時にカプリアもスティックを一振りし、
《ウォーター ストリーム!!》
呪文を唱えると、ゴォーっと唸りながら水の渦が巻き上がり、無数の炎の石飛礫にあたり打ち消していった。
そして、ラシェル達は攻撃を防ぎ空を見上げ、いったい今何が起きたのかと考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます