46話〜ゲランの正体とは

 ここは名もなき城のゲランの寝室。そしてゲランは、目の前に通信用の巻物を広げ、誰かと話をしていた。


「オルドパルスが、いよいよ今日儀式を決行する。」


「そうですか。それで、勇者達の動きはどうなのでしょう?」


「今の所はと言いたいが。恐らくはもう、城に侵入している可能性はある。」


「ゲラン様、分かっていますね。あなたのやるべき事を。」


「ああ、分かっている。オルドパルスの邪魔を、そして勇者達の邪魔をする。それが私の役目。」


「そうです。その為に、貴方には潜入して頂いているのですから。」


「ああ、そうだな。」


(……名前まで偽ってまでもな。)


「では、私は王に連絡をしなければなりませんので失礼します。」


 そう言うと通信が切れた。


 ゲランはそれを確認すると溜息をつきながら、外を眺め事が起こるのを待った。



 一方ハクリュウ達は、城に侵入したのはいいが警備が厳しく、気づかれないように進むのが困難になってきていた。


「こんな時に、こんな話をするのはと思ったのですが。」


「ラシェル。改まって、どうしたんだ?」


「もしかして、ここを切り抜ける策でもあるのですか?」


「ハウベルト。いいえ、策と言うわけではなく、先程からゲランの事が気になっているのですが。」


「ラシェル様。確かゲランは、ホワイトの大臣なんですよね?」


「はい、ハウベルトそうなのですが、ゲランは数年前に失踪しているのです。」


「ここにいるゲランは、その失踪した本人なんだよな?」


「ハクリュウ様。いいえ、もしあのゲランであれば、この様な面倒な事は嫌いでしたので関わりを持たないと思います。」


「ラシェル様。ここにいるゲランが違う人物だとして、いったい誰なのですか?」


 そう話をしていると、誰かの足音が徐々に近づいてきた。その事に気づき物陰に身を隠し警戒しながら様子を伺っていると、ハクリュウ達が隠れている部屋の前でその足音が止まった。


「まさか!みつかったのか?」


「ハクリュウ様。これはまずいかもしれません。」


 ハウベルトがそう言うと、部屋の扉が開き聞き覚えのある声がして、


「この辺に隠れていると思ったのだがのぉ。」


 ハウベルトはその声の主が誰なのか分かり、


「カプリア様。何故ここにいると分かったのですか?それに何の為にここに?」


「うむ。ハウベルトそれはな。あそこから侵入し、この厳重な警戒の中で気づかれず身を隠すとなると場所は限られてくる。そこを、限定して探せばいいだけのこと。それと、会って色々と確認をしたい事がありここにきた。」


「えっと、確認したい事って?その前に、こんな所に来て大丈夫なんですか?」


「ほぉ、お前がハクリュウか?」


「はい、そうです。」


「なるほどのぉ。これは、なかなか良い表情をする。それと、流石は異世界の勇者というべきか。お前から内に秘めた力を感じる。それも、他の異世界の勇者とは違う何かをな。」


「それっていったい?」


「その力が何なのかは、今は私にも分からぬがな。」


「カプリア様。私は、ホワイトガーデンの王女ラシェルでございます。」


「ラシェル様。そうか、こんなに大きくなられたのだな。」


「カプリア様。私と会った事がありましたでしょうか?」


「ええ。貴女が幼い頃に、国の用で赴いた際に、一度だけお会いしている。」


「そうなのですね。では、カプリア様。大臣ゲランの事で、お尋ねしたい事があるのですが。」


「やはり、気になった様ですね。ここにいるゲランは、多分偽者でしょう。私は昔ゲランと会った事がある。その事も踏まえ確認したい事がありここに来たのです。」


「やはり、そうなのですね。でもいったい誰が?」


「ここにいるゲランなのですが、見た感じではラシェル様に雰囲気が似ていたように見えたのですが。」


「私に似ていた?まさかとは思いますが、そのゲランは、私と同じエルフではなかったでしょうか?」


「ええ、確かにエルフでしたが。ラシェル様、もしや心当たりがあるのですか?」


「まさかとは思うのですが、これは数ヶ月前の事です。父上の容態が急変したおり、私の弟のレオンは急に人が変わったように前以上に書物などを読むようになり、その後、何があったのか側に使える者達共々、行方が分からなくなってしまいました。もしかしたら、そのゲランとは……でも、そうだとして何故こんな事を?」


「なるほど。その可能性は高い。ただ、何の為に名前を偽っているのかですが。」


「そういえば。ホープもこの事とは別の何かが起るかもしれないって言っていましたよね?」


「ハクリュウ様。確かに言っていましたが。ただ、まだ断言できないとも言っていた。」


「う〜ん、そうなると。何か凄く面倒な事になりそうだなぁ。」


 ハクリュウは溜息をついた。


「しかし、やらなければならないのです。それではそろそろ、行かなければなりませんので失礼します。では、頼みましたよ。」


 カプリアはそう言うと辺りを警戒しながら、気づかれない様に部屋を出ていった。


 それを確認するとハクリュウ達は、この後どうするのかを考える事にした。

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