31話〜ボカロ村での休息

 その頃アリスティア達は、城の近くのボカロ村に来ていた。


 そしてシャナは、宿屋の軒先で辺りの風景を眺めていた。


 ふとシャナは思った。この長閑な風景もやがて壊れてしまうのではないかと。


 そして、シャナは不安に思いながら、影鼠が戻ってくるのを待っていた。


 しばらくすると影鼠が戻ってきた。


「Ms.シャナ、只今戻りました。」


「影鼠、戻ったのですね。それで、ノエル様は?」


「その事については、皆様の前で話した方が良いかと。」


 シャナは頷き、アリスティア達がいる大きな木がある丘の方に向かった。


 そしてアリスティア達は、丘からグレイルーズ城を眺めていた。


「それにしても、何故グレイルーズの大臣オルドパルスはこんなことを……それに、ここだけじゃなく、ホワイトガーデンやブラックレギオンにもグレイルーズと同じような異変が起こった。どうもその事が気になるんだがな。」


「ハウベルト。確かに、この国だけの事であれば、ここまでやる必要はない。それに、オルドパルス1人でこんな事が出来ると思うか?」


 クレイマルスは少し考えてから、


「そうなるとハウベルト。お前の国の方は、どんな状態だったんだ?」


「ブラックレギオンの方は、俺が王に仕えている時に感じた事なんだが。やはり、貴族達や城の中の者達が、ここ数年の間で明らかにおかしくなってきてはいた。」


「そういえば、ハウベルト。そっちでは、誰か今回の件に関与している者はいなかったのか?」


「そうだなぁ。特に怪しい奴は、いないと思うんだが?」


「そうか。でも誰かが手を貸し関わっているとしか思えない。だとして、誰がオルドパルスと手を組んでこんな事をしているのかなんだがな。」


 アリスティアにそう言われ、ハウベルトは考え込んだ。


 すると、シャナが影鼠と共にこっちに向かって来ているのが見えて、


「シャナ、何か分かったのか?」


 シャナはアリスティアの前まで来ると、


「あっ、たった今、影鼠が戻ってきました。それで、何か分かったので、皆が居る所で話しをという事で。」


「そうか。それで分かった事とは?」


「Ms.アリスティアに、Mr.クレイマルスに、Mr.ハウベルト。そしてMs.シャナ。今から見聞きして来た事を、全てお話します。」


 影鼠は4人の中心に来ると話し出した。


「Ms.ノエルは、遥か南の辺境の地に新しく建てられた城の様な建物の中の牢屋におりました。」


「南の辺境の地って、確か遥か昔に、あの地は何らかの影響で衰退して、誰一人として住める状態ではなかったはずでは?」


「確かに、そうでございます。ですが、何故かそこに城が建っていました。」


「そういえば、グロウディスが言っていたな。奴隷を使って、何か建物を建てている様だったと。」


「確かに言っていたな。そして、何か洞穴を掘っていたような事も。」


「そうなると、そこに城が建てられノエルさんもそこにいるという事になるんだな。」


 影鼠は頷き、


「Ms.ノエルが居る場所と、今お話になられていた場所は同じかと思われます。そして、そこで色々と見聞きして来た事もお伝えしたいと思います。」


「見聞きして来た事って?」


「では、お話したいと思います。その城の中には囚われている者が数名。その者達の扱いは、かなり酷いものでした。それとMs.ノエルは、牢屋の中で身体中拘束されて動けない状態でした。そして、他に居たのはグレイルーズの大臣Mr.オルドパルスとホワイトガーデン大臣Mr.ゲランとブラックレギオン大臣Ms.カプリアともう1人男性がいました。」


 ハウベルトはカプリアの名前を聞き驚いた。


「ちょっと待て!今カプリアって言ったのか?まさか、あり得ない。あの人が、こんな事に手を貸しているだなんて。」


「ハウベルト。もしかしてカプリアって、あのカプリア様だよな?」


 そう言われハウベルトは頷くと、


「ああ、アリスティアが思っている人で間違いない。ブラックレギオンはじまって以来の天才。そしてついた異名がレギオンの才能の女神!と、あの人は、誰にでも優しかった。時には厳しい女だったが。でもまさかそんな事が……信じられない!」


 すると、影鼠はポケットから手紙を取り出しハウベルトに渡した。ハウベルトはそれを受け取った。


「その手紙は、Ms.カプリアから、貴方宛にです。」


 ハウベルトは手紙を読んだ。


「おい!影鼠。お前まさか、カプリアにみつかったのか?」


「はぁ、申し訳ない。ですが、おかしな事にMs.カプリアは、捕まえるどころか、バレないように逃がしてくれたのです。」


「確かに、おかしな事もあるものだな。」


「アリスティア。確かに、これはどうなっているというんだ?」


 クレイマルスがそう言うとハウベルトは手紙を読み終え、


「手紙の内容からして、恐らくは、カプリア様は何か考えがあっての事らしいが。」


「だとすると、急ぎハクリュウ達と合流し、その城に向かわないとな。」


「アリスティアの言う通り、早くその城に行きノエル様を助けないと。影鼠ありがとうございます。何かあったらまた呼びますね!」


 そしてシャナは影鼠と別れ、アリスティア達は身支度を整えたあとこの村をあとにしたのだった…。

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