第48話

休日に逃げまくる、逸れることをわかってカーブしていく、すこしでも触って進めるべきで、向かえば勝手に働くこともあるのに、見向きもしない、二十分電車に乗ったから、それを理由に置き去りにするか、まだ一時間はある、耳垢くらいはがんばろう。


曇り空に気分をわざわざ染めはしない、アニメの風吹く店内で立つこともせず、古時計に心拍を預けて浸っていた、癒しになるだろうと思っても、なぜに目はしょぼつくのか、筆跡も雑になり、上り下りした階段と坂に足が笑ってしかたない。


自由にとは違う、それでも深呼吸するように文を書くのは数日振りだ、仕事を溜めるのは苦手だと、つくづく味わった数日に、荷を負い続ける弱さを新たに知ることになった、まだ残っているにしても、軽くなればゆとりも出てくる。


連休にたがは外された、淀にたまった柵が抜かれるように、虫かごから蛍が宙空へ放散する、集まるところは似通い、姿や仕草も同じよう、変わらないのは自分だけと思っても、飛び惑う光景の中の一つでしかないだろう。


ずっと来るわけではないと知りながら、一時の虚無感は足取りを疲れさせる、手が空けば悩みに直面して、休憩を理由に逃げ歩く、休みは必要だとわかっていても、それをほどほどに、痛めつけない成長も成果もないだろう。


理想とする形式でなくても、表象として物量はある、それを良いとして飲み込むか、それとも違うとして煩悶するか、当然後者だろう、しかしながら向き不向きもあるのではないかと、逃げ道があまりに楽で光っている、満足する形は何だろうか、それはどうしたって偽りきれない。


料理が元気をつける、何度も繰り返したような気がする、それはきっと同じことを昨日述べたからで、一人でいる感受性がただそのように解釈したがるからだろう、連休か、昔はそこに多くの他人を見つけて寂寞を用意していたが、少しなくなったか、そこに大人を見れば違うだろう。


いささか生臭かったとしても、連休の終わりにハマチがおつかれをつける、またもや頭は別に働きながら、口は共生する器官として他の活動をしている、ようやく追いつき、越すことができた、昨日の会話に遅れをとらず、やっと定位置につけたのだ。


おぼろおぼろの独白を次に置いて、一度打ち切る、写実より象徴を駆使すべきか、どちらでも構わない選択肢だ、しかし明日は砂場となり、再び築く前に停止するだろう、頭が砂の柔らかさなら、水のごとく変化できるだろうに。


餌にありつくように気分が満足する、そんな対象を持つことは誰でもあるのだろうか、それは恋とほぼ同様の距離感で、たまに目が合えばすこぶる喜ばしく、間ができれば不足でしかたない、だから二時間でも一緒にいられれば、顔はだらしなくなるのもわかるだろう。


興味対象を広げておくことは、時に力を分散させてしまう気がする、たぶんその通りなのだが、あらゆる拾い読みの月日のおかげで、とある分野と仲良くなることもある、そっちのトークもいける人ですね、それが褒め言葉か知らないが、誰かとつながる接着剤くらいにはなっている。


ろざんじんとかとうへんぼくとか、何にもなれない中でかそうパーティーしているようだ、まやかしとおもいあがりが咳止めとなり、高らかな哄笑をおさえている、よどみなく出る言葉があり、良い悪いを抜きにするっと喉を過ぎる、結果はいつも信じない、それを何度も繰り返して信じない。


くしゃみをすれば首を痛め、ベルトをつかめば手首に走る、連休を楽しんだツケがつまった業務にやって来て、過ぎたあとに体の節々が年齢を理由にしたくなる、思えば目もかゆく、鼻水も少し出る、こうして季節の変化を健康のぼやきでつぶやくことは多くなるのだろう。


休日が無為に過ぎてしまったようだ、もはや持病と思える耳の違和感と頭の重さはコロナウィルスの蔓延と同時期から続いている、脳萎縮と神経衰弱の合併症みたいで、とにかく目が疲れて弱っている、数ヶ月ぶりの昼寝が少しは救ってくれればいいが、寝ても覚めてもすっきりしない。


どうしてこうも遅れているのか、以前は行き渡っていた諸事がなおざりにされて、巡りは悪くなっている、外を歩く人は半袖のままだが、長袖に汗をかいて体は寒々しい、いつまでもこんなずれを感じたまま動き、結局何にもならないのだろう。


来るんじゃなかったなんてあくびをこらえて座り、こうやって業務化した休日の鑑賞を過ごしていると、むなしくなってくる、目もかゆくなった秋の空気のせいでもあるが、休みに休めない息苦しさがあり、息抜きはどこにもないと思ってしまう、常に気持ちが張っている、ここに成長をうながす状態はある。


漢詩のあとに心はたなびいていく、いかに空虚で才がなくとも、歌のたよりに続いていけば、それとなく情念はつづられていくらしい、青い空気が朝の鼻にかぎつけ、白い光がまぶたを明るく照らす、そんな瞬間が得られたなら、今日はおそらく良い一日だろう。


眠気のまにまに喜怒哀楽する、反応は一つ、ごまかしまぎらわす為だ、記憶は忘れたようで残っており、探りに探れば一連が思い出され、目が開かなくなってくる、考えすぎると駄目になる、わかっていながらするのは、怪我だろう。


雨をすまして自転車を走らせ、度胸と勇気にこめる性質を思いめぐらす、モノクロ画面は気分に暁をともし、友情は愛情同様に得難いとシャンソンが流れる、口がうまいからといって誠実でないこともない、無口のように内の心が大切なのだ。


丸いぶどうは風邪に効きそう、喉でも鼻でも体に不調を感じれば、とにかく心が惑ってしまう、汗をかかせる効能はない蔦の実でも、その滴の結晶が心身を蘇らせるように思えるのは、たっぷりした甘さの生命力か。

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