23.計算結果

その1

 長老との会談の二日後の朝、夏服のセーラー服が仕立て上がってきた。

 例の如くというか、新しい服が届いたので、ルコ以外の三人は大いにはしゃいでいた。勿論、ルコはその場の雰囲気にばつの悪そうな顔をしてはしゃぐ三人の輪の中には入れないでいた。

 ただ、前回と違って着方を教える必要がなかったのはルコにとって幸いだった。

 夏服は、明るい茶色系をベースとしており、楊梅やまもも色をしており、セーラーカラーは冬服と同じく白で、三本の楊梅色のラインが入っていた。前は三つの同じ楊梅色の丸ボタンで留めるようになっており、セーラーリボンは茶色で冬服のベースカラーと同じだった。また、スカートは上と同じ色のプリーツスカートで膝丈まであった。靴下は紺色のハイソックスになっており、靴は編み上げのショートブーツだった。ローファーではないのは、戦闘を想定しているためだろう。

「これで大分涼しくなったのじゃ」

 遙華は一安心といった感じでそう言った。

「遙華、油断は禁物よ。これからもっと暑くなるし、南へ行くのだから尚更よ」

 恵那は遙華に意地悪っぽく言った。

「このくらいの暑さなど平気じゃ」

 遙華は強がるようにそう反論した。

「今の暑さは普通暑いとは言わないわよ」

 恵那は遙華の言った事をあっさりと否定した。

 否定された遙華は不安そうな表情に切り替わってしまった。

「やっぱり、遙華は暑さで溶けちゃうかもしれないよ」

 恵那は更に意地悪っぽく言った。

 遙華は不安で泣きそうな顔になっていった。

 明らかに冬に遙華にからかわれた仕返しを恵那は行っていた。

 そんな二人のやり取りとルコと瑠璃はやれやれ仲がいいのだからという感じで見守っていた。

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