その2
夕食には恵那の姿がなかった。
三人は仕方がなくそのまま食事を摂る事にした。
食事中、ルコは二連都市に行く方針を二人に話した。恵那の気持ちを慮った感は否めないが、他の異世界人との接触は危険性はあるがやるべきだという判断も働いたためであった。
瑠璃と遙華はルコの気持ちを汲んで、特に反対はしなかった。
遙華は食事を持って恵那のベットの前へ行き、二連都市に向かう事を告げたが、何の反応もなかった。
その日はそのまま終了し、次の日がやってきた。
朝食にはまた恵那の姿がなかった。
三人はまた仕方がなくそのまま食事を取り、二連都市へ向けて出発した。
車は順調に出発し、三人は前部座席に座っていた。
だが、しばらくすると遙華が急に立ち上がり、何とも我慢出来ないという態度で大股で寝室区画へとドスドスを歩いていった。
ルコと瑠璃は気になり、前部区画の通路の入り口にをじっと見ていた。すると、すぐに遙華は恵那を引きずるように連れてきた。遙華は四人の中で一番小さかったが、腕力は一番あったので力づくで連れてきたのだった。
「いい加減にするのじゃ。恵那、主の意見どおりに事が進んでいるのじゃからもういいじゃろ!」
遙華はそう言うと恵那を前部区画に後ろから押し出した。
恵那は無理やり押し出されて入ってしまったので、戸惑った顔をしていた。
ふとルコと恵那の視線が合った。しかし、恵那はすぐに視線を逸した。
そんな恵那の態度を見て、ルコは完全に嫌われたと思い、落ち込んで前を向いた。後ろ姿からはっきり分かるようなしょんぼり具合だった。
恵那は恵那で再びしょんぼりしているルコを見て、かなり気まずい思いでいた。
遙華は所在なさ気な恵那の背中を叩くと、
「いつまで突っ立てんるんじゃ!自分の席に早く座らんか!」
と言った。
恵那はそう言われるとすごすごとルコの後ろの席に座った。
それに続いて遙華もドカンと恵那の隣りに座った。どうにもこの雰囲気に我慢ができないと言った感じだった。
恵那は上目遣いでじっとルコの後ろ姿を見た。しょんぼりしている度合いが半端ないルコを見て恵那は途方に暮れていた。自分のベットの中に籠もっていたのは自分の態度が気まずく感じて皆に顔向けできないという理由だった。つまり、互いの気持ちがすれ違っており、ただ事だけが進んでいく格好になっていた。
そんな妙な雰囲気の中、車だけは順調に走り、都市
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