257.琴音キアサージへ

 

 こうしてコンダート王国海軍は攻めて来た帝国海軍第七艦隊までを完全に撃滅したことによって出雲海軍を包囲殲滅されそうだったところから救いだし、さらに一時は帝国側に囚われの身となり命の危険にさらされていた琴音をネイビーベレーの強襲によってほぼ無傷で救出していた。


 その救われた琴音とその侍従や側近たちは、コンダート王国海軍第五艦隊の首脳へ感謝の意を直接伝える為、大和艦内会議室にいた。


「此度の我々を救ってくれたこと、本当に感謝する」

 琴音は開口一番に感謝の意を述べていた、そして言い終わるとそこにいた側近や侍従とともに深く頭を下げていた。


「いえ、こちらとしてはもっと早くから介入していれば大きな損害も出ずに済んだのですが……」

 対するエミリアは、今回の対応にはもっと上手くできたはずと感じており、少々暗い反応を示していた。


「いや、どのみち我々が帝国の動きをしっかりと呼んでいなかったのが悪いんだ、コンダート王国側に何も非はない、むしろ危機的状況に陥っていると判断してくれて駆け付けてくれているのだから、それ以上のことはないさ、しかも、海に落ちた兵を敵味方関係なく救っているのだからこれほど慈悲深いと思ったことはないよ」


「そう思って、頂いているのでしたらよかったです」


「それにしても貴国の軍艦というものは全て鉄で出来ていて、砲弾もかなり離れた位置からもほとんど外すことなく充てられるとは恐れ入った」

「ええ、これは我がコンダート王国現国王陛下直々に召喚してくださったものなんですよ!なんでも、かなり進んだ文明持つこの世とは大きく違った世界から召喚されたもので、この艦ではなく他の兵がつけているものから空飛ぶもの迄全て陛下が我々に恵んでくださったものです、これによってこの世界ではありえないほどの強さの源となっているのです。正直私も最初は琴音閣下と同じような思いでした」


「そうなのか、貴国が急に強くなったのはコンダート王国国王陛下のおかげなのだな?」

「ええ、そうです、あのお方のおかげで我が国は持ち直し、今や帝国にとっての最大の脅威となっていることでしょう」

「……、エミリア殿、無理を言うようだが、その国王陛下にお目通り願えないだろうか?」

「わかりました、きっと陛下なら快諾してくださるでしょう、少々お待ちください……、キアサージの陛下宛に電文、琴音殿面会をワタ陛下へ求む、送れ」


「はっ!」


 しばらくして、キアサージから返答が返って来た。


「報告!国王陛下から電文」

「何と言ってる?」

「はっ!“お招きせよ”と」


「では、琴音閣下、国王陛下よりお招きいただいているようなので、お送りいたします」

「本当か!何日後にお目通りが叶うのだ?」

 そのことを聞いた琴音は、目を輝かせながら机に身を乗り出していた。

「何日もかかりません、数分後には着きますよ!」

「な、なんと……」

 

 琴音は口を大きく開け遠く離れている場所にそんなにすぐに行けるはずもないのにと理解できていない様子だが、ふと今までのコンダート王国海軍の船やら水兵やらを思い出したとき、長距離射撃を高精度で行う彼らであれば、それぐらいのことは造作もないだろうと納得した。

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