200.アルダート駅5

 アネッサ駅長の地上ホームの説明が終わると、すかさず皆を3階にある新幹線ホームに向かわせた。


 移動している途中にもアネッサ駅長がアルダート駅の構造について説明してくれた。

 アルダート駅は橋上式(二階)+高架駅(三階)になっていて、地上ホームはちょうど谷の底のようなところに位置しているので駅の2階にある改札から見ると地下ホームのようにも見える。


 駅舎は両方とも現代によくあるような基礎が鉄筋コンクリート造りになっていて、3階の屋根はアーチ状になっていて骨組み以外はすべてガラスで作られている。


 実際に行ってみてみると、これまた広いホームがそこには広がっていた。

 大宮駅の新幹線ホームが大きくなった感じをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれない。


 そして俺らが上がって来た時に丁度57番線に、まるで槍のようにとがった車両の先端が特徴的な今はJR西日本で活躍している500系を魔改造して340km/h出せるようにした500系Advanced(略して500A)が入線してきた。

 一時期日本一の速さを誇った500系に、この世界でまた主役を務めてもらい一花咲かせてあげたいという気持ちから魔改造とこの路線に投入を決めた。

 それ以外にもJR東海のN700SやJR東日本のE5系も入線していたので、ひそかに俺は興奮していた。


 番線  路線名    入線車両

 49番線 中央新幹線    N700S

 50番線 中央新幹線    N700S

 51番線 中央新幹線    N700S

 52番線 西国新幹線    E5

 53番線 国際連絡新幹線  計画中

 54番線 西国新幹線    E5

 55番線 南海新幹線    N700S

 56番線 南海新幹線    N700S

 57番線 東海新幹線    500A(340㎞/h仕様)

 58番線 東海新幹線 500A(340㎞/h仕様)

 59番線 東海新幹線 N700S

 60番線 東海新幹線    N700S

 61番線 上北新幹線    E4

 62番線 上北新幹線    E7

 63番線 東北新幹線    E5

 64番線 東北新幹線    E5



 3階の見学を終えると、残る2階部分の見学だ。


 在来線ホームの真上に城門前広場と駅構内(中央改札口・西口改札・東口改札)、それから地下鉄線(絶賛建設中)連絡改札口をつなぐ路線が走っており(全て改札内、営業距離 2.5㎞)、アルダート駅を利用していた人のみ全区間無料となっている。

 ここには自動案内軌条式旅客輸送システム(AGT)と呼ばれるゴムタイヤがついた電車車両をコンピュータ制御で無人運転を行う運送システムを導入することにした。


 AGTを導入した理由としてゴムタイヤを使用しているので、車などと同じく高加速・高減速が可能なので短い駅間でも対応可能ということと、電気を車体下部から取り入れるため架線を必要とせず建物の中を通るこの路線にはもってこいだったからだ。


 投入車両は東京都交通局日暮里・舎人ライナーの320形にした。


 この区間は駅施設内を利用する人たちであれば全区間無料になっている。


 列車に乗るための改札が存在しない。


 そして2階には様々なお店が出店予定で、カフェやレストラン、雑貨屋、コンビニ等が出来ることになっている。



 そもそも、何故こんなに鉄道網の敷設を急いだのか、その大きな理由として迅速かつ効率的な兵員輸送の為だ、それに加え鉄道によって各地にまたは、その逆で各地から王都に食料や弾薬等の軍事物資の輸送ができるようにするためだ。


 その軍事貨物輸送のターミナル駅はアルダート駅ではなく、アルダート駐屯地近くに作ったアルダート貨物ターミナル駅になっている。

 その為、アルダート駅に乗り入れる列車はほぼ全て旅客列車になっている。


 もう一つの理由として、エテケス山麓にある魔術核融合炉と大型水力発電で発電した電力を超巨大蓄電施設にためていたのだが、それが今使われずにどんどんたまっていく一方だったので、それを使おうというのがある。


 そんな大量に余った電力を使うために最初から電車の導入を考えた。

 そして、鉄道が好きな俺が自分の夢見た元居た世界ではありえない駅を造ってみようと思いたったのも理由の一つだ(くだらないとか言わないで……)。




 ある程度見学が終わると、俺たちは駅の城門前広場口を出てすぐにあるコンダート王国国有鉄道本社に向かうことにした。

 ここでは、今後の鉄道敷設計画と私鉄の建設について話し合うことになっている。

 そしてこれが終われば、やっと王城でゆっくり休むことができる。


 

 そう思いながら、これから自動改札機が導入されるであろう城門前広場口改札を抜けていった。

 しかし、その瞬間俺の左頬を何かがものすごい勢いで掠めていった――――。


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