178.突入!
寝室へとやってきたレナとローザ、ステラの三人は寝室の隙間から漂う“異臭”に鼻をゆがめていた。
「なんだこの臭いは?」
「汗のにおいでしょうか?何にしても不快ですね」
「とりあえず、この部屋にあいつがいるんでしょ?さっさとやってしまいましょ?」
寝室の扉は誰にも入られないようにカギは鎖のようなものと南京錠に似たものでがっしりと閉じられていた。
それをローザはナイフや差していた剣を使って何とか開けようとしていた。
「レナこれは頑丈すぎてあかないぞ?」
「ローザさん、ここは私に任せてください!……、ここに、これをこうして……扉から離れてください!ブリーチ!ブリーチ!」
ドシュ!ドンッ!
レナは慣れた手つきでテープ状に加工したC2爆弾(C4爆弾と同じプラスチック爆弾)を扉の蝶番に貼り付け爆破した。
これは“ドアブリーチング”という警察や軍の特殊部隊がカギのかかった扉を開けるときに使う手法の一つだ(というより吹き飛ばす)。
吹き飛ばした後、レナは特殊閃光弾(フラッシュバン)を部屋に投げ込み中の脅威を無力化させ、すぐにレナ、ローザ、ステラの三人は事前に取り決めていたやり方で部屋の中に突入していった。
この時レナはMP7とVP9を装備、閉所戦闘(CQC)が予想されたので、普段剣を使って戦うローザとステラにはあらかじめ銃を渡していた。
ローザはVP9とHK416A5、ステラにはMP7とVP9を装備している。
部屋に入ると、すぐ目の前には大きなベッドがありその上では敵将と思われる大柄の男と女性がすでに行為に及んでいた状態のまま、さっきのフラッシュバンの影響を受け固まっていた。
それを見たレナは絶叫しながら、持っていたMP7をフルオートでベットの上にいる対象の側面目掛けて撃ちまくった。
「この外道がっーーーーーー!アハハッ!」
ダダダッダダダッダダダ!ダン!
カチャ!
パンパンパン!
あまりの怒りにレナは狂ったように撃ち続け、MP7を撃ち切っても、すぐにホルスタに収めていたVP9に持ち替え、男にさらに弾を撃ち込んでいく。
「レナ!そこまでにしておけ!もう奴は死んでるぞ!」
「はっ!そ、そのようですね……」
ステラの言葉を受けレナはようやく正気に戻った。
「でも、こいつは、確かにあのエレクサンドラ・ガンテなの?」
大柄の男が情報で得ていた人物なのかどうか確認する為、男にライトを当て特徴を照らし合わせた。
「情報によればこいつに間違いないはずです!」
男はベッドわきの床に仰向けの状態で動かなくなっていて、その周囲はすでに血の海になっていた。
幸いなことに、一緒にいた女性はレナの射撃開始時にすぐに男のもとから離れていたため、弾は当たっていなかった。
「やっと、倒せたわね、それはそうと報告しないと」
「そうですね……、メランオピスリーダー、HQ(前哨基地前線指揮所)、敵将の殺害を確認、繰り返す、敵将の殺害を確認!」
「HQ了解、問題がなければすぐに帰投せよ、オーバー」
「メランオピスリーダー了解、アウト」
無線で本部に報告した後、部屋を見渡せばそこにはいろんな種族の女性たち十数名が力なく座っていた。
その女性たちはおそらくこの男の“奴隷”だった女性たちで間違いないだろう。
見れば、彼女たちはかなり露出の高い服を着せられ、食事を満足に取れていないのかやせ細り目も濁ったような感じで、三人が来てからずっとこちらを怯えた目で見てきているだけで、激しく抵抗してきたり襲ってくる様子は見られない。
もちろんこんな状態の彼女たちを放っておくわけにはいかないので、まずは衛生兵を呼び簡単に診てもらいそのあと本部の野戦病院に搬送することにした。
ちょうど、城の裏口の食堂にメランオピス隊メランオピス隊A(アルファ)大隊のが待機しているはずなので無線で呼び出した。
「メランオピスリーダー、A(アルファ)リーダー(第二大隊長)、寝室に衰弱した女性奴隷多数、搬送したいので至急衛生兵と人員の応援を求む」
「A(アルファ)リーダー、メランオピスリーダー、現在こちらは先ほど倒したはずの敵と再度戦闘中!」
「なんだと?どうなってる?」
「おそらく、倒した敵がゾンビ化した模様!」
「本部は?」
「現在、ブラックベレーがこちらに応援に向かってきているようですが……ザーー」
「おい!どうした?応答しろ!」
どうやら下では、ゾンビ化した敵に襲われ交戦中のようで無線機をやられたのか通信も途絶してしまった。
不幸中の幸いで本部にはすでに応援要請をしてあるようなので、取り敢えず下のメランオピス隊は到着まで耐えればいいのだが、対するこちらはもしゾンビが攻めてきても、部屋には動けない弱った女性たちがいるので彼女たちをこの3人で守らなくてはいけないため非常に危険な状態だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます