167.陸海空軍合同ミーティング3

 

 KCIAの報告が終わると次に海軍情報部からの報告が始まった。

 先ほどまで気絶して医務室にいたとは思えないほどの元気さで報告してくれていた。


 まず、第3・4・6艦隊の編成を完了し、編成を完了した各艦隊は東と南と西方向に分かれて練習航海を始めたようで、

 この各艦隊はこの後演習などを行い練度の向上をはかり、現在出撃中の第1・2・6艦隊と交代し実戦任務に就く予定だそうだ。


 そして現在行動中の第一艦隊は、予定通り第一空母航空団所属の第一一戦闘攻撃飛行隊と第一二戦闘攻撃飛行隊を合同演習のために敵に気付かれないギリギリまで陸地に接近してから発艦させ、発艦させた後すぐに陸地から離れウルスとファルナをミサイルが届くギリギリの場所まで後退し、命令があればすぐに攻撃ができる状態にあるという。


 次に第二艦隊だが、無事にキーレ港から南東に2000海里離れた位置で出雲国使節団の乗る船団と合流出来たそうだ。


 ただ当初、この使節団と合流するのは非常に困難を極め(どこを航行しているか探すのが至難の業な為)、さらにこのために艦隊を出してもらってはそちらの戦力低下が見込まれるので迎えはいらないと出雲国側からコンダート王国の安全を考慮してくれた上で断って来ていた。


 しかし、現在キーレ港の周辺海域の領海権は取れていて出雲国の艦隊が強く操艦が得意なことで有名とはいえ、木造帆船なのでそもそも遅いし(予定では4か月かかるとされている)もし万が一敵の航空戦力に出くわしてしまったら対空兵装なんてものはないに等しいのでひとたまりもない、そればかりか艦隊の中には国の威信にかけてでも護衛をしなければならない超重要人物が乗船しているということだったので、それを理由にこちらから一方的に合流し今回に至る。


 こちらの世界の常識からいえば、確かに外洋に出た艦隊が場所を決めて合流するのは完全に不可能なことなので(百万隻出してしらみつぶせば見つかるだろうが)断ってくるというより忠告にも近かったのだろうが、こちらとしてはそれを覆せるだけの能力と装備があるので難しいとはいえ不可能ではない。

 なぜならば、合流に向かった第二艦隊には空母がいてさらにそこには多数の艦載機を積み、空母周辺には数隻の高性能レーダーを積んだ護衛艦がいるからだ。

 合流された側としては非常識で且つ突然のことに開いた口がふさがらなかったことだろう。

 合流したときは強引なことをしてくれるなと怒られるかと第二艦隊司令長官は思っていたそうだが、ものすごく喜ばれた上に丁度食料の余裕がなくなってきたときだったので助かったといわれたらしい。


 ともあれ無事合流した第二艦隊は出雲国から来た10隻の船を各艦艇の船尾とロープ等でつなぎ曳航してキーレ港に向かっているようだ、これもかなり強引でこちら側の都合だけを重視したかたちだが安全に且つ素早く到着できることだろう。


 最後にエンペリア王国近海に派遣された第六艦隊は現在、エンペリア王国海軍の第一艦隊と合流し敵艦隊と交戦し勝利を収めたようだ。

 その時の状況はバーグ沖同様こちら側の一方的な攻撃になっていて、エンペリア王国海軍と合流する前には遠距離から長門と陸奥の両戦艦から放たれた主砲弾やイージス駆逐艦から発射されたアスロックによってほぼ壊滅させていたらしい。


 ここまでが現在の海軍の近況だ。


 そして海軍の報告が終わると、今度は陸軍からウルス城攻略作戦の現状について報告があった。

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