164.修羅場というよりもはやカオス2
そんなヴィアラのことを見て流石のミサも悪く思ったのか、徐々に反省の態度を示すようになっていた(とはいえカレーのことが頭から離れないのでチラチラとそっちの方角を見ている)。
そんなミサのふざけた視線と態度とヴィアラを謝らせているのに反省の色が見えないと思ったのか、ミサの隣にいたリディアはブちぎれてミサの頬を思いっきり平手でぶっ叩いていた。
バチンッ!
「貴様!ヴィアラ閣下がここまでかばってくれているというのにその態度は何だ!!恥を知れ!」
「す、すみません」
「き・さ・ま!!それで謝ったつもりか!!」
「やめなさい、リディア大将、そんなあなたもみっともないですよ?」
どんどんエスカレートしていったリディアに対して落ち着くように言ってきたのはヴィアラではなく、エレン参謀総長だった。
「陸軍には関係無いだろう?口出しは無用だ!」
「そんなことだから、海軍は早々と負けていったんだわ」
「貴様ぁ!」
「うるさい!貴様らだってあっけなく東側を占領されたくせに!」
売り言葉に買い言葉でさらに悪化してしまい、そこにさらに今まで様子を見ていたフラウ作戦本部長が海軍の悪口を言われた途端激高しエレンにつかみかかっていた。
そんな状況に、本来はこんな時いち早く止めに入らねばならない一国の長は固まっていた。
(oh..まさにカオス……誰かこの場にコスモスを……やばい俺の頭もカオス)
そして、頭の中はもはやショート寸前だった、なぜだって?彼の弱点は女性が怒ったとき何もできないことだからだ。
そんな中かろうじて首を動かし、大幹部連中のなかで唯一の男性のミハイルに救いを求めようと彼が立っていたはずの場所に顔を向けるが、そこには彼は立って居らず、どこにいるかと思って視線を巡らせると、誰かの腕が彼の頭部を直撃したため、そのおかげで彼は床にあおむけになって倒れ天井をずっと見つめていた――――。
(ああ、ミハイル、君はそんなに天井が好きなのかい?……アハハ)
「静まれ!!ここは陛下の御前であるぞ!貴様らそれでもこの国に忠誠を誓った軍人か!!」
会場に響き渡るような声で叫びこの場に喝を入れたのは、クレイシーだった。
「何だと?」
「我々を、空軍を侮辱してみろ、そのまま反逆罪で貴様らの首を飛ばすぞ!」
「ポッとでの貴様らにこちらの何がわかる!」
「いちいちこんなくだらないことを言わせるな!ここは我らが忠誠を誓う国王陛下並びに女王陛下の御前だといっておろうが!まだわからんか!」
「クッ」
クレイシーは必死にこの状況を収めようとしてくれていた、しかも、まるで俺のことをこの場から守るかのように。
「やめないか、本当にみっともないぞ、それと私はあれほど君らに陸軍とも仲良くするように言ったのになぜこんなことを……」
「そうだぞリディア、フラウ、海軍あっての陸軍ということもわからんのか?まえに教えたよな?なぁ?あぁ?」
若干の膠着状態になってしまったところに、陸海両軍の大臣がクレイシーに助け舟を出していた。
(約一名はまるで鬼きょ……何でもないです、すみませんそんな目で見ないでください、というか僕何も言ってないんですけど?心読まれてる?)
俺はチラリと横目でクレイシーを見ると何故か睨まれていた、そして彼女から目をはずした瞬間俺のみぞおちに衝撃が走りそのまま仰向けに倒れ込んでしまった。
(ウッ、無念……)
ちなみに、他の空軍幹部たちは最後まで状況がつかめなかったようで、ただただその場で立ち尽くしていたようだ。
後で俺を殴ってきた本人にこの時のことを聞いたら「自分でもなんでやったのかわからなくて」と言っていたが、すでに事後のことだったので今度からは俺に絶対の忠誠を誓わせ次に俺の仕事を手伝うことを約束させてことを済ませた。
これを俺の女性問題になると黒い瘴気を放つやつに知られたらと思うと冷や汗が止まらない。
そしてこの時本来ミスティア隊が護衛していて俺のこの状況は防げたはずだが、メリアが休憩をとるように彼女らに命令していたためここにはいなかった。
後でこれを聞いたミセア大佐はまたも罪悪感に押しつぶれそうになっていたという。
「「「申し訳ございませんでした!!!」」」
流石に状況を冷静に理解し始めた4人は頭が地面にめり込むんじゃないかというほどの勢いで土下座をしていた。
「ハイ、ハイそこまで!せっかく楽しい食事が冷えてしまうわ、さぁ、今は仕事や所属を忘れて楽しみましょー!ってワタ?!」
こんな状況にも関わらずメリアは満面の笑みと明るいテンションでこの場を収めようとしてくれていた。
対する俺は、なぜだか全身から力が抜けていてミハイルと仲良く天井を鑑賞することになった。
(ワーイ、天井だー、アハハ)
そして、俺とミハイルは仲良く駆け付けてきた衛生兵たちに担架で医務室に運ばれていったとさ。
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