115.司令官公室にて
「それにしても普段と違ってセレア、可愛いぞ!(そしてエロい!)」
「私にそんなこと言ってもうれしくもなんともないからな!!最後に何か言ったか?」
「ワタ様?私はどうですか?」
「もちろん天使のように可愛いぞ!」
「ウフフ!ありがとうございます!(今すぐ私を食べちゃっていいんですよ?)」
セレアは口ではそうは言っているものの反応からしてまんざらでもないようだ、そしてベルに至っては恥じらうことは微塵もせず、むしろ堂々としている。
「あの、そろそろ行きませんか?」
「あ!ごめんね、ウィスティリア。ではご案内しますね!(ベルはさっきなんて言ったんだ?)」
そんな一行は、空母の艦内にある司令官公室に足を向けた。
扉を開けたそこにはすでにエレシアが席についていて、こちらに気付くとさっと立ち上がり敬礼をしてきた。
俺と一緒にいたみんなもすぐに答礼で返していた。軍務についている人間からすれば当然のことであるが、今までの俺にとっては非日常的なことであったのに今は自然な動きでできている自分に少し感動してしまった。
机の上には紅茶が人数分並び、真ん中には俺が過去に病院でお見舞いに来てくれたお礼として皆に配ったクッキー(○ントリー○ーム)が余程気に入られたのかさらに山のように並んでいた。
「久しぶりだなエレシア、こんなところで会うのは変な感じだな?」
「ヴィアラとは普段、陸上でしか会議はしなかったからなおさらな、にしてもこうやって直接面を合わせて合うのは何年ぶりだろうか?」
こうも陸軍と海軍のトップが同じ場所にそろっているのは普段はないようなので、本人たちも久々の再開に喜びあっているようだ。
「エレシアも来てたんだな!ノアは元気か?」
「ここでまたご一緒できてとてもうれしいです!はいノアは元気です!今は自分のギルドに戻って新しい事業を始めようとしているみたいです」
「そうなのか!それは気になるな!またそっちに顔を出すよ」
「ぜひ!」
「申し訳ありませんが陛下、挨拶が終わったところでこの場を借りてお話をよろしいでしょうか?」
「あ、あぁ、いいぞ」
まずヴィアラの口から出たのは衝撃的な一言だった。
「残念ながら帝国から一番近いベルン海軍基地が陥落したとの情報がありました。守備隊の必死の抵抗むなしく、敵の総攻撃で全滅してしまいました。そして東部方面の王国所属の艦艇はすべて喪失しました。残るは西部にかろうじて10隻が残るのみで、それ以外だとこの艦隊しか王国海軍には戦力が存在しないことになります」
「何だと!」
「陛下、陸軍にも被害が出ていまして、こちらは東部最重要拠点のウルス城が陥落したとのことです。かろうじて指揮官含む一部は脱出したようですが」
エレシアもものすごく言いづらそうに俺に言ってきた。
「どうやら帝国は本気でこちら側を倒しにかかってきているようです。北部の攻勢はなくなったとはいえこのままでは東部地方全域が帝国に占領されてしまします。それだけは何とか防がなくてはなりません、対策として北部の部隊と中央の部隊をかき集めていますが、それでも対応しきれるほどではありません、これ以上は大規模な増援は難しそうです」
「それに関してですが、エンペリア王国王女殿下が直属の兵2万を率い現在進軍中とのことです。それと我が国の冒険者ギルドの有志達が集まって応援に駆けつけてくれているようです。しかしいくら増援とはいえ、効果的な対応ができるかといえば微妙なところです、といいますのも敵には竜騎兵と魔導船がいるのでそれに対して有効的な手立てがない限り、いくら兵を送ったところで無意味に終わってしまうからです」
メイド服を着たままのセレアは今までのしおらしさはなく、今まで通りの話し方で話し始めた。
セレアが言ったエンペリア王国からの増援は、以前王都での会談の時にあちら側から申し出てくれていたことで、それが最近になって実行してくれたのである。
「君らは遠まわしに言っているけど、要は早く新兵器をあっちの戦場にも導入してくれってことでしょ?」
「「「その通りです」」」
俺のこの反応を待っていたのか、もともと示し合わせていたのか、俺が話終わった後すぐに三人の美女がこちらを見てその返答をしてきた。
「悪いが今の俺のやることは、王国東部海域の敵艦隊撃退と敵航空戦力の撃滅だ、そのあとに陸海軍合同指揮所を設けてそこを拠点に今後は作戦を実行しよう、それでいいか?」
「「「「御意!」」」」
「それよりウィスティリア、航空隊の方はどうだ?」
東部戦線のことももちろん大事だが、俺はここに来てからずっと気になっていた航空隊のことについてウィスティリアにきいた
「ハッ!陛下の特別なお力により、航空隊全員がいつでも戦闘に参加できるようになっております!」
「そうか!それは頼もしい!これからの王国の空の守り人として活躍してくれることを期待しているよ」
「ありがとうございます!それでは……」
コンコンッ
「誰だ!」
「至急の報告がございます!」
ウィスティリアが何かを言い出そうとした瞬間部屋の扉がノックされ伝令兵が入ってくる。
「報告!敵竜騎兵と思われる機影多数を周辺空域哨戒中のF-14の部隊が確認した模様!至急戦闘指揮所までご同行願います」
「わかった!行くぞ!」
「「「「了解!」」」
こうして異世界初の“空中戦”が行われる――
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