29章
その周りには、特異な形状の
およそ100体はいるオートマタのメタリックな白い装甲が、陽の光に当てられ輝いていた。
指揮をしているのストリング帝国の三将軍の1人――ノピア・ラシック。
「あのメディスンとかいう男は、うまくやってくれたようだ」
後部座席に座っているノピアの歪んだ口元があがる。
「はっ! リーダーのバイオは先ほどの戦闘ですでに死亡が確認されました。今がまさに
助手席に座っている兵士が、張りのあるはっきりとした口調で答えた。
それから、その兵士がノピアに訊く。
「それにしても、本当なのでしょうか? あのキャス将軍が
そう聞かれたノピアは、あからさまに不機嫌な表情になった。
そして、ふてくされたまま、首に巻いている黒いスカーフの位置を直し始める。
「私の言うことが信用できないのか?」
高圧的な態度で、兵士に向かっていうノピア。
兵士は「そんなことは……」と、弱々しく返すことしかできなかった。
「私の作戦通りなら、
ノピアは、そう言って笑みを浮かべると、大声で高笑いをした。
――その頃
メディスンが、敵の将軍であるノピアに
シックスの後に続いて、メディスンもその話が正しいと、兵士たちへ言った。
その話を聞いた
兵士全員が2人に注目すると、メディスンが外にストリング帝国の軍勢が来ていることを伝えた。
「これはリーダーであるバイオ……親父の
兵士たちは、一斉に整列して、この地下の出入り口へと向かって行く。
その一人一人の表情には、怒りと悲しみが入り
その顔を見るだけで、リーダーであったバイオが、皆に
これでいいのか? という表情でシックスを見るメディスン。
「シックス!」
アンがシックスのいる舞台へと走り込んできた。
その後ろには、キャスもついて来ている。
シックスはアンに見つめられると、顔を
「アン……すまない。巻き込んでしまった上に命まで助けられた……。なんといっていいのか……」
「なにを言ってる!!」
人差し指を立て、それと一緒にシックスの顔に自分の顔を突き付けて叫ぶ。
「私は怒っているんだ!! 人のことを勝手に逃がそうとして、自分は死ぬつもりだったのだろう!!!」
アンは、口から
「ふざけるなッ!! 私がどれだけお前に助けられたかわかっているのか!!! 今度そんなマネをしてみろ!!! 絶対に許さないからな!!!」
「ああ、わかった。もう二度とあんなマネはしない」
アンの言葉に、シックスは
そんな2人の後ろで、キャスが口元に手を当てて肩を
「これは将来には、かかあ天下というやつになるな」
それから、
身長178cmある女性にしては長身のキャス――。
彼女の顔と体は、まるで女神の彫刻のように美しいが、笑い始めるとまるで子供のように可愛らしかった。
それを見たアンとシックスも一緒になって笑う。
「あとは任せろ。2人はここにいてくれ」
シックスが言うと、アンが訊く。
「あとって……なにかあったの?」
「外にストリング帝国の軍勢が来ているんだ。俺はこれから前線へ行く」
そういうとシックスは、2人に背を向けた。
その背中は、アンの知っている力強くたくましい彼のものへと戻っていた。
「そうだ、言い忘れていた。2人とも助けてくれてありがとう……」
背を向けたままのシックスは、全身から風を起こして、そのまま出入り口まで勢いよく飛び出していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます