エピローグ
エピローグ
アマネと野沢の出会いは人と妖を繋ぐ大きなきっかけとなった。
それは野沢が彼女を愛し続けたこと。そしてアマネが彼を信じ抜いたからこそ生まれた小さな奇跡。種族の垣根を超えて、分け隔てなく接していく二人の姿勢は、偏見や確執を持っていた者達の心をほぐし、新たな関係を生み出していった。
二人の父親探しの旅は終わりを迎え、新たな目的が生まれた。
それは“全ての種族が手を繋ぐ世界”の実現。
今日も今日とて二人は不敵な笑みを浮かべ、世の中のありとあらゆる存在と心を通わせていく。
デストロイヤーを胸に抱いたミカンが、彼の片腕を持ち上げて叫んだ。
「ちきちき! ビックパフェ大食い勝負! ふぁい!」
「頑張れ、秋義」
「おうよアズサ! ドMの辞書に撤退の文字はねえ! 吐いても食う!」
「いけアッキー! 高校生なんかに負けるな! 世捨て人の意地を見せてやれ!」
「別に捨ててねえよ! あと高校生の方が有利だろこれ!」
「あ、もしもしテラスちゃん? アッキーのやつ早々にギブアップぽいから、助太刀に来てくれないか? みんなに崇徳のことも紹介したいしな」
「おいバカにすんなよ!? 本気になったおじさんほど怖いものはないことを教えてやる!」
「……これがパフェか。おぬしらは毎日このような上品な菓子を食べておるのか?」
雪恵と要が太郎坊を挟むように座る。
「さすがに毎日食べたら血液がドロドロになりますわよ。まあクレープなら毎日でもいけなくはないかしら」
「太郎坊さんもこういったデザートみたいなものは普段食べるのですか?」
「イノシシは好きじゃな」
「イノシシはデザートじゃないだろ」
向かいに座る小室がツッコんだ。
「うわああああ! アッキーそれはねえだろ! さすがのアマネさんもドン引きだぜ……パフェにコーラとか……」
「これがプライドを捨てたおじさんの本気だオラァ!」
そこにテラ公と崇徳が合流する。
「なんじゃ……あんな気持ち悪いものがパフェというものなのか?」
「ゲテモノもいいところですな」
びくりと身体を震わせ、立ち上がるアマネ。
「うぉい! タイミング! みんなアッキーを止めろ! パフェの名誉を守れ!」
ばばばと皆が野沢のもとへ集まる。
「やめろおおお! 俺からパフェを奪うな!」
「おとなしくお縄につけアッキー!」
「犯罪者みたいに言うんじゃねえ!」
くんずほぐれつ絡み合って、しっちゃかめっちゃかになっていく。そこには神も、元悪霊も、天狗も、人間もいた。
種族の垣根を越え、笑顔の絶えない世界が確かにそこに存在していた。
〈 完 〉
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