設備拡張
第63話 新設備と彼らとの別れ
悲しいすれ違いというか、何というか。宴の席の事はなかった事にして頂けなかった俺は、薬草汁をお見舞いしたほぼ全員から叱責されてしまった。
曰く『いくら何でもアレは酷い』
ゼルシュやペイトン達男性陣には仕返しとばかりに宴会終了後の風呂の時間に股間にサウナ熱風を喰らい、アリヤやアナスタシアには剣の稽古時にいつもの数倍可愛がられ。
シーに至っては、魔法の訓練の後にそれとなく薬草汁を飲まされたくらいだ。
そのお詫びを兼ねて、新設備を建設する為に『アレ』を飲む事が決定してしまった。
「それにしても、このブースト薬を使って排水路を作るっていうのも勿体ない気もするなぁ。どうせならマンションくらい建てたら避難の際に楽そうだけど……」
俺の手には怪しく光る薬、『HCパッサンG』の最後の一本。
魔王が来た時に頼めば追加で貰えるかもしれないけど、これで最後にしたい。毎度あの悪夢を見続けると心が砕けてしまう。
試験管を握り締めて落胆していると、今日一緒に行動してくれているベルが声を掛けてきた。
「ホリ様、ドウシマス? 何カ建テル予定ノ物トカアルンデスカ?」
「それがねベル、全くないんだよね。排水設備にこれを使うのもアレだけど、『これ使って何か作る』と言ってしまった手前ねぇ……?」
二人で悩んでいたが、いい答えは得る事も出来ず。
俺はたっぷりとご飯を頂いた後という事もあって、特に考えも無しにその試験管の蓋を開けた。
「まぁ、後は開けてみてからのお楽しみだね。ベル、後は頼むよ」
「ホリ様、頑張ッテ」
ありがとう、と言いながら一気にポーションを飲み込む。
喉を通る感触を味わうと、俺は意識を手放した――
――夢を見ていた。
懐かしさを感じる現代日本にいる夢、音楽会場のような場所にいる。客席には俺だけ。
舞台の内容はモヒカン頭の筋肉と汗が迸る下半身白タイツの男達がミュージカルを踊っており、その真正面の席に俺は括り付けられているのだ。
俺は一体何をしてしまったんだろう。日々ひっそりと真面目に……、前回と違って、直近で女性に対してセクハラをかましてもいない。日々真面目に暮らしていたのにこんな地獄絵図としか思えない夢をまた味わう事になるなんて。
夢の中では、やはり椅子から動くことも出来ずにいる。ならばと上を見るとそこには、筋肉隆々の男達が天井に吊るされるような形で腹筋をしている。
何故天井で……!! 床でやればいいじゃないですか!? 隙を生じぬ二段構え……!
だが流石に慣れてきたのもあるのか、意識を飛ばす事はなかった。
「キレてるキレてる!!」と彼らを称える余裕もある。
そして、一人のモヒカンが花束をこちらに投げてきた。それが椅子に座って身動きの取れない俺の膝の上にうまい具合に乗っかると、何故か皆寂しそうな顔を浮かべて一列に並んでいる。
一斉に頭を下げて、そして最後に陽気な音楽と共に全員がラインダンスを踊り始め、そして一人一人が前に出ながらダンスを披露していき、終わると列に戻る。
一連の流れが舞台の終盤だという雰囲気を感じさせてくれる。
彼らと会うのも当分、若しくはもう二度とないだろう。色々な経験をさせてくれた彼らのショーを見るのもこれが最後だと思えば感慨深い物がある。
そして曲が最高潮に達し、一層激しいダンスを繰り広げられた。
その一糸乱れぬ踊り、音響や照明の効果もあって彼らの肉体が輝いて見える。
そしてフィニッシュ。特殊効果により、キラキラとした紙吹雪が美しく空間を彩りその中心でポージングをしている筋肉達。
俺は立ち上がる事も拍手をする事も出来ないが、声は出せる。
「ブラボーッ!!」
そう叫ぶと、彼らは舞台袖に大きく手を振りながら帰っていった。
ああ、これでオシマイか。今回は助かったぞ、俺だって成長しているんだ! そう毎度やられる訳がないのだ!!
ん……? 何か上の方から拍手の音が……。
視線を音の出処へと向けると、天井で筋トレをしていた人達が拍手をしながら腹筋をしている。器用ですね。
彼らが一層拍手を響かせると、恐怖がまたやってきた。
袖からモヒカンの筋肉隆々な男達が手を振りながら出てきたのである。
第二幕かぁ……。
その後、ストーリー仕立ての筋肉の祭典が始まる。恐らく全部で三部作であろうそのストーリーは、恐らく純愛物。恐らく〇ミオとジュリエッ〇的なアレだと思う。
何故恐らくなのか、それは全くの無音で劇が繰り広げられていっているという要因もあれば、登場人物がほぼ全員モヒカンの筋肉さん達。
更に言えば彼らはその鍛えぬいた体を惜しげもなく披露するように、衣装などは殆どなく。登場人物を覚える際には『黒のブーメラン』や『白タイツ』、『柄物』や『短パン』、『灰ボクサー』などこちらで補完していかないといけないのだ。一番きつかったのは『白ティーバック』。
愛を語り合うような素振りをしているが、却って無音で助かった。
今は一人の筋肉、『ピンクブーメラン』を取り合うように『赤褌』と『白褌』が決闘をするように腕相撲をしている。平和的。
『ピンクブーメラン』が『ザマス』と書かれた容器の、中身は恐らくプロテインのそれを飲み、人の心を忘れた筋肉になってしまってからのラストは圧巻だった。是非ゴブリン達やペイトン達にも見せてあげたい。この映像を見る事になった原因を生み出したのは自分かもしれないが、是非彼らを巻き込んでやりたい。
第二幕のエンディングの曲が流れてきた。
いや、それなら劇中も音楽流して欲しい。何で効果音は全て肉体から発しているのか。
そしてエンディングのダンスが始まったと思った矢先、意識が飛んでしまう。
目が覚める、というよりは意識が覚醒しているが目が開かないという状況。金縛りのように体も動かす事が出来ない。
周囲の音も何も聞こえない、ただ以前に嗅いだ覚えのある匂いに包まれているのは分かる。香水の、甘い香りで癒される。
「姉様、もういいでしょう! また先日の時のように揉まれたり、吸い付かれたりしますよ!!」
「それも困るわねェ。でもうなされているみたいだからァ……」
「本当に寝ているかも怪しいものですよ!! 色魔ですよコイツは!!」
話し声が聞こえる。相手はアラクネの二人のようだ。どうやら、彼女達によって保護されているらしい。
体の感覚と、意識がはっきりしてくると体のあちこちから痛みが出てきて、ついつい顔を歪めてしまう。呻くようにしか声は出せないが、しっかりとした手足の痛みや呼吸する度に痛みが走るので深く呼吸するのが辛い。
「あらァ? さっきよりも辛そうねェ……? ちょっとレリーア、体調を見れる人を呼んできてくれるゥ? リザードマンのとこのお婆ちゃんでいいわァ」
「わかりました……。姉様、絶対近寄ってはいけませんよ!?」
そう言いながら恐らくレリーアがこの場から離れていく足音が聞こえる。
ふう、という一息吐く呼吸音が聞こえた。
そして手を軽く握り締められて、少し持ち上げるようにして何かをされている。
うーん? 手に何やらいい感触が……! 動け、動くのだ俺の体! まず目が開かない事には何をされてるのかすらわからないのだ!!
「あんまり心配させないでよねェ。まったくもォ……」
ト・ルースがやってくるまでの間、優しい花の香りの中で悶々とさせられたがその後は一気に体を治療してもらった。
とはいっても、ピクリとも動けなかった状態から多少動けるようになっただけなのだが。痛みもかなり残っていて、自発的にはあまり動けそうもない。
「ヒッヒ、ホリ様? 当分は無理は禁物ですよ。あたしらと違って貴方は脆弱ですからねぇ。体の不調も薬草汁を飲んで治した方がいい、体の為にねぇ。さて、とラヴィの嬢ちゃんのお邪魔になるから年寄はとっとと退散するかねぇ?」
「お婆ちゃんうるさァい。でもありがとねェ。レリーア、送ってあげてェ」
「はい、おいホリ、舐めた事するともう一度治療される羽目になるのを忘れるなよ」
ト・ルースのおかげで金縛りから解放されたけど、今度は一気にお腹が減ってきた。
「フフフ、今スライム君に頼んでェご飯を用意してもらってるわァ。トレニィアもスープを用意してくれてるしィ、楽しみに待っててねェ」
「うん、ありがとうラヴィーニア。助かるよ。それにしても、さっきまで何してたの?」
彼女は俺の質問に妖しく笑い、一本立てた指を少し突き出した唇に持ってきた。内緒という事だろうか。くう、気になるし少しエロい。
彼女達がいるという事は、今は朝方か、夕方か? ト・ルースにも皆にも悪い事をしてしまった。
そこから恒例のようになってきた、ゴブリン介護による食事の時間となった。
いつもすみません、助かります。
「イテテテ、そういえばさ、今回どんな感じになってるの? 排水路出来た?」
「道デキテマシタヨ! タダ何カ、ヨクワカラナイ物モ一緒ニアリマシタ!」
「ミンナノ住ンデイル場所ノ隅ッコニ、大キナ穴ガデキテマス!」
アリヤとベルが出来上がった物を教えてくれる。ちょっとわからないけど、穴? 何だろうか。今回は飲み込んだ当日と次の日の夜くらいまで超次元的な動きをしていたらしいが、前回の時よりも面白みには欠けていたらしい。
空を飛んでいなかったというのがポイントが低いとか何とか。俺、元々飛べないんだけどね。
そして夜から日中にかけて休み続けて、夕方に起きたと。
ブーストポーションの稼働時間伸びてきている……? 俺の体力にも関係しているのかな。確か最初に飲んだ時は、稼働半日で休息も半日くらいだったような。
本日のご飯は購入してきたチーズを使ったパン、スープは野菜がふんだんに使われた優しい味わいのある物。そして魚を焼いて、スライム君が解したのか? 解したその魚の身を使ったサラダと。おいしく完食させてもらった。
「ありがとうスライム君。おいしかったよ」
今日もポンポンと跳ねている彼。
彼はいつも料理を作っているから、以前に「偶には休んでもいいよ?」と言ってみたところ、拒否反応を示すプルプルを激しく表現されたので、何かで労うならまた人里へ行って調味料を買ってくるのが一番のご褒美なのかもしれない。
色々な調味料を少しずつ出して、触手でどういう味かを検分している姿は見ていて和むものがあった。
「さて、ご飯も終わったし、ペトラのいない内に寝てしまおう」
俺がそう言って、ゴブリン君達に離してもらおうとしたところ。
「ホリ様、鞄ドコデスカ」
「ベル! アッタヨ鞄! コノ中ニ……」
彼らが鞄を弄っている、そして腕を突っ込んでドンと出した物は……。
「ちょっと待って! 何で、何で君達がソレの在処を知ってるの!!」
「ペトラガ、『作ッテオイタ薬草汁ハ全部ホリ様ニアゲタ』ッテ言ッテマシタ! ダメデスヨ飲マナイト……!」
そう言いながらゴブリン三人が邪悪に笑う。
彼らが取り出したのは、ペトラから押収しておいた薬草汁。その劇物が入っている樽。その樽を出した途端に、謎の重圧感が生まれているのですが……。
「ホラホラッ、イキマスヨ!」
「待ってアリヤさん! 待って下さい! 今日くらいは大丈夫だって!! シー、無理矢理飲ませた事まだ怒ってるの? 謝る、ちゃんと謝るから!」
有無を言わさずに口を開けさせられ、なみなみとカップに入った薬草汁を投入される。
ん!? これは!! 以前よりも不快感を増しているのどごしっ!
それを知覚すると同時に目の前が暗くなった――
――次に目を覚ますと、恐らく明け方だろう空の色。
いつもだと、体の痛みで悩まされるタイミングなのだが、今回はそんな事もなく。
薬草汁の効力が上がっている事を身を持って検証できたな。これは間違いなく売れる。欠点が全てを台無しにしていなければ、最高の品質なんだけどなぁ。
「ホリ様! オハヨウゴザイマス! 体ダイジョウブデスカ!?」
「アリヤおはよう。うん、今回はもうかなり回復しているみたい。大丈夫だよ、ありがとう」
「ソウデスカ! ヨカッタ!」
そうだ、朝の散歩がてらに作られた物を見に行ってみようかな?
「アリヤ、今回の出来上がった物を見に行きたいんだけど、案内してくれない?」
「ワカリマシター!」
朝から元気だなぁ。
アリヤの元気さにベルとシーも起き出し、スライム君に少し散歩してくる旨を伝えて歩き出す。
早朝だと言うのに、何か見てはいけない物を抱えて壁を歩いているレリーアや、荷車に樽を乗せて何処かへ向かう準備をしながら手を振ってくるリザードマン達など、忙しなく動き出している者達も多い。
リザードマン達は魚獲りかな?
アリヤ達が先導してくれた先、それは拠点の外側にある大きな水路。
少し離れたところには以前製作された木の橋も見える。水路は途中までしか出来ていないようだが拠点から伸びている路には鉱石で補強されている為、頑強さも伺える。
「うーん、これならここまで排水のパイプみたいなのを作れば、風呂のお湯も流せるな……。でも、風呂のお湯を排水するだけだから後々の事を考えたら水が溜まって衛生的に良くないかも」
「ホリ様、ヨクワカラナイ物ハアッチデス!!」
手を引くように二人のゴブリン達が急かしてくる。だが俺が病み上がりだからゆっくりと行くようにシーが注意してくれたようで。
ソワソワと隣を歩いているアリヤとベル、そして忠告をしてくれたシーにお礼を言っておいた。
水路を伝って件の場所へと到着すると、そこには嘆きの山の壁があり、そして少し低い位置にぽっかりと開いたトンネルのような物があった。更にはその出入口には、鉱石を使って作られた細かい目の格子状の物がある。
「これは水門かな? 中はどうなってるんだこれ?」
「中ハ、少シ道ガアッテ、ソコニポッカリ穴ガ開イテマス」
「何ニ使ウンデショウネ!」
この裏側、確か居住区エリアの隅っこだから掘削も全然進んでなかった筈。
そう思って聞いてみたら、ゴブリン達曰くそこの掘削は今回のブースト時にやってしまったらしい。そしてその開いたスペースを使ってその大穴が生まれたのだとか。
「ちょっとその穴を見てみたいな、こちらからは行けないようだからご飯食べたら改めて見に行こうか」
「オナカ、減リマシタ!!」
「今日ハ魚ノ日デスヨ!」
ベルは魚が好きらしい。勿論肉も好きだけど、どちらか選んでいいと言われれば魚を選択するくらいには好きらしい。ゴブリンなのに……! 因みにアリヤは肉、シーは野菜。
拠点に戻ると、アラクネ三姉妹も来ていた。そして彼女達にも水路などの話を聞いてみたが、やはり意味のわからない大穴が気になっているご様子。
「深さもあるから……、落ちたら危ない……。ホリは酔ってる時は行っちゃダメ……」
「いや、そんな子供じゃないんだから……。落ちないよ? 多分、うん多分」
「絶対酔ッテ落チモググ」
ベルの口にスープに入っているつくねを放り込んで黙らせて、食事を続ける。
「そういえば、トレニィアはどういう戦闘をするの? 聞いた話だと『オーガより鬼だった』とか『暗殺者』とか教えてくれる人達が青い顔してたけど」
俺の言葉を聞いて、スープを飲んでいる三女を長女が優しく抱きしめて頭を撫でながら自慢をするように語り出した。
彼女達アラクネは種族は同じでも個体での性質がかなり異なるらしい。
トレニィアは肉弾戦が相当強く、動きがかなり俊敏。更に獲物を見つけ、仕留める事に関して言えば三姉妹の中で一番うまい。その反面糸が弱く、巣に使う事が精々でそれを使う事も少ない。魔法も扱えず、完全な近接タイプ。
ラヴィーニアはその逆で肉弾戦はほぼ出来ない。足手纏いになる程だが、強靭な糸と強力な魔法を扱う事に長ける。アラクネの中でも随一とシスコンが語っていた。
レリーアは二人の中間という感じらしい、魔法も糸も扱えて、接近戦にもある程度対応が出来るのだとか。
二人の姉に褒められて、少し顔を伏せるようにして照れた顔を隠しているトレニィア。
「凄いんだねぇ。二人がトレニィアを推薦した理由も、戦闘後に聞いた皆の意見を聞いて納得したよ」
俺の言葉にレリーアが鼻を鳴らして胸を張っている。
「フン! トレニィアは近接戦闘だけならここに住んでいる者の中でも上位に来るぞ。どうだ! 参ったか!!」
自慢げにしている姉、恥ずかしそうにしている妹。
その内、拠点内で模擬戦大会でもしてみるか……? 一人ずつだとつまらないから、三人一組のチームでやるとか。
面白そうだ、種族混合のチームやその種族だけのチームで戦い方が別れるだろうから、いい訓練になるかもしれないな。アナスタシアとかに一度話してみるか。
食事も終わった事だし、調査を再開しよう。今度はトレニィアも心配だから来るという事で少し人が増えた。アラクネの姉二人は巣に戻り、眠りにつくらしい。食ってすぐ寝ると太るぞ、と言ったらレリーアが爪を振り下ろしてきた。危険な奴め。
先程の水路の、壁を挟んだ反対側へとやってくるとなるほどこれは不思議な物が。
新たにかなりの距離を掘削してあるのもそうだが、かなり長い距離に渡って掘られた長方形の大きな穴が、数メートル程の深さで掘られている。
更に気になるのはその縁の部分にブロックを敷き詰めて少し高さを確保しているところだろうか。その大きな穴の隅の方に、先程の水門へと繋がる水路がある。
「うーん、これってもしかして」
「ホリ……? どうかしたの……?」
「トレニィア、悪いんだけど下の方に俺を連れて行ってくれない? ロープとか階段もないみたいだから歩いていけないんだよね」
「……? わかった……。捕まって……」
彼女が俺を軽々と抱き上げ、ゴブリン達も彼女のお腹の方へ飛びつく、そのままカツカツと足音を立ててその大穴の底へと案内してくれた。高さもそこそこあるな。
走り回るゴブリン達、普段と違う環境だから何か琴線に触れる物があるのだろうか。
だが、俺の関心の多くはそこではない。試しにやってみた検証で、今、目の前に用意されたこの施設の重大さに体が震えてくる。
「やっぱりそうだ、これは凄いモノを用意してくれたなあのモヒカン……!」
「ホリ……?」
俺は推測の域を出ないが、恐らくそうであろうという見通しを立てた。
「こうしちゃいられないぞ! アリヤ達! ウタノハと拠点にいるリザードマン全員を招集して! トレニィア、ラヴィーニア達を呼び戻しにいくぞ!!」
ポカンとした顔を浮かべる彼らは即座にトレニィアの腹部分に飛び掛かり、俺も彼女に飛びついた。
あ、いい匂い。ありがとうございます!
「ホリ様、何カアッタンデスカ?」
「フフ、もしこれが完成したらベル達みたいな特定の人は大喜びかもしれないね」
「?」
この大きな穴、そしてあの排水路につけられたいくつもの水門と水量を調整できるように取り付けられた蓋。更には水の魔石を底面で使った時に、特定の方向へと流れるようにしてある絶妙な傾斜を作り上げる仕事ぶり。
「まさか生け簀、魚の養殖に手を出せとは……。やってくれるなあの筋肉!!」
青空からこちらに向かってサムズアップをしているモヒカンが見えた気がした。
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