第19話 大いなる力には大いなる代償が

 ――夢を見ていた。


 懐かしさを感じる現代日本にいる夢、その内容は、モヒカン頭の筋肉と汗が迸る男たちがひたすら山車だしを引っ張り、俺を追い続けてくる裸祭りのものだった。

 俺は一体何をしてしまったのだろう。日々ひっそりと真面目に暮らしていたのにこんな地獄絵図としか思えない夢を味わい続ける事になるなんて。

 夢の中でただ逃げ続け、「助けて!」と叫び、走り続けていた。

 もちろん号泣している。


「……リ様! ホリ様!! 目が覚めましたか!!!」

 そう声をかけてきたペトラの顔を見て地獄から生還できた事が分かり、号泣したまま抱きついてしまった。

 少し落ち着く時間を貰い、周りを見ると他にも皆が囲むようにいた。

「んん、ごめん気を失ってしまったのか。どれくらい意識失ってたんだ?」と言いながらも、体の不調がかなりのものだとすぐにわかった。眩暈がして起きていられない為、とりあえず再度横になる。

 なんだろう、体が重くて仕方がない。そして少しでも体を動かそうとすると体の節々に鋭く突き刺すような痛みがする。


 心配するように皆が見ている中、ペイトンが切り出した。

「ホリ様は昨日、あのポーションを飲んでから半日程常軌を逸した動きをしていました。そしてその効果が切れたのか、そのまま意識を失って倒れられそのまま一晩が経ち、今朝に至ります」


 おお、半日のブーストに半日の意識不明状態と……。しかもこの体の痛みがどれだけ無茶をしたかを鮮明に教えてくれる。


 顔に手を持ってくると、手の平の皮が剥けたのであろう手当の後が見れる。マメが潰れて、手当の為に巻かれている布に血が滲んでいる。


「シー殿が血相を変えて我々を呼び、ずっと交代で見守っていましたが凄かったですよ。倒れる直前まで五人くらいに増えているように見えましたね私は」

「アリヤノ時ハ、姿ガ消エテマシタ!」「ベルノ時モ!」「私が見た時は、何故か空を飛んでいましたね」とペトラがめた。


 どうやらあのポーションを飲むと、異次元的な性能になるらしい。

 有効時間が半日で、この悲惨な状況を鑑みるとおいそれとは使えないなぁ。


「スライムさんが食事を準備してますので、それを食べて今日は横になって休まれてください。食事はできそうですか?」

「うん、お腹ペコペコだよ。ただ少し体を起こすのは辛いかな……」


 腕一本満足に動かす事も難しい。体も動かそうとしているが鉛のように重く、響くような痛みに襲われる。


 スライム君が雑炊のようなスープを持ってきてくれた。

 ありがとうと礼を伝えるとベルとシーによって体を起こしてもらい、そしてアリヤがスプーンで雑炊を食べさせてくれる。うう、まだ若いはずなのに介護されるなんて申し訳ない……!


 雑炊のようなものはそばがきを細かくして作られており、しかも温度がそれほど熱くないというさすがスライム君仕事が細かい。あっという間に食べきってしまった。


 そして食事も終了し再度横になろうとした時、ペトラが笑顔で近寄ってきた。

 なんだろう?


「ホリ様、薬草を煎じて飲み物を作っておきました! 体の痛みにもいいので飲みましょう!」と後光が差し込むような輝く笑顔。


 ペイトンがスッと視線を逸らした。


「いやペトラ、ペトラさん。大丈夫、大丈夫だから!」

「いけません! 大丈夫です! ベルさんシーさん! ちゃんと押さえてください! 大丈夫です! ポッド様にもあげましたが、喜びの声を上げていましたから!!」


 それは悲鳴じゃ――

 カップから注がれたものを飲み込んだ瞬間、そこで意識をなくした。


「ふう、これで一安心」


 皆はこれにより一層怪我や病気に注意しようと心に誓ったと後に語っていた。



 次に目を覚ますと、大分日が傾いていた。体の痛みが大分和らぎ、まだ本調子ではないが動けるようにはなった。立ち上がろうとすると、少しふらつく感じだが、それでもなんとか歩ける。


 拠点の洞穴を出ると、みんなはそれぞれ武器の手入れや晩飯の支度、薬草を煎じていたりと忙しそうだ。ペイトンとシーがいないが、見回りだろうか。


「ホリ様! 大丈夫デスカ!」とアリヤが駆けつけてくれるので「大丈夫だよ、ありがとう」と頭を一撫でさせてもらった。


 効果は抜群なんだよなあ、ペトラの健康飲料。

 効果だけは。


 そういえば、昨日は意識をなくし、今日も殆ど意識をなくして人里にいくのは明日か。準備もしておかないとな。


「少し明日の出発に際しての準備をしたいんだけど、誰か手伝ってもらえる?」

 そう聞くと、みんな押し黙ってしまった。

まだ納得はしてもらえないかな……? 「わかりました、では私が」とパメラが手伝いを買って出てくれた。


 悪いねと一番大きいバックパックを持ち、荷物の置いてある所へ場所を移す。

「みんな、怖いんですよ。『ホリ様が帰ってこなかったら』って言ってましたから。何があるかわかりませんし、助けにもいけない場所ですしね」

「案外、なんとかなるとは思うけど……。どんな場所とかどんな文化とかわからないから明言はできないか。まぁ大丈夫でしょ」


 気軽に考えすぎだろうか? 

 まぁ当たって砕けろというか、虎穴に入らずんばというか。多少のリスクの代わりに成功した時のリターンが計り知れないならやる価値はあると思うんだがなー。


「まぁ心配かけちゃうけど、頑張るよ。これがうまくいけば、少しはみんなも安心できると思うんだ。不安になる要素はまだまだあるけどさ」

「そうですね。あとは皆、頭では必要な事とわかってるんですが感情の問題だと思いますので、気になるでしょうが……」


 まぁ気にしないでいいという事かな。

 バックパックの中に、兎に角金になりそうなものを入れていく。動物やモンスターの毛皮、骨、袋詰めした使わない魔石、様々だ。鉱石も大きいものを一つ、拳大のものを四つほど入れておいた。あとは革の小袋に鉱石を砕いた粉もいれて、詰め込む。


 他にないかなーと考えていると、ペイトンが血相を変えて拠点に飛び込んできた。

「ホリ様、ホリ様!! リザードマンです! リザードマン達が来ました!!」


 うーん、いいタイミングなのやら悪いタイミングなのやら……。

 ペイトンを落ち着かせ、ゴブリン達とペイトン、俺の三人でリザードマンの元へ行くことに。スライム君とパメラに食事の量を増やすよう頼んでおき、一応武器も持っておく。


「こちらです」と案内されたのは拠点から少し外れたポッドのいる場所のすぐ傍だった。


 何やら一匹の小柄なリザードマンとポッドが話をしているようだが……、会話の邪魔をしない方がいいだろうか? 時間も余裕があるわけじゃないし、別にいいかな?


 唯一会話をまともに交わしたゼルシュが見えたので、彼に声をかける。

「ゼルシュ、無事で何よりだよ。随分早かったね」

「ホリ、すまないな。戻って説得をしたら村の族長が即座に判断したのですぐ移動が決まったのだ。できれば事前にこちらに誰かを走らせようと思ったのだがな……」

 と、詫びられた。


 全体を見ればおよそ十人は優に越している。うーん、やっぱり多いな。

 その集団から、一斉に敵意を向けられるとやっぱり怖い。


 そんな微妙な空気の中、一匹の他のリザードマンより多少小柄で老齢とわかるリザードマンがこちらにやってきた。ポッドと話をしていたリザードマンだ。その人物は杖を使い歩いていて、少しヨタヨタとしているが大丈夫だろうか。

 赤茶色の鱗は少しくすんでいて、どことなく疲れているようにも見えるが、やはり移動は大変だったのだろうな。


「あんたがホリ殿ですかな。あたしゃこの族の長をやっとりゃすト・ルースっちゅうもんです。事情はあそこの大木に少し聞きましたわい。この度は我らを受け入れていただき感謝しておりますよ」と小さい体が更に小さくなるように頭を下げてくる。


「いえいえ。とりあえず、一度腰を落ち着けて話をしましょう。場所を変えてト・ルースさんとあと一人か二人ほどついてきてください」

 今日のところは一先ず、山には上らずに近くに掘ってある大人数でも入れる拠点にいてもらおう。


 ペイトンにはそちらへ案内してもらい、代表のト・ルースとゼルシュがついてきた。話すのはいつも滞在している拠点の前である。


 ゼルシュは背中におぶっていた族長を椅子に下ろし、自身も椅子に座る。

 こちらも椅子に座り、話し合いが始まった。


「まずは此度の話、感謝しますぞ。我らは里を捨てた身、このように受け入れられることは想像しておりませんでな。なんでも条件がかなり良いとかでゼルシュの奴めが興奮するなぞ珍しいこと、久方振りに笑いましたわい」

 それを思い出したのか、ヒッヒと笑う彼女にゼルシュは「オババ、それは……!」と彼は少し照れているのか尻尾が激しい動きを見せている。


「いえ、こちらは偶然その場所を見つけたようなものですから。役立てそうなら幸いですよ。それに、食料や物資に余裕があるわけじゃないですからね。苦しい思いをするのには違いありません」


「ヒッヒッヒ。それでもちゃんとした住処があるというのは大事なこと。根無し草のような生活は皆も、この老骨にも辛いものですじゃ」

 彼女は、パメラが出した水を飲んで続けた。


「我らもある程度狩猟などは行えますしの。近くを流れている川や魚のおる沢の場所はわかっております故に、ある程度の食い扶持はなんとかできるはず。それよりもまずは皆に体と心を休めさせたいのでね」

「ええ、わかっています。俺自身、明日から所用で少しの間姿を見せませんので、そちらもその間に十分に休んでいてください」


 俺の発言を聞き、ゼルシュが首を傾げている。

「ホリ、どこかへ行くのか?」と聞いてきた。

「ああ、明日の朝くらいに魔王様と人里に行こうと思ってるんだ。色々なものを買いにね。食料なんかはどうしても足りなくなってきちゃうだろうから、優先してなんとかしたいんだ」

 と言うと彼は勢いよく立ち上がり、少し声を荒げ尻尾で強く地面を叩いた。

「人里に行くだと! しかも魔王様と!? それはいくらなんでも危険ではないのか! やめておいた方がいいのでは……!?」と彼が言い放つが、隣のルースが窘める。

「ゼルシュ、やかましいわい。聞いておったろ、食料などを買いにいくと。こりゃ、あたしらが来るということで決めたのじゃろう。それに、彼にも考えがあること。危険なのは重々承知しているに決まっとろうが。あたしらに反対されるいわれなんてないよ!」と彼女は少し語気を強め、ゼルシュを見据える。


「ぐ……、すまないホリ。迷惑ばかりかける……!」とゼルシュは落ち込み、尻尾も合わせるように力なく下がる。


 いやあ、そんな深い考えとかないんです! あー食料ないなー、ああそうだ、あるところに買いにいこー! とかそういうレベルなんですが……!?


 どうにもやはり、『人里に行く』というのがネックになっているようだ。

 極力俺も行きたくはないが、こちらにきて人の生活を見た事もないのだし少しだけ興味がある。


「いやいいんだよゼルシュ、迷惑だとか思ってないから。それならその内うまい魚でも捕まえて食わせてくれ。肉中心だとどうにも落ち着かないもんでね。野菜や魚も食いたくなるよ、頼む」と言うと、ゼルシュはピンと尻尾を伸ばし笑顔で首肯してくれた。


「ヒッヒッヒ、単純な子だね。ホリ殿、重ねて一族の長としてお礼を言わせてもらいますよ。それと、明日出発なさるなら、あたしらの方でも狩猟で獲れた素材を持って行ってくだされ。少しは足しになるでしょう」

「助かります。少しでも元手があった方がいいでしょうしね。ありがたく使わせてもらいますよ」と頭を下げておく。


「リザードマン達は戦闘を行える者はどれくらいいるのでしょうか?」

 大事な事だ、狩猟をするにしてもしないにしても戦闘を行える人数を把握しておきたいというのもあったし。


 ゼルシュが答える。

「戦闘を行えるものはオババ様を除けば全員大丈夫だ。オスのリザードマンは六匹と少ないが、戦闘では役に立てると思うぞ。我らは全部で十四人だが、メスのリザードマンも訓練はしているしな」


 ト・ルースが頬を掻くようにし、そういえば……と切り出してきた。

「うちのリューシィがご迷惑をおかけしましたな。あれも気が強いメスで、戦闘も強いんですがどうにも短慮でしてな。代わりに謝らせてくだされ」と頭を下げてくる。


 ああいたなあ。敵意剥き出しのアイツ……、えっ? メスなのアレ!


「ああ、気にしないでください。事情が事情ですしね」

 ト・ルースはそれを聞くと微笑み、「感謝しますぞ」と再度頭を下げてきた。

 とりあえずリザードマンの人数も把握できたし、これでいいかな?


「あとの事は、あちらにいる子達に聞いてください。近隣の情報などは彼らの方が詳しいですしね。後はポッドもいますし、何とかなるでしょう?」と投げ槍気味だが仕方ない。


 リザードマン達にああも敵意剥き出しにされてる中で、堂々と立ち振る舞いできるほど肝も据わってないしな。


「あの大木も、まさか会うことになるとは思ってもみなかったですな。久方振りに話をしましたわい」

「お知り合いだったのですか?」と聞くと、ト・ルースは少し思い出すように視線を空へ向けて話を続ける。

「大分昔ですが、あたしらの里の近くにあの大木が住んでおりましてな。古い仲ですわい」と懐かしむように話してくれた。


 話を続けていると、いい匂いが……。近くにスライム君がやってきていて、スープ雑炊をテーブルの上に置いてくれた。

 パメラ、ペトラがこちらに近寄ってきている。

「ホリ様、私達はリザードマン達にこの食料を渡してきます。主人もあちらにいることですし、あちらで食事を済ませてきますね」とペトラが言うので、頷いて「気をつけてね」と言っておいた。


 ト・ルースが隣のゼルシュを一瞥し、尻尾でパンと彼の体を叩いた。

「ゼルシュ、お前も手伝ってきな。気が利かないね!」と一蹴されたゼルシュは大きい鍋を運搬させられていった。


「ま、まぁ折角の料理が冷めてしまうのも勿体ないですし、食べながら話をしましょう。あまり馴染みのない食材だとは思いますが、以前こちらに来たリザードマン達は受け入れられていたので大丈夫だと思うんですが……」


 ト・ルースはその事を聞いていたのだろう。何度か頷き

「ええ、ええ。聞きましたとも。リューシィが何度もまた食べたいといっておりました。食い意地の張った子だことで、あたしゃ少し恥ずかしかったですよ」

 ヒッヒッヒと笑って楽し気だ。


 とりあえずいただきましょうかと食事に手をつける。

 こちらも体がまだ本調子じゃないので、消化によさそうなこれはありがたい。


 今回のスープは具に細かく刻まれた肉と、細かくされたそばがき、山菜を少し使われている。味付けは塩と……、また何かの骨の出汁だろうか? 不思議な味付けをしていて、独特の風味がある。


 ん? と食べ始めは思ったのだが、何度か口にしているとクセになる味付けだ。

 体調が厳しいので、こういった食事を出してくれるスライム君には感謝してもしきれない。


「リューシィが言っていたのはこれの事ですかい……。確かに独特の風味もあり、いい味出しとります。おいしいですよ」

「それはよかった、この実が受け入れられればすぐに食料不足っていうことにはなりにくいと思いますから」


 今のところ、アレルギーとかは誰にも出てないけどこれからも体調には気をつけよう。些細な事でも気にするよう皆に伝えておかなきゃ。


「それに、この実を最高においしくいただくならリザードマン達にも協力してもらう時がくるかもしれないですしね」

「ほお、それは是非協力させてもらいますかね。それまで長生きさせてもらいますよ」ヒッヒッヒと笑う彼女。

 よくよく見たら、かなりの年齢なのだろう目元の鱗の厚さや爪が年季を感じさせる。口から覗かせる歯も、ゼルシュ達に比べて鋭さが足りない。


 食事も終わり、ゼルシュが戻ってきたので改めて話を戻していく。

「では明日の早朝に案内しますので、そのつもりで準備しておいてください。こちらもあまり時間が取れずに申し訳ないですが」

「いやホリ殿、あたしらの事は気にせんでも大丈夫ですよ。この老骨に鞭打たせてもらうんでね。そちらも人里に行かれるのならば、十二分に注意をしてくだされ」

「ホリ、いきなりバタバタとさせてすまない。君が戻るまでにはこちらも落ち着いていると思う。迷惑をかけるとは思うが、これからもよろしく頼む」


 ゼルシュがそう言うと、二人は揃って頭を下げる。こちらも精一杯やらせてもらうと頭を下げ、会談は終わった。


 ゼルシュはト・ルースをおぶり、拠点の方へ歩いていった。

 こちらも準備をして、明日に備えよう。



 ――簡易拠点までの道中――

「ゼルシュ、あんたには頑張って働いてもらわにゃならんね。この分じゃあたしもまだまだ隠居できそうにないよ」

「オババ、そうは言うが楽しそうだな。何かあったか?」


「まあね、あたしゃ自分の判断であんた達に里を捨てさせた事を多少悔いていたんだ。若い者には里を捨てずに人間達に挑んでいった者もいる。あんたにも好きにさせてやりたかったが、させてやれなかった。一族の未来の為にね」

 彼の背におぶさる老齢のリザードマンは、悔しがるように手に力を込めている。ゼルシュは彼女の言葉を黙って聞き、歩みを止めずに次の言葉を待っていた。

「あたしゃ一族の命を任されてる、こんな老骨には耐えられない重荷になる事も多い。それが今日、少し軽くなった気分だよ。不思議だろ」

 声色から彼女の喜びが伝わってきたゼルシュは、少し悪戯心を出して彼女に憎まれ口を叩いた。

「フフフ、オババよ、ホリに惚れたか? 流石に年齢で見向きもされんぞ」

「フン、人にどうこう言う前に自分はどうなんだい? 前に酒飲んで他所のメスに手を出してからつがいを作ろうともしないガキンチョが」

「な、それは関係ないだろう! しかもあれはオババ達が無理矢理酒を飲ませてきたからで……!」

 ヒッヒッヒと笑う彼女にゼルシュは少し言葉を返すが取り合ってはもらえない。


「なあゼルシュよ」

「なんだオババ」

「人間と魔族が共生なんて、できるのかねぇ……」

「わからんが、ホリには助けられた。それに報いよう」

「そうだねぇ、この恩は一族を持って返していかないとねぇ。……さて。婆は疲れた。寝かせてもらうよ」

「うむ、もうすぐ寝床だし好きにしてくれ」


 明日から忙しくなるね。とト・ルースは呟き、ああ。と一言ゼルシュは返す。


 そして、寝床につき休もうとしている時に、明日あの場所に行けば皆どんな顔をするだろうとゼルシュは少し想像をしてしまい、楽しくなって尻尾で地面をビタビタと叩いてしまう。

 そして「うるさい!」とト・ルースに叱られることになるが、その後も寝る事ができず、数度叱られる事になる――

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