サフィアガルドの動画配信者《ビジ・リリーサー》

作者 風乃あむり

79

28人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

テレビジョンは言うに及ばず、InstagramやYouTubeで動画というものは、我々現代人には非常に身近な存在です。そのことに、我々はある意味麻痺してしまっているのかもしれません。
砂糖が貴重だった時代に、あめ玉が麻薬と呼べるほど劇的な存在だったように、動画とは本来「濃縮された情報量のかたまり」なのです。

かつて動画がなかった時代――旅行へいく余裕のない人々は、紀行文で異郷に思いを馳せ、小説は自分とは階層の異なる人たちも、同じように日々を生きているのだ、という想像力の翼を与えてくれたものです。
本作は魔法によって〝動画(ビジ)〟が配信可能になった世界。一人の動画配信者・ユウとの出会いによって、一人の少女・リンファの世界が広がっていく。与えられた翼を、彼女はどこまでおおきく、遠くはばたかせることでしょう?

一章終了ということでレビューいたしました。この先も楽しみに待ってます!

★★★ Excellent!!!

動画配信という題材とファンタジー世界。
この二つから今作のような表現を思いつくのは、頭が柔らかくなければ真似できないと思いました。

会ったこともない配信者をフォロワーが崇拝するような構図は現代と重なる部分があり、それを違和感なくメタファー的に書かれている点は卓越した技術だと感じました。

また、描写が丁寧で過不足なく情報が提示されるので、読み進める上で違和感がとても少ない点も印象に残りました。

簡潔に表現するならば、オリジナリティ溢れる優れた作品だと感じました。

★★★ Excellent!!!

ひとこと紹介に書いた通り。
本作は、現実世界の動画配信サービスをファンタジー世界に持ち込むのではなく、システムとして落とし込んだ作品だ。

まず、システムに落とし込むという所がすごい。
発想的にも技術的にもなかなかできるもんじゃありません。

異世界にシステムをそのまま持ち込んで、その利益を享受する作品はよく見る。
けれど、これを原理からこういうモノですと定義して、なおかつ読者が納得できる仕組みとして自然に描写できる辺りに、筆者の類まれなる発想のセンスと繊細な世界観の構築能力、それを書ききる文章力が見て取れる。
レビューにこんなん書いてどうするねん、「女の子たちがきゃっきゃしているだけで眼福ですぞー、でゅふふ」くらいにしとけというものだが、たぶん書く人ほどこの作品を読んだ瞬間に受けるやられた感は半端ないと思う。
純粋にすごい。そう感じた。

いいね(配信するトリの頭を撫でる)によって収益化され、動画配信者の魔法使いにマナが還元されるなど誰が考えられるだろうか。そして、それを喜々として行う子供たちの愛らしい姿は、まさしく今の世相をファンタジー世界に映し出している。いくらほしいと札束を出すのではなく、マナという微々たる善意を出す、それにより物語と世界が回るという所も、非常に非常に美しい解釈に感じる。

子供が喜ぶものがなんなのか、ちゃんとわかっている。
そんな人が書いているのが伝わってくるこの作品。
普通、もうちょっと物語が進んでから評価するもんなんだし、ここから先にいろんなどんでん返しが待っているんだろうけれど、まずこの作品が持つポテンシャルを真っ先に言語化せずにはいられなかった。
居ても立ってもいられないのは久しぶり。

現時点の期待値だけでおすすめできる作品です。
たぶん、完結したら追記すると思います。