第16話:セブンイレブン株と女房の妊娠

 1980年も、寒く、日本海側の大雪で、ストーブを絶やすことが

できなかった。そんな2月2日、長女、犬山幸子が風邪を引いて、熱が出て

、体調を崩した。すぐに、小児科に行くと、薬を処方されたが、患者さんが

多くて、母の淑子さんも、小児科で風邪をもらってきて、熱を出してしまい、

2月5、6日は、犬山重臣が仕方なく、会社を休んで、氷嚢を用意して、

長女、犬山幸子と奥さんの面倒を見ることになった。


 すると、2月6日に、長女、犬山幸子の熱が下がり、風邪が治り、2月8日

には、母の方も、熱が下がり、体調が回復した。3月になり、暖かくなり、

すっかり元気になった。しかし、3月は、経理の方が忙しくなり、犬山重臣は

、毎晩、帰りが遅くなった。やがて4月になり、長女、犬山幸子も、幼稚園に

入園する時期になった。


 自宅から徒歩10分の所に桜幼稚園があり、淑子さんが3月20日に入園の

手続きをしてきた。帰って来て、夕飯をとった後、急に、気持ち悪いと言い、

食べたものをも出した。犬山重臣が、体調を崩したのかと心配したが、

奥さんが大丈夫と言った。翌日、犬山重臣が、仕事から帰ってきた7時に、

奥さんが、笑顔で玄関に迎えに出ると、うれしそうに、出来たのよと言うので

、何がと言うと、鈍感ね、赤ちゃんが出来たのよと、うれしそうに言った。


 今日、気になるので、母と一緒に、産婦人科に行って、調べてもらった所

、妊娠していることがわかったと言い、今年の10月初旬が出産予定だと

話してくれた。今週の日曜日、みんなで、奥さんの実家に、挨拶に行こうと

言うので、了解した。日曜の10時に、奥さんの実家に行くと、義理の父が

、良くやったと奥さんの頭をなでると、奥さんが、うれし泣きした。


 すると、母が、あなたを産んだ時のことを思いだしたと言い、難産だったのよ

と言いながら、そんな小さかった淑子が、2人も子供を産むなんてと感慨深げ

に言ったと思うと、泣き出した。これを見ていた、義理の父と犬山重臣は、

2人をなだめるのに苦労しているのを見て、幼稚園に入ったばかりの犬山幸子

が、おかあちゃんとおばあちゃん、何で泣くのと、きょとんとした目をで見た。


 その時、義理の母が、あまりうれしすぎると、泣きたくなるのよと説明すると

、そーなんだと、妙に納得している姿を見て、みんな、笑顔になった。

 そして、お祝いに赤飯を炊いて、お祝いをしてくれた。そうして、幸子の、

おばあちゃんが、幸子に、あんた、お姉ちゃんになるのよと言うと、

うれしそうに、私、赤ちゃんをうんと、可愛がってあげるんだと、無邪気に

言ってくれた。その姿を見ていた犬山重臣は、しっかり頑張って、働き、稼ぎ

、子供達に、しっかり教育を受けさせようと、心に誓った。


 そうして、家に帰ろうとした時に、義理の父が、犬山重臣に、これ出産祝い

だといって、祝儀袋を渡してくれ、方をたたいて、頑張って、女房、子供を

守ってやれよと、肩をたたいた。帰って、祝儀袋を開いてみると50万円が

入っていた。


 その後、12月のクリスマスパーティに招待され、除夜の鐘を聞き、

1981年を迎え、近くの神社に初詣に行き、家内安全と投資の成功、

子供を無事出産する事と、幸子の健やかな成長を祈願した。

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