理不尽3

「話が、だいぶ脱線したが、そんな訳で、勉強教えてくれないか? あと、ついでに泊めて」


 というか、勉強よりまずは宿を確保したいから、むしろ泊めてくれるだけでもいいと思いつつ再度、木島に頼み込む。 すると先ほどは、冗談交じりに答えていた木島だが、顎に手を当て考え込む。


「真面目に答えるなら、勉強に関しては学校にいる間は教えてやってもいいが、平日に泊めるのは無理だな。 俺は構わんが、親が許すとは思えん」


「あー、確かにお前のところって、結構お堅いからなぁ。」


 流石に、理由として親を出されると俺としては、引き下がるしかない。 しかし、代わりとして、勉強は教えてくれるらしいので、まあ良しとしよう。


「ありがとよ、持つべきものは腐れ縁の幼馴染だな。 悪いが、さっそく教えてもらっていいか?」


「かまわない、教えてやるよ。 どこが分からないんだ?」


 先ほどまで、やっていたテキストをしまって、親身になって相談に乗ってくれようとする木島。


「そうだな、とりあえず勉強法を教えてもらう前に、まず、基本であるノートの取り方が、なってないと思うから、初めに、お前のノート見せてくれない?」


「別に構わないけど、えらい地道なことから始めるんだな、感心したぞ。 さっき古の勉強法を教えろとか言っていた人物とは思えない発言だ」


「馬鹿言え、俺だって真面目にするときは真面目にするさ。 さっきのは、あくまで冗談だ」


 以上のような掛け合いがあり、木島はカバンから何冊かのノートを引っ張り出すと手渡してきたので、俺は目当てのノート一冊だけを手に取り木島にお礼を言う。


「ありがとよ、俺はこれからノートを写すから木島は自分の勉強をしておいてくれ。 邪魔して悪かったな」


「おう、何かあったら、また、いつでも言ってこい」


 協力的になった木島をよそに、自分の机に戻る。 俺は、さっそく目的のページを開け、文字を写していく。


「……ちょっと待て、お前、今日の宿題のページしか映してなくないか?」


「安心しろ、適度に間違えてある。 抜かりはねぇよ」


 いつの間にか、机の前に立っている木島に対して手を動かしながら答える。


「そうじゃなくて!! お前、だからノート見せろって言ったのかよ!! 信用して損した!!」


「仕方ないだろ!? 深夜いきなり外へ放り出されるんだぞ? 宿題なんてやってる暇あるわけねぇだろ!!」


「それとこれとは別だろ!! なんで楽してんだよ!!」


「楽して何が悪いんだよ!!」


 俺と木島はこんな調子でチャイムが鳴るまで騒ぎ続け結果として二人とも教師に怒られた。

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塾の講師は同級生 けんざぶろう @kenzaburou

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