第61話 メルケル首相の国民へ向けたスピ-チに感動

一昨日、フランスのマクロン大統領が「われわれは戦争状態にある」と宣言し、15日間の不要不急の外出禁止という異例の措置を打ち出して、パリはじめフランス中の町がも抜けの殻になっていることは皆さんご存知だと思う。

一方ドイツではメルケル首相が、国内外への旅行禁止や生活必需品以外の店舗休業などを表明しましたが、ドイツでは感染者の数も12,000人を超える今、今夜メルケル首相がついに国民に向け特別に声明を発表した。


「現在コロナウィルスによって置かれている私達の状況は非常にドラマチックです。

大人は仕事へ行けず、子供たちは学校へも幼稚園へも行けません。

でも一番の問題は皆さんがこの問題についてどうしたら良いか自分自身ではっきりわからないということではないでしょうか。


今日はドイツ首相として皆さんに指針を示したいと思います。

我が国はデモクラシ-の透明性のある国です。


国民の皆さんにはこの事態を本当に深刻に受け止めてほしいと思います。

わが国は東西統一はもちろん、第二次大戦以降で最大の困難に直面しているのです。

経験したことのないようなこの困難は、結束した対応が非常に重要になります。

コロナウイルスまたはワクチンの治療法はまだありません。だからこそ、私たちのすべての行動の目的は、ウイルスの拡散を遅らせ、数ヶ月にわたってウイルスの拡大を防ぎ、研究者が薬とワクチンを開発できるように時間を稼ぐことです。


すべての人生とすべての人が重要なんです。人々を危険にさらす可能性のあるものはすべて削減しなければなりません。

ドイツは優れた医療システムを備えており、これはおそらく世界で最も優れた医療システムの1つです。しかし、患者の数が増えて、私たちの病院も完全にウィルスには圧倒されるでしょう。

コロナウイルスに感染する人は人はもしかしたらあなたの父親または祖父、母親または祖母、パートナーかもしれません。

なので公的生活は可能な限り、理性と判断をもって閉鎖されなければなりません。


大学も学校も幼稚園もなく、映画館も劇場もありません。

今も大変ですが、でも来週はもっと大変になるでしょう。


それから食料不足の心配をする必要はありません。ハムスタ-買い(ドイツ語で買い占めること)は必要ありません。我が国には物は充分にあります。


難しいということはわかるのですが、今は人のそばに行くことはいけません。その人を感染させてしまうからです。

旅行はもちろん、祖父母が孫と遊ぶこともいけません。

会わない代わりにスカイプやメ-ル、あるいは手紙で連絡を取り合いましょう。


誰もが規則をどのように守り、ルールを実施するかにかかっているのです。冷静にこの困難をみんなで乗り越えて行きましょう。」


と、私が簡単に聞いた限りではこのような演説だった。

ところどころ、誤訳や順番の違うところもあるかと思うのだが許してほしい。

私は、これを運転しながら聞いていたのだが、なんだか泣きそうになってしまった。


今年のサッカー、ヨーロッパ杯が中止になったというのも衝撃的だった。

あんな大イベントがなくなるだなんて、ヨーロッパでは考えられない事だから・…。

でも今日のニュ-スでは大学資格試験(受験と同じもの)Abitur後のパ-ティや、カトリック教徒の子供には洗礼以上に大切くらいのKommunionという初聖体の儀式すら今年はなくなる可能性があると言っていたから、もうそんな素敵なことはできない状況になってきているのかと、なんだかすごく心配な気持ちになっていたのだが、メルケル首相の力強く、そして慈悲深い演説に励まされた気分になった。


今回のコロナウィルスは本当に人類史上歴史的な驚異なのだろう。


数日後にはついにドイツもフランスやベルギーに続いて、外出禁止令が発令されるそうである。

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