第45話 夢の乗馬ホテル-その2
その日は木曜日だったのだが、次の日は祭日、そして土日の週末と3日続きの連休だったため、3泊4日の日程で申し込んだ。
本当はもう少し暖かい頃をと思ったのだが、4月くらいに申し込んだ時には全て予約で埋まっていて、10月31日からという日程でしか取ることができなかったのだ。
三男が学校から戻ってくるのが14時、では15時に出発して17時に着けば山道でも大丈夫と思っていたのだが、色々と問題があって出発が17時になってしまった。
そこはアイフェルという山の中、山といっても標高の低い山地で、ベルギーやルクセンブルグまで広がっていて、その両国での地名はアルデンヌなのだが、最も長い水路はローマ帝国時代のものであり、今でもケルンの街に水を供給しているのだそうだ。
高速道路が1時間、そしてその山の中が1時間くらいということで夜の運転は出来る限り避けたかったのだが、出発した時点で既に夕日が西の空に沈むところだった。
高速はなんの問題もなく、問題の山道も特に運転しにくいという程でもなく、曲がりくねることはあってもそもそも標高も低いので、それほど山道という感じではなかった。その上そんな所を走っている車も少なくて運転は問題なかったのだが、最後の村で突然スマホが使えなくなってしまったのだ。
グーグルマップを使ってナビにしていたのだが、オンラインだけではなくなんと普通の電話も使用できないではないか!
ちょうど道にいた2人組の男性に聞くと、その場所はもう少しこの道を戻ったところと言われたが、なんとなく心配で(私は大抵複数の人に尋ねることにしているのだが)、途中あったホテルのレセプションからそのホテルのバーに入り、飲んでいる人達に聞くことにした。
そうすると、その親切な男性2人が教えてくれた方向はやはり反対方向で、道をまっすぐ行き、途中右へ行くとまた右手方向に森があり、その森を1kmくらい走ると私の目指す乗馬ホテルがあるということだった。
実はこの乗馬ホテルの住所が大変紛らわしく、最初の親切な男性2人の言っていることは、インタ-ネットでチェックするとそのように出てくるというだけで、決して嘘を教えてくれたわけではないのだが、行く前にホテルに電話するとその住所ではなく、違う住所を目標にに言われていて、どうも紛らわしい住所らしい、というのを知っていた私は、村人であろう、そのホテルのバ-にいた人の話を信じることにして、森を目指した。
しかし広い車道から森へ入って行った時の心配さ、不安さは、正直ホラー映画並みだった。
車だったから良かったようなもの、もしこれがバイクや自転車、あるいは徒歩なら確実に断念していたことだろう。
森の中は夜は暗いのである。
しかも本当にこの道で良いのか、もし途中で引き返せなくなったらどうしたら良いのか、あるいはもし何か恐ろしいものが出てきたら、このひ弱な三男と私はどうなってしまうのか…そんなことが頭をぐるぐる回りながら、わずか3分くらいの時間だったが最後は恐怖を味わいながらのドライブとなり、その後無事たくさんの車がある駐車場、お馬さんがいるらしい馬の厩舎(きゅうしゃ)、そしてホテルの光を見た時には本当に大きく胸を撫で下ろした。
しかもそのホテルは外のためにもロマンチックな椅子やテーブルがある、なんだかとても居心地の良さそうなホテルだったのである。
着いてすぐ夕食になったのだが、この続きはまた次回に書きたいと思う。
しかしながら、折りしもその日はハロウィンの日、ということで、その乗馬ホテルに着くまで、ハロウィンパーテイーよりも怖い恐怖体験ができた道中で、なんだかとても得をした気分の夜だった。
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