第17話 長男 ドルトムントの入団テストに招待される 2

サッカ-好きな方は興味を持って下さるかもしれないので、今回は長男のドルトムント入団テストの3日間を少し詳しく書いていこうと思う。


まず金曜日の午後、学校が終わると同時にドルトムントへ来るまで移動、うちからドルトムントは140kmということで、アウトバ-ンで2時間くらいなのだが、なんだか渋滞していて、なんとか約束の17時にぎりぎり間に合った。


その夜はホテルに到着して、クラブが用意してくれたバスでジグナル・イドゥナ・パルクというドルトムントが誇るサッカ-スタジアムへ移動、そしてその日はシュトットガルトとの対戦を観戦。


ジグナル・イドゥナ・パルクは83,000人観客が収容できるとてつもなく大きいスタジアムで、名物のホーム側ゴール裏スタンドは全て立見席で、この一角は巨大なドルトムントの黄色い旗が試合中だけではなく、試合前からはためいていて、この一角はサポ-タ-は全員もちろんユニフォームを着ているから、黄色一色というよりもむしろ黄金一色になる。これを見ているだけで非常にゴ-ジャズな気分を味わえるのだ。


私はドルトムント観戦は初めてだったので、この黄金色の一角にたくさんのドルトムントの旗がうねるようにはためいていて、それを見ただけで鳥肌が立つくらい感動して、胸がいっぱいになったのを覚えている。


試合結果は、4対4、香川選手もゴ-ルを決めてくれた本当に見がいのある試合が終わり、招待された少年15人と親、合計30人でバスでホテルに帰宅。


翌日はホテルの朝食後、早速下部組織の監督さん2人が来てトレ-ニング。

昼食後はまたバスでジグナル・イドゥナ・パルクへ移動して、今度はスタジウムの見学会だった。

選手達が使っている駐車場から、選手達が普段使っている更衣室、ベンチ、そして試合のサッカ-場までくまなく見せてくれて、最後はVIPラウンジというところで、ゆっくり皆で好きなものを飲んで過ごさせてもらってみんなでゆっくりした時間を過ごした。


夕方ホテルへ移動後、レストランで皆で夕食を食べ、ゲ-ム大会もあり(優勝者はドルトムントのユニフォ-ムをプレゼントされていて羨ましかった)、盛りだくさんの一日が終わり、子供達はすっかりみんな友達になり、最後はホテルのプ-ルに繰り出して全員で遊んでいて、本当に誰もが幸せそうだった。


私もホテルのサウナへ行きひとりゆっくりできて有難や、有難や、だった。

それというのも当事うちの子供達は14歳の長男、11歳の次男、6歳の三男だったため、私は家で一人になるということはできない生活が何年も続いていたので、ホテルに一人で好きに過ごすなんて、本当にそれこそが夢のように有難い時間だったのだ。

なのでこの会に片親しか招待されないとわかったとき、主人がサッカ-には興味ないということをとっても嬉しく思ったものだ。


翌日はまた朝食後からトレ-ニング、トレ-ニングの後はドルトムントの下部組織の1つのチ-ムとの対戦も待っていた。


15人の即席チ-ムは当然下部組織に完敗して、15時くらいにこの3日間のイベントは終わった。誰にとっても毎日楽しくてあっという間の3日間だったことだろう。


そして最後サッカ-場から出る際、数人がプレスに呼び止められて、インタビュ-をされていた。

その三人は長男とドイツ人のひょろっとした色白の男の子、キュ-バ人の血が入った精悍な浅黒い男の子三人で、私は選ばれるのならこの浅黒い男の子か、あるいは前日一人でインタビュ-されていた、背の高い、ヴェルダー・ブレーメンにもうすぐスカウトされるらしいというやはりドイツ人にしては髪の黒い精悍な男の子かなぁ、と思っていてので、とにかくこのインタビュ-は意味のあることなのかと感じていた。


もしかして可能性のありそうな子供にインタビュ-しているのではないか、と思ったのだ。

言い忘れていたが、この15名から下部組織に入団できるのはたったの1名なのだ。

そして今なんとうちの息子がインタビュ-されている、これは一体どういうことなんだろう、と、ドキドキしながら結果を待つこと約2週間、残念ながらうちの長男は選ばれませんでした、という手紙が来て、この夢のような期待はあっけなく終了してしまった!


では誰が選ばれたのか長男に聞いてみると、思った通りインタビュ-を受けていた少年の一人が、やはりそのラッキ-ボ-イだったのである。

誰だったかは次回のお楽しみにさせてもらう。


皆さんは私の書き方から、選ばれた少年が3人のうちの誰だかわかりましたか?


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