第15話 子供の誕生会はブンデスリーガの試合見学

今日うちの三男は同じ村に住む幼馴染の12歳の誕生パーティに呼ばれて、バイエル04レバークーゼンの試合見学へ行っている。

ドイツ人は子供の誕生パ-ティには色々なことを考え付くものである。


バイエル04レバークーゼン2011年から2013年まで細貝萌選手が活躍していたところだ。うちはケルンやデュッセルドルフという大都市(一応ドイツでは100万人都市は大都市に入る)から共に50kmほど離れた場所にあり、レバークーゼンまでは80kmくらいなので、アウトバ-ンに乗れば車でも約1時間で着く。


今日の対戦相手はヴェルダー・ブレーメン、そう日本が誇る大迫選手が所属しているドイツでもトップチームのブンデスリ-ガである。

現在、2対1でヴェルダー・ブレーメンが先制しており、もう残り8分程なので、ヴェルダー・ブレーメンがこのまま勝ち越しそうな様子だが、今日は残念ながら大迫選手は出ていない。

2月10日に、背中の腱に炎症が見つかり、どうもそのまま欠場しているようだ。


昨年8月から今季シ-ズンが始まり、今日は26試合目14試合出場、3ゴ-ル決めている大迫選手はヴェルダー・ブレーメンにおいて戦力となっているのは、ドイツに住む日本人としては本当に嬉しい限りである。


そもそも2014年に大迫選手がTSV 1860 ミュンヘン(ブンデスリ-ガ 2部)に移籍した時から、なんとなく彼を応援したい気分だった。

というのも私は当時は

「大迫、半端ないって 」と言われるほど有名な選手とは知らず、才能がありながら、何度か代表に選出されなかった苦い経験を生かしてのドイツ2部リ-グ移籍挑戦だという話にひかれたのだ。

結果それほど才能ある選手が2部リーグから始め、現在1部リーグで活躍しているとは本当に夢のある、素晴らしい話である。


また10日ほど前には長谷部選手がドイツ誌『キッカー』のブンデスリーガ全フィールドプレーヤーを対象とする今季平均点ランキングで1位に選出されたというし、フォルトゥナ・デュッセルドルフ では宇佐美貴史選手が、ハノーファーには原口元気選手と浅野拓磨、ニュルンベルクでは久保裕也選手が頑張っているようだ。


今から約8年程前には、それこそ、香川選手、内田選手、長谷部選手、槙野選手、岡崎選手、酒井高徳選手など日本が誇る錚々たる選手をブンデスの試合で見ることができたので、私も月々わざわざ50Euroほど払って、Skyというブデスリ-ガの試合を見ることができる衛星放送の契約をしていたほどである。

当時は試合があれば、必ず日本人選手を見ることができたのは、本当にそれこそ夢のようだった。


しかし、なんといっても全盛期の香川選手を超える日本人のブンデスリ-ガは多分当分現れないだろう。

2010年7月、わずか35万ユーロ(約4000万円)でブンデスリーガ1部のボルシア・ドルトムントに移籍した香川選手が当時どれくらいドルトムントファンを熱狂させたことか。

うちの人口8000人のS村にはビ-ルを飲みながらサッカ-観戦をするクラブのようなキヨスク兼飲み屋が一軒だけあるのだが、そこのご主人がドルトムントの大ファンで香川選手の全盛期には、ドルトムントの試合の日にはお店の前に、人の背丈の2倍はあるのではと思われるような大きいドルトムントの黄色い旗と、同じくらい大きい日本の旗がひらめいていたものだ。


人口800人の村の一軒だけあるキヨスクの前に、大きな日の丸が掲げられているのを是非想像してほしい。私はそのお店の前を通るたびに

「いえ、あの、私が無理やりこの旗を立てさせてるわけじゃないんですよ…」と言いわけしたい気持ちになりながらも、あんまり誇らしくて、くすぐったいような気分だったのは今でも忘れられない思い出だ。


それにしても当事2010年から2012年、香川選手はあの2年間は本当にドイツ国内でス-パ-スタ-だった。息子達の友人達もドルトムントファンは香川選手のユニフォ-ムを買って着ていたっけ。

ボルシア・ドルトムントのサポ-タ-にとっては決して忘れることのできない選手であることは間違いない。

だって毎回試合では奇跡を見せてくれた彼だったもの、信じられない局面での、ここぞという時のゴ-ルは神業に近かったし、当時の監督ユルゲン・クロップの歓喜ぶりがまたものすごくて、クロップ氏が転びそうになりながらも香川選手のもとまで走り、大柄な彼が小柄な香川選手を抱え上げ大喜び…というような、ゴ-ル後の感動的な場面がほぼ毎週繰り広げられていた。


その当時21歳だった香川選手は今日30歳の誕生日を迎えたそうで、時が発つのは本当に早いものである。

香川選手がドイツから、そしてドルトムントからいなくなってしまったことが彼の全盛期を知っている私には結構寂しい。

でも香川選手は日本代表復帰を果たし、ご本人は

「これからでしょ」と言っているそうなので、彼ならたとえどこでプレイしようとまた伝説を作ることができるかもしれない。


これを書いているうちに、レバークーゼン対ブレ-メンの試合も終わり、結果は1対3、ブレ-メンの勝ち越しにて終わった。

三男ももうそろそろ帰宅する頃だ。







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