第5話 家庭内での危なかったこと
次男を妊娠中に体験した怖い話を書いたのだが、実は三男妊娠中にも危ないことがあった。
トースタ-か何かの電器のコードのひっぱる部分が取れてしまい、馬鹿な私はコンセントからコ-ドの金属の部分を直にひっぱって取ろうとしたら、ビビッと一瞬手元に電気が走ったのだ。
わずかな電流だったので幸い何もなかったのだが、例えば少量の水が手についていたり、あるいは何かのはずみでも、その際大量の電流が体に流れていたら三男はおろか私もどうなっていたことか。
幼かった長男、次男は早くから母親がいないという可哀想な生活を送らなければならなかった可能性もあったことだろう。
そうそう考えると長男を妊娠中にも、何を思ったかどうしても2階へ箪笥を運びたくなり、一人で箪笥をおっちらおっちらと運んでいたのだけれど、2階へと階段を登りきれたくらいの時にお腹が大きかったせいでその箪笥がお腹につかえてしまい、お腹からはね返されて階段を頭から逆さまに落ちそうになったこともあった。
なんとか根性でふんばり、事なきを得たのだけれど、あの時箪笥共々頭から逆さに落ちていたら今こうやってこんなことを書いている自分もいなかったかもしれない。
また思い起こすと妊娠中ではなくて新婚の頃、主人にお弁当のから揚げを作っていた時には油を入れたお鍋から火がのぼり、寝ていた主人を叩き起こしてこれもなんとか事なきを得た。
この時飼っていた猫達がまず火に気がつき、台所から飛んで出てきた様子で私もその惨事に気づいたのだけれど、あの時我が家に猫がいなかったら主人と私も火災に巻き込まれ大変なことになっていたという可能性もある。猫は私達の命の恩人だ。
なので一般論の事故の多くは家庭内で発生するというのは、私の場合非常にうなづけるのである。
それからドイツで運転を始めた時も実は色々あった。
日本ではオ-トマの車だったのだけれど、実はドイツはマニュアルが主流である。
オ-トマはどうやら老人の車、というイメ-ジが強いそうで、ドイツ人には人気がないからだそうだが、私はもちろん免許はマニュアルでも取っていたけれど、いかんせんマニュアルに慣れるのが大変だった。
ギアを3に入れたままでカ-ブを曲がったら、曲がりがけで止まってしまい、直進からはちょうど大きなトラックが来ていてぶつかりかけ、すごい勢いでクラクションを鳴らされたりもしたっけ。
その車の中にはもちろん赤ちゃんだった長男が乗っていた。
こんな風に色々あったにも関わらず、こんな間抜けな母親のもと、三人の息子が無事に育ったことは、守護の天使か、ご先祖様か、とにかく何かのご加護があるに違いない、と思わざるを得ない。
このように人間は子供を産むと信心深くなるものなのだ。
でもこんな注意散漫な母親でなければ、信心深くなる必要もないのかもしれないが…。
大変な事故が起こらなかった日々に心から感謝したい。
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