第19話〈救いの金〉


金田「……まぁ、予想はしてたが……」


ユウジ「まぁまぁ…そう言わずさぁ……罪滅ぼしのつもりでやっちゃいなって!」


金田「何をよ……」


僕の名前は金田利蔵。

前回の直後、ユウジたちは僕に対して、作戦を練るようねだってきた。


ユウジ「とにかくさ〜、平和的な解決方って……」


金田「単刀直入に言おう、無い」


ユウジ「じゃあどうしよう」


金田「言ったろう?不可能と」


ミミはベッドの上に座り、あぐらをかいた。


金田「品のない……」


ミミ「あ?文句あるなら言ってみろ!」


金田「今言っただろう……」


佐藤「ま……まぁまぁ、ミミちゃん?金田くんが作戦考えてくれてるんだしさ?ねぇ?」


ミミ「だったら作戦の一つや二つ言ってみろよ」


佐藤「か…考えてるから急かすようなのは……」


金田「一つある」


ヤミ「あ…あるの!?」


佐藤「本当かね!?どんな作戦……?」


僕は右手の人差し指をビシッと立てる。


金田「武力行使、嫁ごと奪い去る」


ミミ「お前の方が品ないだろ」


金田「無茶言うな。これが限界だ。このメンバーなら行ける気がするし」


佐藤「そ……そんな!相手はパーティーを平気で開く大富豪ですよ!?無茶な!」


ミミ「金田、私もそれには同感だ」


佐藤「ミミちゃん!?」


ヤミ「私も行けると思います」


佐藤「ヤミちゃん!?」


ユウジ「俺の出番なさそう」


佐藤「ユウジくん!?」


金田「じゃあ決まりだな」


佐藤「金田くん!?」


金田「仕方ないじゃないですか、これしか方法がないんですよ」


佐藤「で…でも、そんなことしたら、う…撃たれちゃったり……」


金田「あ、それに関しては大丈夫かと」


佐藤「え…?なんで……?」


金田「誰かが発砲して、仮に一人死んだとして、ニュースやら問題になります。それに伴い、今回の結婚云々のようなことが明るみに出たら財閥は窮地に立たされます。仮に抵抗するにしても、監禁して口止め料を払われる程度でしょう」


佐藤「うへぇ……そこまで言われたらぐうの音も出ないよ……」


佐藤は頭をかきむしる。


佐藤「で…でも、ユウジさんって木刀とか持ってきますよね?」


ユウジ「え?持ってきますけど」


佐藤「荷物検査で引っかかりませんかね?ハワイでしょ?飛行機乗るときに……」


ユウジ「あ…言われてみれば……」


ユウジも頭をかきむしる。

こいつら、どんだけノープランだったんだよ。


金田「ま…そうと思ってたよ」


ミミ「何か案があるのか?」


金田「ああ、とびっきりのがな」


僕はニヤつく。



ヤミ「お……おっきい……」


ミミ「デカイな……」


ひらけたアスファルト。

目の前の飛行機は、旅客機より一回り小さく、でも高級感はあった。


金田「荷物検査の必要のない自家用ジェットだ。使う機会がなかったからアレだったが、こんなところで役に立つとはな」


佐藤「これは予想の斜め上を行きました……」


ユウジ「……金田がいて良かった」


ミミとヤミははしゃぐ、僕はユウジと佐藤を見た。


金田「行けるか?」


ポカーンとした口をユウジは閉じ、キリッとした顔で言った。


ユウジ「ええ、いつでも」


飛行機を見上げる佐藤は、どこか脱力していて、チャンピオンの風格などゼロに等しかった。

佐藤は深くため息つくと



佐藤「……行きますか……」



その瞬間、少しだけ風格が戻った気がした。


金田「……くたびれたチャンピオンに剣使いのロリコン、6歳児一人とクソガキ一人……はっきり行ける気がしないがね」


ユウジ「おうおう、土下座までして随分な言いようじゃないか」


ユウジは笑い混じりに言う。

ミミ以外は少し腑抜けた顔をしていた。

ミミは中指を立てられたアメリカ人のような顔をしている。


金田「そして【裏切り者】……どうだい?気が済んだかい?」


ミミ「いいや!ファッキンが足りないぞ!」


金田「汚い」


ミミ「汚かったのはお前だろ!!」


金田「くっ……なんとも言えない……」


僕はミミを見るために見下げてた首を上げ、空を見る。

青く、実に清々しい青である。


金田「…ナツメを助けたら……ちゃんと名前を呼んでくれるかい?」


僕は優しく問いかけた。

風は服を優しくなびかせる。

ミミは少し不満そうな顔で言った。


ミミ「……助けたらな?」


僕は微笑を浮かべ、また見下げる。


金田「……約束だよ」


僕は小指をミミに突き出す。

ミミは僕の小指に自身の小指を強く絡めた。


ミミ「ふんっ……こんな子供騙し……」


金田「でもちゃんと、してくれるじゃないか」


ミミ「……騙されてやっただけだ」


金田「そうかい」


僕は指を解き、ユウジたちの方を見る。


金田「メンテナンスや準備で1日かかる。結婚式は明日だ。急ぎになるが間に合う。今日はゆっくりしたまえ、宿なら貸す」


ユウジ「作戦はどうしたんだよ」


金田「強行突破…じゃ、ダメだよね」


ユウジ「あたりめぇだ」


金田「安心しろ、とっておきを考えてある。ただ……」


その作戦は危険極まりない。

ましてや6歳児が二人もいるのだ。

それに失敗でもしてみろ、色々とまずいことになる。


が、それらを考えている時間は僕にはなかった。

ただ、この言葉を言うだけで良い。

そう思ったからだ。



金田「後悔するなよ?」



皆、にやける。

余裕の笑みだ。



第20話へ続く……

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俺と私は家族の上で笑ってる!? とまと仮面!!! @yuuta040910

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