第12話〈選ばれた愛〉



ナツメ「こ…これでいいんですか?黒田さん……」


黒田とは、どうやらエミカ専属のボディーガードらしい

歳は30ほどで、身長が佐藤並みにでかい


黒田「ええ、お似合いですよ。ナツメ様」


俺は黒いスーツに身を包み、鏡の前に立っている。


ナツメ「私服じゃダメなんですかね……」


黒田「ええ、ここに居るうちは」


ナツメ「窮屈だなぁ……」


黒田は微笑みながら、俺を見ている。


黒田「……あまり喜んでおりませんね」


ナツメ「……まぁね……」


黒田「どうしてでしょう?エミカお嬢様はいい子ですよ?」


ナツメ「まぁ……状況が読めないってやつさ…」


黒田「状況……」


ナツメ「だって、普通に強引で……」


黒田「こんな言い方はアレですが、エミカお嬢様はお気に召さず?」


ナツメ「い…いやいや!エミカさんは……その……すごくタイプで……」


黒田「ほー…だから、昼食の時静かだったんですね」


ナツメ「……なんでそれが理由に……?」


黒田「ほほ、緊張なさってたんでしょう?ナツメ様、そんな性格っぽいですし」


ナツメ「くっ……そうですか……」


俺はドアを開け、廊下に出る。

黒田も俺についてくる。


黒田「おっと、少し話がずれましたね。どうして喜んでないんですか?」


ナツメ「まぁ…残してきたものが多くてね……」


俺と黒田は廊下を歩く。


ナツメ「黒田さん、いい人そうだから言うけど……俺さ、結婚の件を断って、残してきたもののところへ帰ろうと思ってるんです……あんまり言わないでくださいよ……」


黒田「ほほぅ…それは大胆な判断ですね」


ナツメ「やっぱり、結婚ってもっとステップを持ってやるはずなんですよ……それが、こんな急に……って、なんで俺なんかがエミカさんの夫に…?」


黒田「ん?それはエミカお嬢様が決めたんですよ」


ナツメ「え?どんな風にですか?」


黒田「この人が良い!って感じですね」


ナツメ「え…えぇ……なんで俺が……」


黒田「エミカお嬢様のタイプだったんでしょうか」


ナツメ「いやいや、なんでこんな財閥のお嬢様が、こんな平凡な一般人なんかタイプなんだし……」


黒田「ん?別に私は悪くないと思いますよ」


ナツメ「黒田さんまで……そんなに俺をからかって……」


黒田「ナツメ様、いい人そうですしね」


俺は少し照れる。

俺は、黒田から聞けることは聞いておいたほうがいいと思った。

昨晩なにがあったのか、この人ならなんでも知ってそうだし

すると、後ろから大きな声が聞こえてきた。


エミカ「黒田ー!!あっ…ナツメさん……」


ナツメ「げっ……エミカさん……」


エミカ「黒田!どこにいたの?探してたんですよ!」


黒田「これは申し訳ない、お嬢様」


ナツメ「あ……あ、黒田さんは…俺の着替えを手伝ってくれて……」


エミカ「え?そうなの?」


黒田「左様でございます」


エミカ「そう……それより、ナツメさん。その服装似合ってますね」


ナツメ「え!?そっ……そうですか……」


俺はまた照れる。

エミカは昼食の時と同じドレスを身にまとい、とても美しい。


ナツメ「エミカさんも…似合ってますよ」


エミカ「えっ……?ありがとうございます……」


黒田はニヤける。


黒田「お似合いじゃないですか。お二人とも……ナツメさん?そのままで良いのでは?」


ナツメ「ちょ!黒田さん……!」


エミカ「え?どう言うこと?黒田」


黒田「これはですねぇ…」


ナツメ「ちょっと待って!!マジでダメ!」


俺は大声で遮ろうとするが、無念。


黒田「結婚を取り消そうとしてるんですよ」


ナツメ「ちょっとぉ……」


黒田は笑っている。

俺は少し困った顔をする。

すると、エミカの方からどうやら泣いてる声が聞こえた。


ナツメ「え……?エミカさん……どうしたんですか……?」


黒田「お嬢様、どうかなさいましたか?」


エミカは泣いていた。

俺は何もわからず、少し困った顔で見つめる。


エミカ「やっぱり……こんなの…」


ナツメ「え…?急に…どうしたんですか…?」


エミカ「やっぱり間違ったんだ……」


黒田「やっぱり引きずってますか?」


黒田はエミカを見つめ、問う。

エミカは静かに頷く。


黒田「ナツメ様に伝えましょうか?」


ナツメ「え…?黒田さん?何を伝えるの……」


黒田はナツメを真面目な顔をして見つめた。


黒田「裏ですよ」


ナツメ「裏?」


黒田「記憶が飛んでおりますよね?その間に起きたこと、これが起きた経緯……と言っておきましょうか?」


ナツメ「え……?知ってるんですか……?」


黒田「知っておりますよ。エミカお嬢様は大反対だったんですがね……」


ナツメ「そんなにやばい……ことなんですか……?」


エミカ「やばいも何も…全部お父様が決めたことなの……」


ナツメ「え!?黒田さんはエミカさんが俺を選んだって……」


エミカ「黒田!なんでそんな恥ずかしいこと言うの!?」


黒田「これはこれは、ナツメ様。それはエミカさんが選んだんですよ」


ナツメ「じゃあ…何を決めたんですか…?」


黒田「方法ですよ」


ナツメ「方法……?」


黒田「そうです。入籍まで持ってくる方法です」


エミカは恥ずかしそうに頬を赤らめている。

可愛い


エミカ「黒田……ここから先はお父様に聞かれたらまずい……場所を移しましょう?」





場面は変わり、花山荘


ユウジ「ナツメ…どうしたものかな……」


ミミ「ユウジ、奴と連絡は取れるよな?」


ユウジ「え?まぁね」


ミミ「ならいい、いざとなったら助けに行かないとな」


ユウジ「……?どういうこと?」


ミミ「婚約先からナツメを助けに行くんだよ」


ユウジ「まさか…乗り込んでとか、そう言う感じか……?」


ミミ「最悪そうなるな」


ユウジ「それって俺も参加する?」


ミミ「勿論だ」


ユウジ「パァ〜」


こちらは動きを見せてきている。



第13話へ続く……

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