第6話〈闇は照らされて〉



ナツメ「あー!あったぞ!!」


ミミ「本当か!?うわっ!マジだ!」


夜、よいこは寝る時間。

俺たちは深夜の公園で探し物をしている。

俺は腕時計を見る。


ナツメ「うーむ…ミミ、お前はそろそろ帰れ。10時過ぎてる」


ミミ「帰れるわけなかろう!私が帰ったらお前また職質くらうぞ!」


ナツメ「残念。お前が居てもくらうんだわ」


ミミ「それに…人は多い方が良いだろう?ヤミの装飾品……親からつけろって言われたなら、失くしたらマズイはずだ……」


ナツメ「んなこと分かってる。だけどな?お前は6歳児な?色々マズイと思わないか?」


ミミ「なら言わせてもらおう…ロリ巨乳がこの世に本当にいると思うか?」


ナツメ「世界は広いぞ、現にお前がいるし……」


ミミ「じゃあ質問を変えよう。超巨乳の私がこんな夜遅くにぶらぶら歩いていたらどうだ?」


ナツメ「しゃーない…ユウジ呼ぶか……」


ミミ「おいおーい、なんでそこでロリコン呼ぶんだよ」


ナツメ「見知らぬおっさんにレイプされるより、知人にヤられるほうが気が楽かなぁ……と」


ミミ「おいおーい、ヤられる前提かよ」


ナツメ「そんなに探したいか?」


ミミ「やりたい欲求じゃない。そういう義務を感じただけだ」


俺は深くため息をつく。


ナツメ「じゃあ、警察に会ったら成人を装えよ……」


ミミ「わかっておる」


ナツメ「じゃあさっさと探せ」


ミミは微笑み、手に持っていたライトで地面を照らす。

夜遅く、俺たちは無我夢中の一歩手前ぐらい必死に探している。

ヤミがあの装飾品を嫌がってないなら、きっと装飾品が失くなって悲しくなる。

俺はそれを想像すると、探す以外の手段を切り捨てた。

それはミミも同じ


ミミは特に小さい子と話しはしない。

初めて同じ年の子と会話をしたのだ。

きっと、友達気分でやっているんだろう。


ミミ「なぁ…ナツメ……」


ナツメ「なんだ?」


ミミ「お前、さっきみたいなのを含めてさ…なんであんな無茶をするのだ?この広さでは一人で探すのは不可能だ……」


ナツメ「無茶……そうか?」


ミミ「無茶に決まってる。しかも、そこまで関係性もない。会ったばかりの子供のために……」


ナツメ「なんでって言われてもなぁ……」


俺は深く考えた。

暗闇、ライトは地面を照らしっぱなしで


ナツメ「きっと、俺には【会ったばかり】って感覚がなかったからかもしれないな。どうでもいいし、誰かが困ってたら助けたいって思うし」


ミミ「……はぁ…気持ちの悪いくらい優しいんだな……」


ナツメ「あー…やめろやめろ、俺は【優しい】って単語が嫌いなんだよ」


ミミ「え?なんでだ?」


ナツメ「なんかさ…無理してる気がしてさ……【当然】ってのがいいんだよ、俺は……」


ミミ「……どういうことだ?」


ナツメ「アレだよアレ、格闘技だってさ、攻撃が来て、自分の意思で避けるより。勝手に避けてくれたほうが楽だろう?そういうこと」


ミミ「勝手に……か…」


ナツメ「だけどな、当の俺はこの嫌いなことを平然とやっちゃうんだよ…今だって、なんか…」


俺は言葉を詰まらせた。

自分の言っていることがわからなくなったのだ。


ナツメ「すまん、やっぱり無茶してたかも。平然と……」


ミミはフッと笑った。

ミミはライトをこっちへ向け


ミミ「だろうな。だから私が手伝っている……これも義務かもな」


俺はミミの照らすライトをまぶしそうに見ながら、そっと笑った。


ミミ「さっさと探し出すぞ!」





翌日

公園、平日ながら、人は多い。

ヤミはまた、公園のベンチに座っている。

どこか、浮かない顔を浮かべて


ヤミ「探さないと……大事なものだし……」


ヤミは立ち上がった。

悲しそうにトボトボ、歩けば歩くほど歩幅は小さくなってゆく。


ナツメ「ヤミちゃん?」


ヤミ「うわぁ!!…びっくりした……」


ナツメ「いやいや、やっぱり来てたんだ」


ミミ「よっ!ヤミ!」


ヤミ「み…ミミさんも連れて……」


俺はスーツ姿、ミミはいつもの服を着てヤミの前に立つ。


ナツメ「あのな、俺たち流石にヤミちゃん一人じゃ辛いかなって、無茶かなって思ったんだ」


ヤミ「あ…悪いです……今日は平日ですし……」


ナツメ「あー!ノンノン!俺にそれは通用しないぜ…ミミ!アレを出せ!」


ミミ「御意!」


ミミは背中から沢山の黒いものが入ったビニール袋を取り出す。


ヤミ「そ…それって……」


ナツメ「君の服の装飾品だよ。全部かはわからないけど」


ヤミ「な…なんで……」


ナツメ「あー!ダメだぞ!ヤミちゃん!俺たちのことは気にしなくてもいいって、ほら」


ミミ「私たちは探したんだ。だけどな、残った感情はそれだけなんだ。すごく気持ちがいい。無茶なんて、何一つしてないくらいにな」


ナツメ「ヤミちゃんの装飾品を探すことが俺たちの義務なんだ。義務やった後、残る感情は脱力感くらいだろ?」


ミミはヤミにビニール袋を渡す。


ナツメ「それに、ヤミちゃん?俺は一つ、君に怒りたいことがある」


ヤミ「怒りたいこと……?」


ヤミは少し怯えた表情でこちらを見る。





ナツメ「無茶はするな。何があっても絶対に頼れ。悲しい気持ちで探し出した失くし物なんて、見つかっても嬉しくない。そうだろ?」





ヤミは怯えた顔を戻し、少しポカンとした顔でナツメを見る。


ナツメ「俺、気づいたんだ。優しさの逆は頼ることだってさ。頼れば、きっと無茶じゃなくなる。俺はミミに頼った。そして……」


ミミ「私はナツメを頼った。どうだ?優しさなんかよりよっぽど効率的だ」


俺はヤミの頭に手を被し。


ナツメ「だからな、君が俺たちを頼ってくれれば喜びが共有できる。遠慮はいらない。一人で探す必要もない。俺たちと一緒に喜ぼう!な!?」


ヤミはビニール袋を大事そうに抱きしめ、泣き始めた。


ヤミ「ありがとうございます……ありがとうございます……」


ミミはハンカチをポケットから取り出した。

ミミはハンカチをヤミに渡そうとする。


ミミ「ああ、私たちを頼ってくれて、感謝する」


俺はヤミの頭から手を退けると、ヤミはハンカチを受け取り、涙を拭き始めた。


ヤミはもう一度俺たちに感謝すると、門限にもなってないのに帰っていった。

俺とミミ、二人も家に帰ることにした。


ミミ「ナツメ、なかなかいいこと言うじゃないか?」


ナツメ「お世辞はよせ、悲しくなる」


ミミ「昨夜は大変だったな……」


ナツメ「ああ、だけど結構助かったよ……マジで……」


ミミ「ああ、めちゃくちゃ助かったな」


二人は会話を少し休め、声を揃えて言った。





ナツメ&ミミ「警察のおじさん!」





そう、昨夜。

ナツメはやっぱり職質をくらった。

そして、そのお巡りさんに装飾品の操作を手伝ってもらったんだ。

お巡りさんは運が良かったのか、目が良かったのかわからないが、次々と装飾品を見つけ。

お巡りさんが参加してからたった30分で大量の装飾品を探し出した。

ビニール袋に入っていたのは8割がお巡りさんが見つけたものだったのだ。


ナツメ「今度、クッキーかなんか送っとこうかな」


ミミ「だな、【喜んでましたよ】って言っておくか」


ナツメ「そうだな」


二人は歩く

いつものように、ただトボトボと



第7話へ続く……

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