俺と私は家族の上で笑ってる!?

とまと仮面!!!

第1話 〈不慣れな絆〉



2019年

花粉のキツイ春の季節

休日の明日を目前に、俺こと【ナツメ】22歳は仕事終わりの疲れた足を必死に動かしている。


自宅はとあるアパート【花山荘】

玄関を軽々しく開ける。

鍵は閉めてない。

理由は一つ


ナツメ「ただいまぁ……」


同棲者がいるからだ。


ミミ「随分と疲れ切ってるな…昨日より2時間遅い帰宅だな」


見た目は完全に幼女

ただ、胸が異常にデカイ

巨乳ってわけじゃないけど、この体系でこの胸は少々大きい気がする。

名前は【ミミ】


ナツメ「そこは素直に【おかえり】って言え。偉そうに時間数えてやがって」


ミミ「はっ、何を、おかえりが言えなかったくらい許せ、私はまだ6歳だぞ」


ナツメ「逆だ。俺の偏見だったら若ければ若いほど挨拶をするもんだぞ」


ミミ「知るかボケ、上がれ。夕食は用意してある」


ナツメ「へーへー」


言い忘れてた。

こいつの容姿なんだが、顔とかの話すると可愛いとは自分でも思う。

ただ、日々暮らしていったら愛情より先に憎たらしさが増すのが現実。

白髪ショートヘヤーでボサボサ。

服は上下セット2着ほどしか持ってなく、ブカブカのTシャツとブカブカのズボン、白いロングコートにホットパンツ、コートの中にはカッターシャツにネクタイが巻かれている。

なんか、ゴージャスな衣装

羨ましい

今日はその服を着ている。

現在時刻午前0時

よいこは寝る時間。

この時間にこいつが寝てない時点で、こいつがよいこではないのは明確。

まぁ、多分関係ないけど


俺は玄関に靴を脱ぎ捨て、きつく縛ったネクタイを緩める。

部屋はワンルームの、一人暮らし特有の狭い部屋。

その真ん中にちゃぶ台が置いてある。

廊下の先のドアを開け、ちゃぶ台に置かれている料理を見た。


カップ焼きそばである


ナツメ「おい、夜食の残飯がほったらかしだぞ」


ミミ「違う、今日のメインディッシュだ」


俺は目を瞑り、深くは考えずそっとちゃぶ台のまえに座る。


ナツメ「…へっ、自分は手作りの美味しい料理を食い、俺はカップ焼きそばか……」


ミミ「…詰めが甘いなナツメ…私は今日、カップ焼きそばの気分だったのだ。これでおあいこだ」


引っかかった…!

引っ掛けるつもりはなかったけど…!


ナツメ「そうか…そうかそうか」


俺はゆっくり立ち上がる。


ナツメ「この生意気なガキにはまだまだ調教が必要のようだ……オトナを舐めるなよ……」


ミミ「なっ!!??お前…私を犯す気だな……!ついに正体を明かしたなこの淫乱め!」


ナツメ「お前に欲情するくらいだったら馬に欲情するわ」


ミミ「酷ぇ」


ナツメ「……お前は重大なミスを犯している……!」


ミミ「あ!話戻した!」


ナツメ「俺は見たぞ……!」


ミミは息を飲む


ナツメ「台所にあった大量の食器たちをな!」


ミミ「なにぃ!?」


ナツメ「つまり!お前はカップ焼きそばを食ったと言い張る反面…実際ではちゃんと料理をして皿に盛って、それをお前は一人食べてたわけだ!」


ミミ「ぐぐ……!」


ナツメ「言い返すもんなら言い返せよぉ!お前が手を抜いたことくらい手に取るようにわかるぜぇ!?」


ミミ「……ぐふふふっ……!!」


ナツメ「な……!笑っている……!?」


ミミ「グハハハ!トラップカード発動!」


ナツメ「え?なにそれ」


ミミ「【ゴミ箱の冷凍アップルパイの袋】を発動!!あの大量の食器たちは私のおやつに過ぎないのだ!さらに!【ゴミ箱の焼きおにぎりの袋】も発動!!そのほかにも肉まん!今川焼き……!」


ナツメ「くっ……!食いすぎだ……!」


ミミ「あの大量の食器たちはお前が帰ってくるのが遅かったため、小腹の空いた私によって生まれた産物なのさ!フハハハハ!」


ナツメ「く……!お前……こんなウェポンを……!」


ミミ「さぁ食いなぁ!このカップ焼きそばはお前の餌だよぉ〜?」


ナツメ「ぐぐ……」


俺は悔しそうに、曲げたくない足を曲げ、座る。

ミミはそっとほくそ笑む。

満面の笑みであった。


ナツメ「あ、でもカップ焼きそばのゴミがなかったぞ」


ミミ「あっ」


ナツメ「ご丁寧にゴミ箱の中身まで教えてくれたからな」


ミミ「あっ今日の夕食はレバニラで、すごく美味しかったからめっちゃ食べちゃったんでなくなっちゃった。さーせん」


めっちゃすぐ認めた。

ミミはいつも諦めが早い


ナツメ「………あーそうかい、もういいや。これ食うから」


俺は箸を手に取り、焼きそばを頬張る。

ああいうやり取りは今に始まったものじゃない

4回目を迎える頃には切り替えがすぐ着くようになる。


ナツメ「そういやお前、風呂入ったか?入ってないよな?寝間着じゃないし」


ミミ「え?さっきのくだり終わり?確かに入ってないが」


ミミは机をサンドするように俺の前に座る。


ナツメ「入っとけよー。俺もさっさと入って寝たいし」


ミミ「わかった。髪乾かしてくれよな」


ナツメ「へーへー、自分でやれよ」


ミミ「歯磨きも」


ナツメ「そういうところだけ子供なんだから…」


ミミは風呂のあるところまでかけていく。

それから数分後、

俺はすぐに焼きそばを完食した。


ミミ「ナツメー!髪ー!!」


ナツメ「へーへー!」


洗面所で髪の毛を微妙なくらい濡らして、ミミが待っている。

俺はドライヤーを手にとってミミの髪を乾かす。


ミミ「むふっ…気持ちいいな……!」


こいつは髪を乾かすのが好きらしい。

俺が知ったことじゃないが


あ、そうそう

言い忘れてたが、ミミは俺の親戚なわけではなく、本当にただの赤の他人

なぜ同棲するようになったかは今度話すとして、ミミには家族はいなく、死んだとかじゃなくていないって言ってるし

まぁ、言うて俺も両親は亡くしてるんだがな。


多分、だからだと思う


親がいないから

俺はこいつの【家族】になろうとしたんだと思う。


ナツメ「ほら、終わったぞ」


ミミ「もう一回遊べるドン」


ナツメ「やらねぇよ」


今までを見てくれたらわかるが、こいつは結構いい加減で、憎ったらしい。

だけど、なんだが俺は楽しい。

本当、ストレスが溜まるし、たまにブチギレて近所の人に迷惑かけちゃうけど、それでもなんだか楽しい。

家族のいない暮らしに慣れてしまった俺にとって、この楽しさは、小さい頃に行った遊園地を思い出す。

親と手を繋いで、マスコットキャラクターと写真を撮った。

なんだか、虚しさが心を襲う。


ミミ「なぁ!ナツメ、明日休みだろ?どっか行かないか!?」


俺は少し驚き、微笑を浮かべ


ナツメ「ああ、いいよ。なんか気が狂った」


ミミ「狂ってるのか……」


今度はこいつの手を握って、写真を撮る。

それでおあいこだ。

天国のお父さんに見せてやる。

天国のお母さんに見せてやる。


ナツメ「歯磨き粉は?何味?」


ミミ「チョコレートパフェ」


ナツメ「あいよ」




俺の築いた、家族を




ナツメ「あ、間違えていちごパフェにしちゃった」


ミミ「ふぇ!?ほんほやん、ふぁあ、ほえへほひひか」


ナツメ「あ?なんつった?いちごパフェでもいいんだな?」


ミミ「ふぁふぁっへふはん」


まぁ、ろくでもねぇ家族だがな

まだ、不慣れなんだよ。

許せ



第2話へ続く……

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